第19話「勇者、新たな依頼を受ける」
遺跡での試練を終えた俺たちは、王都へと帰還した。
馬車に揺られながら、俺は深くため息をつく。
「はぁ……ようやく一息つけるかと思ったのに、また面倒ごとか?」
「勇者っていうのは、そういうものなんじゃない?」
隣に座るリリエルが、くすりと笑う。
「お前は楽しそうだな……」
「だって、シンがちゃんと活躍してるのを見るの、楽しいから」
俺が何か言い返そうとすると、前の席でエコーが軽く咳払いをした。
「まあ、気持ちはわかるさ。俺もこんなにアツい冒険ができるとは思ってなかったしな」
「……お前が言うと軽く聞こえるな」
そんな雑談をしながら王都に着き、すぐに国王の元へ向かう。
大広間の玉座に座る国王は、俺たちを見るなり微笑んだ。
「勇者シンよ、ご苦労であった。巫女リリエル、吟遊詩人エコーも共に戻ってきたか。そなたたちの働きに、王国は大いに感謝しておる」
「まあ、なんとかな」
適当に返事をすると、国王は満足そうに頷く。
「さて……実はそなたに、新たな任務を頼みたいのだ」
「また魔物退治か?」
「いや、今回は外交の任務である」
「……は?」
思わず聞き返した。
「勇者であるそなたに、隣国との親善使節団の護衛と、王国の代表としての役割を担ってもらいたい」
「外交!? 俺にそんなの向いてると思ってんのか?」
「お前、今までの言動からして絶対に向いてないだろ……」
エコーが呆れ顔で呟く。
「本来ならば貴族たちが向かうべきところなのだが……先方から、勇者を代表として送り出してほしいと要請が来てな」
「俺の好感度、マイナス880%なんだけど……」
「うむ。だが、そこがまた良いのだ」
「いや、どういう理屈だよ」
「隣国の王は、強者を好む人物でな。そなたの実力を耳にして、ぜひ一度顔を合わせたいと言っているのだ」
面倒な話になってきた。
「……つまり、行かなかったら国際問題になるってことか?」
「その通り」
「……」
「決まりね!」
リリエルが満面の笑みを浮かべる。
「シン、外交の仕事なんて滅多にできない経験よ!」
「俺はやりたくないんだが……」
「でも、逃げたらそれこそ王国の名折れになるよ?」
「ぐっ……」
リリエルの笑顔に圧されるように、俺は渋々頷いた。
「……わかったよ。行けばいいんだろ、行けば」
「ははは! さすが勇者だ!」
国王が満足げに笑う。
「ならば、出発は三日後だ。それまでに準備を整えておけ」
「……本当に面倒ごとしか来ないな」
俺は心の中でそうぼやきながら、これからの不安を感じずにはいられなかった。
次回予告: 第20話「醜い扱い、勇者の決意」
•魔王軍の四天王、ヴェルミエル登場!
•街を襲うその男、リリエルに「醜い」と罵倒! その理由とは!?
•シン、リリエルを守るために立ち上がる!
•新たなスキル「歪んだ美学」を発動! その力は、予想を超えたものだった——!
シン: 「リリエルを守る、絶対に守るからな!」
リリエル: 「シン、ありがとう……」
次回、勇者の決意と成長が試される!




