第17話「巫女の試練、対峙する己」
遺跡の最深部にたどり着いた俺たちは、リリエルが神託を受けた扉の先へと進んでいった。
扉の向こうには、広大な神殿のような空間が広がっていた。崩れかけた柱や壁には古い神聖術の文字が刻まれており、中央には巨大な祭壇が鎮座している。
「……ここが、巫女の試練の場?」
リリエルが小さく呟く。
「それにしても、やけに静かだな……」
エコーが不安げに辺りを見回した。
確かに、異様な静寂が支配していた。
「何かが……来る」
リリエルが緊張した声で言う。
次の瞬間——
神殿の奥にある祭壇が眩い光を放ち、空間が歪んだ。
そして、そこに現れたのは——
「……私?」
リリエルが驚きの声を漏らす。
祭壇の前に立っていたのは、彼女と瓜二つの姿をした存在だった。
しかし、その目は冷たく、まるで感情がないかのようだった。
「これは……お前の内なる影か?」
俺が警戒しながら剣を握ると、リリエルの影が静かに言葉を発した。
「私は“可能性”。
お前が選ばなかった未来の一つ」
「選ばなかった未来……?」
リリエルが眉をひそめる。
「そう。もしお前がシンを見捨て、世界の巫女として生きる道を選んでいたなら——
私は、お前だった」
「っ……!」
リリエルの顔がこわばる。
影のリリエルは続ける。
「お前は迷っている。
勇者の隣にいることが正しいのか、それとも神託の巫女として世界を導くべきなのか……」
リリエルは拳を握りしめた。
「確かに、私は迷っていたかもしれない……
でも、今は——」
「本当にそうか?」
影のリリエルが鋭い視線を向ける。
「巫女としての役割を果たさねばならないのに、お前は勇者を優先している。
それが、神に仕える巫女として正しい道なのか?」
「……」
リリエルの表情が揺れる。
俺は一歩前に出た。
「リリエル、お前はどうしたい?」
リリエルは息を呑んだ。
「私は……!」
——その瞬間、影のリリエルが動いた。
神聖術を発動し、リリエルに向かって光の刃を放つ。
「くっ……!」
リリエルは防御しようとするが、影のリリエルの力は彼女と同等——いや、それ以上だった。
「シン、エコー、助けて……!」
リリエルの声に、俺はすぐに動いた。
「エコー、援護を頼む!」
「おうよ!」
エコーが楽器を構え、不快叶音を奏でる。
影のリリエルは耳を押さえ、動きを鈍らせた。
「いまだ、シン!」
「おう!」
俺はゴミスキル「風読み」「軽風操作」「水滴凝固」を組み合わせ、氷の刃を作り出す。
「リリエル、決着をつけるぞ!」
リリエルは俺の言葉に頷いた。
「……私は、私の道を選ぶ!
勇者の隣で戦う巫女として——!」
彼女が手を掲げると、神聖な光が空間を満たした。
「“光浄の加護”!!」
強烈な光が影のリリエルを包み込む。
「……お前の答えは、それか……」
影のリリエルは微笑み、光の中へと消えていった——。
***
試練を乗り越えたリリエルは、静かに目を開いた。
「……終わったの?」
「ああ、お疲れさん」
俺が声をかけると、リリエルは微笑んだ。
「ありがとう、シン。エコーも」
エコーがドヤ顔で頷く。
「いやー、俺の歌声が決め手だったな!」
「……まあ、そういうことにしといてやるよ」
俺は苦笑しながら、リリエルの肩を軽く叩いた。
「よし、これで遺跡探索も終わりだな」
——だが、この試練の報酬は、まだ俺に訪れていなかった。
***
【勇者のスキルが変化しました】
【エコーの好感度が上昇しました】
【新たなスキルを獲得しました】
——次回、第18話「勇者の新たなゴミスキル」
・勇者、新スキルを獲得!
・エコーとの絆が深まり、予想外の能力が……?
・シン「まさか、こんなスキルが追加されるとはな……」
次回、新たな“ゴミ”が目覚める——!!
次回もお楽しみに!




