第11話「勇者、スキル合成を試みる」
依頼を終えた俺たちは、ギルドへ戻る途中だった。
馬車の護衛任務は無事に成功したが、やはり俺の好感度はほとんど上がらなかった。
「うーん、惜しいな!」
エコーが派手な羽飾りを揺らしながら、残念そうに言う。
「勇者が華麗に敵を蹴散らせば、きっと周囲からの評価も上がるのになぁ」
「その華麗さが俺にはないんだよ」
実際、俺の戦闘スタイルは地味そのものだった。
「水滴凝固」「雑草操作」「軽風操作」 なんて、まともに戦うためのスキルではない。
せっかく手に入れた新スキル 「風読み」 も、役に立つ気がしない。
「まったく、勇者とは思えないスキルばかりだな!」
「うるせぇよ……」
俺はため息をついた。
すると、隣で歩いていたリリエルが小さく笑う。
「でも、シンのスキルは工夫次第で強くなれるかもしれないよ」
「工夫次第、ねぇ……」
俺は新しく手に入れた 「風読み」 を試してみることにした。
目を閉じ、意識を研ぎ澄ませる。
(……風の流れを感じる……のか?)
微かに肌を撫でるような風の動きが、なんとなくわかる気がした。
だが、それだけだ。これがどう役に立つのか、さっぱりわからない。
「ほら、やっぱり微妙だろ」
「そんなことないよ。もしかしたら、他のスキルと組み合わせたら強くなるかも」
「……他のスキルと?」
リリエルの言葉に、俺はふと考える。
(確かに、今まで俺はスキルを単体でしか使ってこなかった。でも、組み合わせれば……?)
俺は試しに 「風読み」 と 「軽風操作」 を同時に発動してみる。
(風の流れがわかるなら、それを操作しやすくなる……?)
すると——
「……お? なんかさっきよりスムーズに風が動く気がする」
「すごいね、シン! 風の動きを把握してから操作すれば、より細かい動きができるんだ!」
リリエルが目を輝かせた。
「なるほど……」
「風読み」だけでは無意味でも、「軽風操作」と組み合わせれば効果を増すことができる ってわけか。
「だったら、もっと組み合わせてみるか……?」
俺はさらに 「水滴凝固」 を加えてみた。
風を利用して水滴を空中に舞わせ、それを一瞬で凍らせる。
「おおおっ!? これはすごいぞ!」
エコーが感嘆の声を上げた。
空中に少量の雪が舞い、それが陽の光を受けてキラキラと輝く。
「……いや、綺麗だけど、戦闘には使えねぇな」
「ま、まぁ、まずは実験だからね」
リリエルが苦笑する。
……だが、これはいける。
俺は今まで「ゴミスキル」と思っていたものを単体で使おうとしていた。
しかし、こうして組み合わせれば、新しい可能性が生まれるかもしれない。
「よし……次の依頼では、これを実戦で試してみるか」
俺はそう決意し、ギルドの掲示板へと向かうのだった。
次回予告:第12話「氷の矢が導く勝機」
・新たな依頼は遺跡の探索!
・シン「水滴を飛ばして凍らせれば……攻撃に使えるんじゃ?」
・果たしてゴミスキルは武器になりうるのか!?




