第12話「氷の矢が導く勝機」
「遺跡探索の依頼か……」
ギルドの掲示板に貼られた依頼書を見ながら、俺は腕を組んだ。
どうやら最近発見された古い遺跡の調査をしてほしいらしい。
依頼内容は「内部の安全確認」と「異常がないかの報告」。
「戦闘の可能性は……低いか?」
「でも、遺跡にはモンスターが住み着いてることも多いし、気をつけた方がいいね」
リリエルが慎重な意見を出す。
「まったく、戦闘なしの楽な仕事がしたいものだな!」
エコーは相変わらず呑気な調子だ。
……が、俺はむしろ戦闘の機会を求めていた。
なぜなら、前回の護衛任務で「スキルの組み合わせ」に手応えを感じたからだ。
もし戦闘があるなら、俺の新たな試みを実践できるかもしれない。
「よし、この依頼を受けるか」
⸻
そして、遺跡へ到着した俺たちを待っていたのは……
「スライムか……」
遺跡の入口に群がる、ぬめぬめとした青い塊。
複数のスライムがのたうち回り、侵入者を阻もうとしていた。
「こいつら、物理攻撃は効きにくいんだよな……」
剣を握りながら、俺は呟く。
スライムの核を破壊すれば倒せるが、外からでは位置が分からない。
「エコー、試しに歌ってみてくれ」
「おおっ、任せろ!」
エコーが胸を張り、不快な歌声を響かせる。
いつもの通り、周囲にいたリリエルやギルド職員たちは耳を塞いで悶絶。
しかし——
「……スライムには効いてない?」
スライムはエコーの歌をまるで意に介さず、むしろぴょんぴょん跳ねて楽しそうにしている。
「ま、魔物には効果がないのかな……?」
「くっ……俺の音楽が通じないとは……!」
そんなこともあるのか、と俺が困惑していると、スライムの群れがゆっくりと迫ってきた。
(くそ……物理が効かねぇとなると……)
この状況で俺が試せるのは——
「よし、やってみるか!」
俺は**「水滴凝固」「軽風操作」「風読み」**を同時に発動。
「まずは、水滴凝固で水を浮かせる……」
空中に無数の小さな水滴を作り出し——
「軽風操作で前方へ飛ばす!」
風の流れを利用し、スライムの群れに向けて放つ。
そして——
「水滴を凍らせる!」
バシュッ!!
飛んだ水滴が一瞬で凍りつき、無数の小さな氷の針となってスライムの体を貫いた。
「おお……!?」
リリエルが驚きの声を上げる。
「……効いてる?」
スライムたちはびくびくと痙攣しながら、その場に倒れていった。
氷の針が内部の核を的確に貫いたのだろう。
「やったな、シン!」
「まさか、ゴミスキルでこんな戦い方ができるとは……」
俺は手応えを感じた。
単体では微妙なスキルも、組み合わせ次第で戦闘で通用する力になる。
この戦い方なら、俺にもまだ伸びしろがあるはずだ。
スライムを撃破し、俺たちは遺跡の奥へと進むのだった——。
次回予告:第13話「巫女の神託、目覚める加護」
・スライムを突破し、ついに遺跡の最深部へ!
・そこに待ち受けていたのは……?
・シン「またゴミスキルを手に入れたのか……」
・次回、勇者の挑戦は続く!




