大丈夫、大丈夫、大丈夫
「大丈夫、大丈夫、大丈夫。」フォリーは自分に言い聞かせていた。バロスとヘラリーから聞いていた通り、フォリーとベーダー、そして護衛や従者達は別室に案内された。(さて、ここからだ。)
ベーダーのニヤニヤした髭面が目の前にあった。「ははは、お前、緊張し過ぎだぞ。緊張感を持つのは良いが、それじゃあダメだ。リラックス、リラックス。」ベーダーはカジュアルに茶を一口飲んだ。「うまっ。これうまっ。フォリーも飲んでみろよ。」
「その口髭毟りますよ?ていうか、髭にお茶ついてますけど?」フォリーはティーカップを口へ運んだ。「あ、これ、すご。え?」フォリーは更に一口茶を啜った。「いやこれ、美味し過ぎます。飲むのもったいないです。」
豪華ではあるが、他の部屋と比べると幾分質素な部屋で総勢十名のナロスキーノ家の面々は三人の給仕と四人の見張りに囲まれて寛いでいた。その中でフォリーとベーダーは薄らと魔力の網を張り、部屋の外の様子を探っていた。なるほど、王宮はナロスキーノ家に比べれば網を張りやすい。感知する魔力障害が少ない。まあ、これくらいは王宮側でも想定内だろう。王宮にはもっと警戒すべき相手はいくらでもいた。最も警戒すべき筆頭はディーターだろう。ベテランの特級魔術師。彼の開発する魔道具と呼ばれる魔力を使った装置の数々は革命的だった。あのエローシュの部屋にある青い玉もその一つだ。ディーターは、ナロスキーノ家で魔法指導を行なっているダレムの一番弟子で、最も出世した人物だった。
(このルートなら。)フォリーは確信する。(イケる。)フォリーは密かに魔力を練り、魔法を展開していった。自身は透明になり、写し身をその場に残す魔法、一種の幻術だ。これを実現するのにミロアという呪文を使うが、フォリーはそれを口にするのではなく、頭の中で唱えるだけで魔法を行使出来た。この境地に達するにはそれなりの練度が必要だったが、フォリーには天性の才能があった。妹のミュウビーにもその才はあったが、妹はどちらかと言えば武闘派で、隠密には向いていなかった。フォリーは頭の中で王宮の見取り図を展開する。(良し。)
うえ~。何だこれ?うーん、まあ、こういうの、あるよね。うん。あれが玉座ってやつ?えーと、あそこまで階段何段あんの?俺はレッドカーペット状態の階段を数えた。十二段。そんなもんか。てか、そんな高さ、要る?広ーいレッドカーペットの脇には人が並んでた。でも思ったより少なめ。左右に三人づつ?ここから見える範囲だとそんなもんか。で、あの竜の絵って玉座の後ろに飾ってあんのか。ヘラリー母さんの顔をチラ見すると、いつもとオーラが違う感じがする。やっぱ美女だよなあ。バロス父さんは母さんより一歩前に立ってる。にしても天井高けー。ここが一番天井高そう。でもって天井にいっぱい全裸の男女が、その、うん、まあその、なんだ。どうなってんだ、この世界の世界観?
「王が間も無く顕れます。」あの髭親父が階段の前で高らかに言った。するとあの高ーい天井から王がキラキラと降りて来た。何このショーアップ。うん、王様っぽい。王冠、ロン毛、髭モジャ、親父、サンタクロースっぽいけど妙にキラキラしたコート、あと多分マッチョ。てか、これ、王冠被ったマッチョのサンタじゃねーか。なんだそれ。バロス父さんとヘラリー母さんは膝を折り頭を下げ、臣下の礼をした。
「ふむ。ナロスキーノ家のバロス、ヘラリー、よくぞ参ってくれた。面を上げYO。」キラキラマッチョ王冠サンタは踏ん反り返って立っていた。あれ?今語尾がヘンだったYOな?「では、まずは神に感謝の祈りを!」え?待って?それってまさか…
「ヒャッハー!」
その場の全員があの天に向かって手を広げて仰ぎ見るポーズで祈りの言葉を叫んでた。
コロナ自粛でヒマだった2020年頃に書いてたものです。
こういう小説を書くのは初めてです。
イキオイだけで書きました。
飽くまでギャグです。ツッコミはご遠慮ください。




