汚されちまった
汚されちまった。俺の体はもう汚れちまったのさ。
「まあまあ、エローシュ様ったら。こんなに出して…。」フォリーが慣れた手つきで俺の、その、何だ。まあ、そういう事だ。見るな。かぶりつきで見てんじゃねー、この変態全裸野郎!
晴れ着は汚れていなかった。でも、違う所が汚れてた。うぷっ。気持ち悪っ。うえっ。うう…頭がクラクラする。お腹もグルグル言ってる。現在別室で絶賛おむつ交換中。
あの黒いガスはぜーんぶ俺の体に吸い込まれてった。結果、コレだ。くっそー。バグって虫じゃねーのかよ。毎回あんなん吸っては、その…出すの?どういう処理系統なんだよコレ。ゲーム機やパソコン知識必要?ていうか、DQNだっけか?そのゲームの知識って関係なくね?
「すまぬ。」変態全裸野郎が項垂れる。うん、お前、いざって時にフリーズカマシてたよな。
「すまぬ。」いや、それもういいよ。全く、なーにが我が守る、だよ。まあもういいけどな。無事あの変なガスは…ウプ。
「すまぬ。」まあ、おかげで人前で絶賛脱糞中だ。俺も無事、変態の仲間入り。ちがーう。俺は赤ん坊だからこれがデフォなんだよー。あうううー!早く自分で出来る様にならなくちゃ。
しっかし。あのハゲメガネの親父見た時はトラウマ復活する所だった。あの、俺の部屋の天井の青い玉に念を送ったら見えちゃったあの顔。メガネはなかったけど、すぐ判った。今はこの部屋の壁にもたれて俺がおむつ交換されるのを待ってる。まあ、俺はそんなヤワな坊やじゃないから、トラウマなんて屁でもないがな。ふふん。
俺があのガスを吸い込んだ直後、あの部屋から出た俺たちを、フォリーはナロスキーノ家の従者が控えている応接間へ連れてった。
「ちょっと待ってください。」とフォリーが言うと姿が透明になり見えなくなって、俺はびっくりしてまた泣く所だった。
「我が主人、案ずるでない。あれは魔法で姿を消しただけである。」そう言うと変態全裸野郎は「おぬしが扉を開けるが良かろう、ディーターと言ったかな、おぬしなら怪しまれぬだろう。」とディーターと呼ばれたハゲメガネの肩を叩いた。
「あ、はい、そうですね、そうします。」ディーターは応接間のドアを開け、透明になったフォリーと一緒に応接間へ入った。しばらくすると魔法を解除したフォリーとディーターが、カバンを下げて部屋から出てきた。
「どこかオムツ換えるのにいい部屋ありますか?」とフォリーはディーターに聞いた。そして今、俺たちはこの部屋にいるのだった。
「それにしても面白いですよね。どうしてこういう排泄物って魔法でどうにか出来ないんですかね?臭いはデオドで何とかなりますけど。」とフォリーは俺の汚れたオムツと、俺の尻を拭いたタオルを小さな袋へ突っ込んだ。
「それだよ、君。私もそれは考えたんだ。魔道具で何とか出来ないかとね。でも、ダメだ。この世からトイレを無くすのは無理っぽいよ。まあ、せいぜいクリンでざっくり綺麗にする位しか手がない。」ディーターは壁にもたれたまま肩を竦めた。
「えおど?くいう?」デオド?クリン?俺はゆっくり伸びをした。
「デオドもクリンも呪文だ、我が主人。デオドは臭いを消す魔法だ。それにクリンは…ほら、フォリーの手はもう綺麗になっておる。クリンを使ったな?ふうむ。ここまで綺麗に出来るとは。」変態全裸野郎が解説した。
「流石です、やっぱりリューちゃん様には判るんですね。」変態全裸野郎を見るフォリーの目がキラキラしてる。「あの、カッコよかったです。」え?何て?
「私にも判りましたがね。」とディーターが眉を上げた。何の対抗心?「しかし、君、無茶苦茶魔法上手いね。あんな動くミロアの幻影って、中々高難度だよ。私にもあれだけの精度で出来るかどうか、それくらいレベル高いよ。」え?何それ?見たかったな。ミロアの幻影。何かカッコイイ。
「ええ?ありがとうございます。恐れ多いです。ディーター様って、その、特級魔術師のディーター様ですよね?そんなお方に褒められるなんて、あたし、すんごく嬉しいです。」フォリーはニコニコして俺を抱え上げた。
やがて部屋の外が騒がしくなって来た。多分俺たちを探してんだな。無事を知らせた方が良いよね。
謁見の間に取り残された面々はあまりに予想外の展開に、暫く状況が理解できなかった。王はその場にヘタりこみ、教皇が何かを叫ぼうとしていたが、声は聞こえなかった。
「衛兵!」とバロスが号令をかけ、やっと衛兵たちはエローシュとリューちゃんの行方を追い始めた。
「陛下、一体、何を隠しておいでだったのですか?」バロスはレッドカーペットの上に膝立ちで項垂れる王に問いかけた。
「あんな、禍々しい物だと思わなかったのだ。あんなに…強力だとは。恐ろしい…。」王はバロスを情けない顔で見上げた。「始祖のドラゴン様のおっしゃる通りだ。隠しておける訳がない。あんな物。朕は…無邪気過ぎた。古の遺物を手にして舞い上がっておった。」
「古の遺物、ですか、陛下。それは何で御座いますか?」バロスは片膝をつき、王と目線を揃え、真っ直ぐその目を見た。「どこで手にされたのですか?」
コロナ自粛でヒマだった2020年頃に書いてたものです。
こういう小説を書くのは初めてです。
イキオイだけで書きました。
飽くまでギャグです。ツッコミはご遠慮ください。




