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この異世界バグってる  作者: Yeppie
第一章
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ポルダーはアシュリーを伴って

ポルダーはアシュリーを伴ってエローシュの部屋の前にいた。ドアをそっと触る。開かない。やっぱりダメだ。両親と一緒にエローシュが王宮に行ってしまったのは知っていた。

「ねえ、開かないよ?アシュリーなら、開けられる?」

「私にも開けられません、ポルダー様。なぜエローシュ様の部屋に入りたいのですか?」

「わかんない。わかんないけど…エローシュ、やっぱりいないの?」

アシュリーはため息をついた。ポルダーはエローシュと遊びたがっていたが、バロスが止めていた。あの始祖のドラゴンらしき男の事を警戒していた。出来ればあの男をエローシュから引き剥がしたかったが、無理な相談だった。あの男が得体の知れない強力な魔力と能力を持っているのだけは確かだった。ベクターはあの男を怖がっていた。無理もない話だ。


「もうすぐマルエール様がいらっしゃいます。ポルダー様、お部屋へ戻りましょう。それに、剣の指導がそろそろ始まります。お誕生日は来週です。五歳になるんですよ。楽しみですね。」

アシュリーは剣の指導を口にした途端ポルダーの顔が更に曇るのを見てまたため息を吐いた。


ポルダーの部屋に着くと、既にマルエールが待っていた。マルエールは、ナロスキーノ家に家庭教師として雇われてから十数年経つ壮年の男で、頭が薄くなるのを気にして常にベレー帽を被っていた。今日は濃い青の帽子だ。

「少し早く到着しましてね。」マルエールはアシュリーが扉を開けるとポルダーに続いて部屋に入った。


「さて、今日は少しおさらいです。始祖のドラゴンの事をお知りになりたいとおっしゃってましたね?」マルエールは、いつもと違いポルダーの左横に座って静かに言った。

「うん。この間、あの絵がピカーってなったの。何で?」ポルダーはマルエールの顔を覗き込んだ。

「謎ですね。私もわかりません。ただ、その後に起こった事を考えると、一種の召喚装置として機能したのでしょう。」

「しょうかん…装置?しょうかんって何?」

「誰かを呼び出す事、ですね。この場合は始祖のドラゴンになります。多分。」

「多分?」

「多分。私もあの裸の男の事については聞いております。ポルダー様からも聞きました。あの男が本当に伝説の始祖のドラゴンかは、わからないのです。ご本人様も自分はドラゴンではないとおっしゃられてるとか。」

「そうみたい。見た目は人間だよね。目が金色!面白いの!あの絵の竜も目は金色だよね。」

「そうですね。しかし、あの男が本当に始祖のドラゴンだとして、それにまつわる話が真実なら、状況はかなり悪いですね。覚えていますか?始祖のドラゴンが再びこの世に現れたらどうなるのか。」

「世界が滅びるんでしょ?本当に?エローシュの事を賢者だって言ってたよ。それに、自分のことリューちゃんって。ヘン。」

「はは、ヘンですねえ。ではヒャッハー神が世界をお創りなった時の始祖のドラゴンの役割は何だったか覚えていますか?」

「うん。ヒャッハー神の与えた知識を元に世界を正しく導いたんでしょ?この世界の事を全部知ってるから、間違った行いをした者を見つけたら…炎で焼き尽くしたって。口から火を吹くんでしょ?あ、あの男の人も口から火を吹くかな?わー。」ポルダーは口を大きく開けて首を左右に振った。マルエールは苦笑いをした。

「それは、どうでしょうねえ。強力な魔力をお持ちだとは聞きましたが。始祖のドラゴンは、ヒャッハー神を乗せて共に世界を旅されたんです。我々も竜に乗って旅します。ご存じですよね?」

「うん。まだ乗った事ない。パンター兄さんが竜持ってる。ピオール兄さんも多分乗るよね。僕は…ちょっと怖くて嫌。それより魔法でぴょーんって飛びたい。」ポルダーは両手を上げ、笑った。

「ああ、ポルダー様はそっちに興味がお有りなんですね。でも魔法で飛ぶのはとても難しいですよ。魔力をかなり使いますからね。私は飛べません。それに、竜と魔力で繋がると、色々便利ですよ。竜の魔力が使えるようになるんです。この事はまだお話ししてないですよね?」

「知らなーい。まだ聞いた事…ない。竜って魔力多いの?」

「竜は、多い方ですね。しかし、人間でも魔力が多い人と少ない人がいるように、竜もそうです。そして魔力の多い竜と繋がるのは、自分の魔力量と釣り合いが取れないと難しいです。」マルエールはエローシュの事を思い出した。仮にあの男が始祖のドラゴンで、自称している通りエローシュの従者なら、エローシュの魔力量は計り知れない事になる。創造神であるヒャッハー神と繋がっていた竜だ。(するとエローシュの魔力量はヒャッハー神と同等…いや、そんなバカな。)マルエールは心の中で激しく首を横に振っていた。(まだ一歳にもならない赤ん坊が?まさか。)




ベーダーはフォリーの幻影を見ながら心中ハラハラしていた。もちろん顔にそんな感情を出すような事はしていない。それにしてもこの幻影は良く出来ている。ダレム師が褒める訳だ。フォリーの幻影はちゃんと動くのだ。ミロアの魔法で作られる幻影は大抵の場合動かない。等身大の蝋人形が置いてあるようなものだ。フォリーの幻影は適当に手が動き、表情が変わり、首の角度も変わった。流石にティーカップを持つのは無理だが、十分そこに生きた人間がいるように見える。これを実現するには相当の魔力量と魔法との練度が必要な筈だ。タイムリミットが近い。今回の謁見、王に子供をお目通しする儀式は大抵一時間程で終わってしまう。一歳まで生き延びた赤ん坊は今後も長く生きられる様に王の前で祝福を与えられる。貴族階級だけに与えられる特権だった。ヒャッハー教の教皇が祝福を与える役割をしていた。俺も祝福されたんだっけ?覚えてねえな。そりゃそうか。ベーダーは魔力の網を張ったままにしていた。部屋の外の動きには目立った動きはない。


「お茶、お代わりお持ちしますか?」声を掛けられ、ベーダーは給仕を見た。魔力の網に集中し過ぎて給仕が近づくのに気づくのが遅れた。

「ああ、お願いする。」ベーダーは微笑みを張り付かせ答えた。

「そちらのお嬢様は?」と給仕が聞いた。「おや、お眠りですかね?」見ればフォリーの幻影は目を閉じて居眠りをしていた。ベーダーはそれを見てクスクス笑った。

「そうみたいだね、そっとしといて。」

コロナ自粛でヒマだった2020年頃に書いてたものです。

こういう小説を書くのは初めてです。

イキオイだけで書きました。

飽くまでギャグです。ツッコミはご遠慮ください。

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