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ウイリア探索

 目が覚めると、隣、そして部屋の中にニーヤの姿は無かった。

 ベッドに香る残り香。やばい。すごいムラムラする。

 ここんとこずっとご無沙汰だし、そろそろ発散しないと暴発の危険性までありそう。

 考えてみれば生殺し状態じゃないか。こんなに我慢したのは何年ぶりだ。

 出すものは出しておかないといけない。デトックスだデトックス。

 そうと決まれば、善は急げ。ああ、ニーヤの匂い。いいなぁ――。


「ケンセイさん。起きてますか?」

 突然部屋のドアが開いた。

「起きてます! もうばっちり! ビンビン起きてます!」

「そうですか。では朝食にしましょう、食堂で待ってますね」

 何だろう、これもセクシーアーマーの呪いなのか。すまない。もう少し待っていてくれ。

 戦闘態勢のセクシーソードを慰め、食堂に向かった。



「今日は一日、各自自由行動って事にしましょうか」

 朝食をとりながら、モミさんが言った。

「そうね。どうせ部屋もそのままだし、待ち合わせに困る事もないでしょ」

 自由行動か、それじゃあ色々見て回ろうかな。この町は見るところも沢山ありそうだし。


「はい、ケンセイさん」

 モミさんが当然の様に一枚の金貨を差し出す。

 申し訳なく思うが、遠慮するのも躊躇われるほど、僕達の距離は縮まっていた。

「あ。ありがとうございます」

「この前より金の価値が上がってるみたいで。通貨価値が変わっていますから多分それで十分足りるはずだと思いますよ」

「そうなんですか。ちなみに、今ならこれは銀貨何枚になるんです?」

「多分銀貨8枚くらいですかね」

 この前より三枚も多いじゃないか。それじゃあ銅貨にすればもっと多いって事か。

 円高ドル安みたいな? いや、これは同じ通貨だから違う?

 もっと勉強してれば良かったな。全く経済の仕組みが理解出来ないよ。


 朝食を終え、僕は町に繰り出し周囲をぶらぶらしてみた。

 ただ歩いているだけでも飽きる事はなさそうな大きな町。

 遠くに見える噴水が町の中央だろうか。

 とりあえず噴水を目指す事にした。


――ウイリア中央噴水前――


 目の前の噴水を見て驚いた。噴水自体はラーバスでも見たが、それとは比べ物にならない程の水量。

 美しい石で造られた彫刻。その中心から遥か高く。五メートル程の高さまで水が噴き出している。

 一体どういう仕組みなんだろう。機械の力を使わず、どうしてこんなに水が噴き出るんだ。

 全く分からない事だらけだ。


「剣士さん、ウイリアは初めてかね?」

 噴水の脇、ベンチに腰掛けた中年の女性に声を掛けられた。

「はい、そうなんですよ。何もかもが珍しくて」

「剣士さんは何処から来たんだい?」

「あ、えっと。ムルアラット、かな」

 異世界と言うわけにも行かないし、昨日モミさんが言っていたのと同じ様に返す。


「ムルアラットかい、あそこはいい島だね」

「ええ、いい島でした」

「テヘペロ村が襲われた話は聞いてるよ。全く酷い話だね」

「そうですね……」

「『ストラーダ教を信仰しないから』だ何て馬鹿な事を言う人が沢山いるんだよ、この町は」

 そう言って、女性は教会を見上げる。

 見るからに神聖で、どことなく厳格。視線の先の立派な教会を見ながら、少し寂しそうな顔をした。


「宗教に縛られ、同じワーワルツで起こった悲劇を嘆く事もせず。この町で立派なのはあの大聖堂とお城。そしてこの噴水だけさ」

「愚痴っぽくなってしまって悪かったね。ここじゃあまり町の悪口は言えなくて、ついつい」

「あ、いえ。気にしないで下さい」

「まぁ、建物は立派だから。是非見学してくといいよ」

 そう言って女性は何処かに歩き出した。

 宗教とか、僕には良く分からない。

 この世界でも宗教は何となく面倒臭そうなイメージだった。

 

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