# 第七話 ## 「停滞の王」
# 第七話
## 「停滞の王」
ゴゴゴゴゴ……
学園の地下深く。
百年間閉ざされていた巨大な扉が開いていく。
闇。
底の見えない闇。
その奥から現れたのは、
巨大な黒い影だった。
赤い瞳。
漆黒のマント。
まるで世界中の絶望を集めて作られたような存在。
それが――
**停滞の王。**
「……また目覚めたか」
低い声が響く。
その瞬間。
学園全体が揺れた。
窓ガラスが震える。
木々がざわめく。
そして生徒たちの頭上に浮かぶランク表示が、
次々と暗く染まっていった。
【E → F】
【D → E】
【C → D】
「な、何だこれ!?」
「力が抜ける……」
「やる気が出ない……」
講堂では生徒たちが座り込んでいた。
結衣も苦しそうだった。
「描きたいのに……」
スケッチブックを握る手が震える。
悠真も膝をつく。
「走りたいのに……」
体が動かない。
源三は参考書を開けない。
「勉強したいのに……」
その気持ちが湧いてこない。
停滞の王は笑った。
「挑戦など無意味だ」
声が世界に広がる。
「夢は叶わぬ」
「努力は報われぬ」
「人は失敗する」
「だから諦めろ」
その言葉は。
心の弱い部分に直接刺さった。
修司も苦しむ。
頭の中に嫌な声が響く。
『お前だって失敗する』
『誰も救えない』
『どうせ無駄だ』
『諦めろ』
修司は耳を塞ぐ。
だが声は消えない。
心の中から聞こえてくる。
停滞の王は近づいてくる。
巨大な足音。
ドン。
ドン。
ドン。
そして修司を見下ろした。
「お前も同じだ」
「……」
「夢を叶えられぬ」
「……」
「失敗する」
「……」
「諦めろ」
その瞬間。
修司の心が揺らいだ。
怖かった。
本当に。
今まで励ましてきた言葉。
信じてきた想い。
全部が崩れそうになる。
しかし。
その時だった。
一冊のスケッチブックが飛んできた。
パシッ。
修司は受け取る。
結衣だった。
涙を流しながら立っている。
「修司先輩」
「結衣……」
スケッチブックには一枚の絵。
桜並木。
彼女が最初に描いた絵だった。
「私……」
結衣は震える声で言う。
「何度も諦めた」
「……」
「でも」
「……」
「修司先輩が言ってくれたんです」
彼女は笑った。
「好きだから追うんだって」
修司の目が開く。
その時。
今度は悠真が立ち上がる。
「僕も」
足は震えていた。
でも立った。
「一位じゃなくてもいいって」
「……」
「昨日の自分に勝てればいいって」
源三も続く。
「修司くん」
老人の瞳には力が宿っていた。
「七十二歳のわしを認めてくれた」
「……」
「まだ終わってないと言ってくれた」
三人の言葉。
それは修司が誰かに贈った言葉だった。
そして今。
その言葉が修司を支えていた。
修司は気付く。
成長とは。
一人で進むことじゃない。
誰かに繋がることだ。
誰かの背中を押すことだ。
停滞の王が顔をしかめる。
「黙れ」
黒い力が溢れる。
だが。
その瞬間。
修司の胸が光り始めた。
「これは……」
学園長が驚く。
「まさか!」
光はどんどん強くなる。
そして文字が現れた。
【固有能力 解放】
【無限継承】
修司は息を呑む。
学園長が叫ぶ。
「伝説の力だ!」
停滞の王も目を見開く。
「その力は……!」
光が学園中に広がる。
すると。
結衣の勇気。
悠真の努力。
源三の挑戦。
生徒たちの希望。
全てが修司へ集まっていく。
そして。
修司の力となった。
学園全体が輝く。
停滞の王が後退する。
「馬鹿な!」
修司は前へ出る。
恐怖はまだある。
不安もある。
それでも。
立ち止まらない。
「停滞の王」
「……」
「確かに失敗は怖い」
「……」
「夢が叶わないこともある」
「……」
「でも」
修司は拳を握る。
そして叫んだ。
「だから挑戦しない理由にはならない!!」
ドォォォォン!!
光の柱が天へ昇る。
停滞の王の黒い力を押し返していく。
学園中に歓声が響いた。
しかし――
学園長の表情は晴れない。
なぜなら。
修司のランク表示が変化していたからだ。
【挑戦者ランク:A → S】
まだ誰も到達したことのない領域。
そして。
その先には――
∞ランクが待っている。
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### 次回
# 第八話
## 「未来から来た俺」
停滞の王を退けた修司。
しかしその夜、
彼の前に現れたのは――
未来の修司だった。
そして語られる最悪の未来。
結衣、悠真、源三。
仲間たちに訪れる悲劇。
さらに明かされる、
∞ランク到達者だけが知る真実とは――。
「俺は、お前に同じ後悔をさせない」
無限成長学園、第八話!




