表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/8

# 第五話 ## 「消えた∞ランク」

# 第五話


## 「消えた∞ランク」


夜。


無限成長学園の校長室。


学園長は古い資料を机の上に並べていた。


黄ばんだ紙。


色褪せた写真。


そして――


百年間、誰も解けなかった謎。


【到達ランク:∞(インフィニティ)】


その文字を見つめながら、


学園長は静かに呟く。


「君は何を残そうとしたんだい……」


コンコン。


扉が鳴る。


「失礼します」


入ってきたのは修司だった。


「呼ばれました?」


学園長は頷く。


「君に見せたいものがある」


そう言って、一枚の写真を差し出した。


修司は受け取る。


そこに写っていたのは――


百年前の学生服を着た少年。


優しそうな笑顔。


どこにでもいそうな普通の少年。


しかし。


修司は息を呑んだ。


「え……?」


学園長も驚いていた。


「やはり気付いたか」


「この人……」


修司の手が震える。


「僕に似てる……」


そう。


写真の少年は、


まるで修司の兄弟のように似ていた。


目元も。


笑顔も。


雰囲気まで。


学園長は静かに言った。


「彼の名は――


**神崎悠人。**」


「神崎悠人……」


「百年前に∞ランクへ到達した唯一の生徒だ」


修司は写真を見つめる。


不思議だった。


初めて見るはずなのに。


なぜか懐かしい。


そんな感覚があった。


---


翌日。


学園図書館地下。


普段は立ち入り禁止の場所へ、


修司は案内された。


重い扉が開く。


ギィィィ……


中には膨大な本が並んでいた。


その奥。


ガラスケースの中に、


一冊のノートが置かれていた。


「これが……」


学園長は頷く。


「悠人の日記だ」


修司は慎重にページを開く。


最初のページにはこう書かれていた。


---


『僕は何もできない人間だった』


---


修司は目を見開く。


次のページ。


---


『勉強も苦手』


『運動も苦手』


『誰にも期待されない』


『だから成長したいと思った』


---


修司は思わず笑った。


「僕みたいだ……」


学園長も微笑む。


「そうだね」


ページをめくる。


そこには数え切れない失敗が記録されていた。


試験不合格。


大会敗北。


挑戦の失敗。


失敗。


失敗。


失敗。


そしてまた失敗。


だが。


途中から文字が変わる。


---


『失敗は終わりじゃない』


『失敗は成長の証だ』


---


修司の目が大きくなる。


聞いたことのある言葉だった。


自分がみんなに話していた言葉。


なぜ。


百年前の日記に同じ言葉があるのか。


さらにページをめくる。


すると最後のページに。


一文だけ書かれていた。


---


『未来の挑戦者へ』


『君がこの日記を読んでいるなら』


『きっと学園は再び目覚めた』


『そして君は僕と同じ場所へ辿り着く』


---


その瞬間。


日記が光り始めた。


「!?」


修司は後ずさる。


光が部屋中を包む。


そして。


目の前に一人の少年が現れた。


白い光でできた姿。


百年前の学生服。


神崎悠人だった。


「やっと会えた」


修司は言葉を失う。


「君が……悠人?」


悠人は笑う。


「そうだよ」


学園長ですら驚いていた。


「まさか記録映像が残っていたとは……」


悠人は修司を見つめる。


優しい目だった。


どこか寂しそうでもあった。


「修司」


「はい」


「君は成長する意味を知っている?」


突然の質問。


修司は少し考える。


そして答えた。


「昨日の自分を超えるため」


悠人は微笑んだ。


「正解だ」


だが。


次の瞬間。


表情が曇る。


「でもね」


「?」


「∞ランクには代償がある」


空気が変わった。


学園長の顔も険しくなる。


「やはり……」


悠人は頷く。


「僕はその代償を払った」


「代償?」


修司の心臓が高鳴る。


百年間隠されていた秘密。


∞ランクの真実。


悠人は静かに言った。


「∞ランクに到達した者は――」


光が揺れる。


姿が薄れていく。


「世界から忘れられるんだ」


修司は凍り付いた。


「え……?」


「家族も」


「友達も」


「仲間も」


「誰一人覚えていない」


学園長が目を閉じる。


悠人は悲しそうに笑った。


「だから僕は消えた」


修司は言葉を失う。


百年前。


誰よりも成長した少年。


その結末は――


孤独だった。


そして悠人は最後に言った。


「修司」


「……」


「君ならどうする?」


問いだけを残して。


光は消えた。


静寂。


誰も何も言えない。


修司は拳を握る。


成長の果て。


夢の果て。


その先に待つものとは。


無限成長学園の本当の試練が、


今始まろうとしていた。


---


### 次回


# 第六話


## 「忘れられる未来」


∞ランクを目指せば、

大切な人たちに忘れられる――。


その残酷な真実に揺れる修司。


だがその時、


結衣、悠真、源三たちに異変が起き始める。


そして明かされる、

百年前の神崎悠人が残した最後の願いとは――。


「成長とは、失うことなのか?」


無限成長学園、第六話!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ