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リヴェイル  作者: Siki_2645
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第六話 ~収穫祭の準備~

リヴェイル村に来てから数日。


広場はいつもより騒がしかった。


「あー、今年もこの季節かぁ」


「飾り足りるかねぇ」


「足りなきゃ作ればいいだろ!」


村人たちが忙しなく動き回っている。


荷車には色とりどりの布。

子供たちは花を集めて走り回り、

大人たちは広場の飾り付けを始めていた。


そんな様子を見ながら。


リアは小さく首を傾げる。


「何かあるのですか?」


近くにいたおばちゃんが笑った。


「何かって、収穫祭だよ!」


「収穫祭……」


その言葉に、

リアは少しだけ目を瞬く。


祭り。


もちろん知らないわけではない。


本でも読んだし、

遠くから眺めたこともある。


けれど。


「参加したことはありません」


ぽつりと言うと。


近くにいたサイラスが盛大に吹き出した。


「マジで?」


「何がおかしいのですか」


「いや、祭りに参加したことない奴初めて見た」


「見たことはあります」


「参加は?」


「ありません」


「それは見ただけだろ」


リアは納得いかない顔をする。


「祭りとは見るものではないのですか?」


「参加するもんだろ」


即答だった。


すると後ろから声が飛ぶ。


「リアちゃん!」


振り向けば村長だった。


「今年は参加していけ!」


「え」


「エドもサイラスもルカも手伝うんだ!」


「勝手に決めるな」


広場の隅で寝転がっていたルカが言う。


「お前はまず働け」


「働いてる」


「寝てるだろうが」


村長のげんこつが飛んだ。


ゴッ。


「痛ぇ」


「当然だ」


村人たちが笑う。


リアはその光景を見て、

少しだけ不思議そうな顔をした。


勇者も王女もいない。


ただの村人たちだった。


◇◇◇


その日の午後。


四人は広場の飾り付けを任されていた。


「それをそっち」


「はい」


エドが脚立を支え、

リアが花飾りを取り付ける。


その下では。


「サイラスー!」


「遊ぼうぜー!」


「お前ら今準備中だろ!?」


子供たちに捕まったサイラスが引きずられていた。


「助けろ!」


「頑張れー」


ルカがやる気なく手を振る。


「薄情!」


「人聞き悪いな」


全然助ける気がない。


そんなやり取りに、

エドは思わず笑ってしまった。


その時。


ぐらり。


「あ」


脚立が揺れる。


リアの体が傾いた。


「危ない!」


エドが咄嗟に手を伸ばす。


だが。


その前に。


下からサイラスが支えていた。


「っと」


リアは目を瞬く。


「ありがとうございます」


「気をつけろよ」


「はい」


サイラスは少し笑った。


「意外と危なっかしいな」


「貴方にだけは言われたくありません」


「ひでぇ」


即答だった。


ルカが吹き出す。


「正論」


「お前も同類だからな?」


「巻き込むな」


四人の間に笑い声が広がった。


◇◇◇


夕方。


準備はようやく一段落した。


広場には色とりどりの飾りが並び、

祭りらしい雰囲気が出来上がりつつある。


「綺麗ですね」


リアが呟く。


村長は満足そうに頷いた。


「だろう?」


「この祭りは長いんですか?」


「んー、ずっと昔からだな」


村長は顎を撫でる。


「詳しいことは知らんが、何百年も前から続いてるらしい」


「そんなに?」


エドが驚く。


「昔は人間も魔族も関係なく祝ってた祭りだったとか何とか」


「へぇ」


サイラスが適当に相槌を打つ。


ルカも特に反応しない。


村長も昔話程度の感覚なのだろう。


「まあ本当かどうかは知らん!」


豪快に笑った。


「適当ですね」


「昔話なんてそんなもんだ!」


広場に笑い声が響く。


その頃には、

空は夕焼け色に染まり始めていた。


祭りは明日。


村人たちはどこか浮き足立った様子で、

それぞれの家へ帰っていく。


リアは飾られた広場を見つめた。


初めて参加する祭り。


少しだけ。


本当に少しだけ。


楽しみだと思った。


その感情に気づいて、

自分でも少し驚いていた。


そしてその隣では。


エドもまた、

祭りの準備が進む広場を静かに見つめていた。


明日は祭り。


勇者でもなく。


王女でもなく。


魔王でもなく。


ただの村人として過ごせる一日が、

もうすぐ始まろうとしていた。


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