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リヴェイル  作者: Siki_2645
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第五話 ~四人目~

「誰?」


ルカがリアを見ながら言った。


「リアです」


「ふーん」


興味があるのかないのか分からない返事だった。


その横でアルセリオが苦笑する。


「もう少しまともに自己紹介できないのか?」


「面倒」


「即答だな……」


その時だった。


「おーい!」


元気な声が飛んでくる。


振り返ると、赤髪の青年が大きく手を振りながらこちらへ走ってきた。


「ルカ、置いていかないでくれよ!」


「遅い」


「そっちが勝手に先行ったんだろ!」


青年は文句を言いながらルカの隣に並ぶ。


それからエドたちに気付いた。


「あれ?」


人懐っこい笑みを浮かべる。


「知り合い?」


「エド」


ルカが適当に答える。


「リア」


さらに適当だった。


「説明雑すぎない?」


赤髪の青年は呆れたように笑った。


そして胸に手を当てる。


「俺はサイラス。最近この村に引っ越してきた」


「エドモンドです」


「リアです」


「よろしく」


サイラスはにっと笑った。


「へぇ、ルカが友達連れてくるとか珍しいな」


「友達?」


ルカが眉をひそめる。


「違うのか?」


「知らん」


「えー、ひどいなあ」


アルセリオが吹き出した。


「お前ら本当にいとこなのか?」


「一応な」


「一応ってなんだよ」


「遠いんだよ、血が」


「適当すぎるだろ」


サイラスは肩を震わせて笑った。


◇◇◇


四人はそのまま村を歩くことになった。


サイラスがいるだけで妙に賑やかだ。


「リアってさ」


「何でしょう」


「敬語癖になってる?」


リアが固まった。


アルセリオも固まった。


一秒。


二秒。


「……そうでしょうか」


「なってるな」


「なってますね」


ルカとアルセリオが頷く。


「そうですか」


リアは真面目に考え込む。


サイラスは思わず笑った。


「別に悪いって意味じゃないぞ?」


「ですが村では浮きますね」


「そこまで真面目に考える話じゃねえよ!」


今度はサイラスが突っ込む番だった。


◇◇◇


広場に着くと、子供たちが走り回っていた。


木の棒を剣代わりにして遊んでいる。


リアはその様子をじっと見つめる。


「楽しそうですね」


ぽつりと漏れた言葉。


サイラスはその横顔を見た。


「混ざれば?」


「無理です」


即答だった。


「早いな」


「無理です」


「二回言った」


ルカが欠伸をする。


「じゃあサイラス行ってこい」


「俺?」


「暇だろ」


「ひどくね?」


しかし数分後。


サイラスは本当に子供たちに捕まっていた。


「サイラスー!」


「逃げるなー!」


「待て待て待て!」


完全に遊び相手にされている。


リアはその様子を見つめていた。


しばらくして。


子供たちに追い回されたサイラスが戻ってくる。


「……疲れた」


「弱いんですね」


「今失礼なこと言った?」


真顔だった。


アルセリオが吹き出す。


ルカも珍しく肩を揺らした。


サイラスは思わず頭を抱えた。


「リア、お前結構容赦ないな」


「そうでしょうか」


「そうだよ」


本人だけが気付いていなかった。


◇◇◇


夕方。


リアとサイラスが屋台を見ている間。


アルセリオとルカは少し離れた場所を歩いていた。


「賑やかな人だな」


アルセリオが言う。


「うるさい」


「否定しないんだな」


「事実だし」


ルカは肩を竦める。


しばらく沈黙が続いた。


村の人々の笑い声が聞こえる。


夕飯の匂いが漂う。


どこか穏やかな時間だった。


「ルカ」


「ん?」


「どうしてこの村にいるんだ?」


何気ない質問。


ルカは少しだけ空を見上げた。


赤く染まる空。


遠くの山。


煙突から昇る煙。


そして。


村の風景。


「……なんとなく」


「適当だな」


「居心地いいから」


アルセリオは少しだけ目を見開いた。


その答えは意外だった。


けれど。


「分かる気がする」


自然にそう答えていた。


ルカは一瞬だけ彼を見る。


そして小さく笑う。


「だろ」


◇◇◇


気付けば日が傾いていた。


帰ろうとした時。


遠くから声が飛んでくる。


「ルカー!」


「サイラスー!」


「エドー!」


村人たちが手を振っていた。


四人も振り返す。


すると。


パン屋のおばちゃんがリアを見つけた。


「リアちゃんもまた来な!」


リアは少しだけ目を見開く。


王女ではなく。


婚約者でもなく。


ただの一人の人間として呼ばれた。


ほんの少しだけ。


胸の奥が温かくなった。


「……はい」


自然と返事が出る。


村人たちは笑った。


サイラスも笑う。


アルセリオも笑う。


ルカは欠伸をしながら、


「またな」


とだけ言った。


夕暮れの風が吹く。


リヴェイルには今日も穏やかな時間が流れていた。

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