第四十二話 神であるから
「三鈴、あの風神雷神図屏風だ。あれを破壊しなければならない。……しかし、今気づいたんだがあの屏風は小さい嵐で守られている。」
「……とりま破壊すればいいんですね?」
「できるか?」
「ええ。」
…やれ。やっちまえ。三鈴 一。
三鈴家最後の三鈴。
俺ならできる。俺なら、!!
…手に力を込め、脳でこう言う。
(神ニ告グ 霊媒器具〝死蓮華〟ヲ我ニ与エヨ)
……できた…!
無詠唱…!!
今までの交信は声に出すことによりようやく神と交信することができたが、全知全能のある今、無詠唱で神の力を使うことができる。
死蓮華…
斬りつけた相手の霊媒力や霊力の上限を一次的に減らす。斬りつければ斬りつけるほど、その上限が減る。………姉が最も使っていた霊媒器具。
あの小さな嵐は、霊力で周りを固めることでガードしている。そして器用に中の屏風は傷一つついていない。
………破壊しがいがある!!
「うらぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
三鈴の叫び声は、雷風の嵐の音よりも大きく響いた。
ジャギィィィンンン………
…一発じゃ無理か、?
ジャギィン、ジャギィンジャギィィィン!!!
屏風が見えた、!!
壊せる!!!
すると、さらに大きな嵐に覆われ、三鈴が吹き飛ばされる。
「うわぁぁぁっ!!、……」
くっ………
テレポートをする…!先生の元まで、!
「先生…!」
「どうした三鈴?破壊できてないが」
「できません、!破壊しても破壊しても新たな嵐に囲われて……」
「そうか、わかった。しかしあの屏風を破壊すれば弱体化する…。今じゃあいつには勝てん。どうにかしてあれを破壊したいのだが、私は私の体を保ち雷風の攻撃を防ぐので手一杯なのだ………」
「………先生なら破壊できますか?」
「…おそらくな、」
「なら俺が受けます。雷風の攻撃。」
「なに、?相手は呪だ、まともに食らってはいけない!」
「今俺はゼウスの力を持ってます。なので!やらせてください!!」
「………死ぬなよ。三鈴。」
「もちろん!」
………
「おい雷風!!!」
「んだよてめぇ」
「先生は……無神無人先生は!お前らのモンじゃない!!!」
「あ…?これでも家族だぞ!家族取られてんだよこっちはよ!!!」
「先生はお前らのことを家族だと微塵も思っていない!!!!」
「霊力は繋がってんだ!てめぇらで言うDNA、つまり血がな!!!」
「関係ねぇよ!!先生がちがうっつったら違うんだよ!!!」
「兄ちゃんは洗脳されてる!てめぇらに!!!人間とかいう化け物に!!!」
「お前らのが化け物だろうが!!!」
………ゼウスの力を手に入れた今、……
別の監獄が上書きされた……
多分使える…!一か八か…!神であるからこそ、!!
「「監獄 アテネ」」
………すると、辺り一面が神々しく光る。
そして、神々が円を描くように集っている。かつての監獄、「神ノ集イ」もこのような見た目だが、こんな量の神はいないし、ここまで広くもない。
「あ………?んだよ…これ、は…?嵐が、出せない…!?」
【監獄 アテネ】
ここの監獄では、その監獄内にいる者全員の、一切の能力が使えなくなる。
この効能は、ゼウスが三鈴の脳内に強制的に焼き付けた。
「おい、お前、何をした!」
「……全知全能は、戦うことを好ましく思わないらしいな。」
「は…?」
「なぁ、なんで無神無人先生を連れ戻したいんだ?」
「……俺の兄弟だからな。それ以外の理由を求めるのか?」
「……いいや。いい。大丈夫だ。てめぇと話すのもだりぃ。」
「だからなんなんだよてめぇ、いきなり監獄つかってきやがって」
「まぁまぁ………今にわかるよ。」
「さっきから何言って、」
そして監獄を解いた。
「ったくなんだったんだ………あ……?力が、父上、母上…?!力を!!なぜ…!!」
「……はぁ、お前下見ろって」
「は、…、?」
「三鈴。感謝する。」
そこには、無神無人先生と、バラバラになった風神雷神図屏風があった。
「父上…母上…!!!!!」
「てめぇはもう!!力を出せない!!!」
…………
「あぁ…そうかい。」
「懲りろよ!バカ野郎が!!」
………
「…やっぱさ、人間って非人道的だよな。」
「あ…?」
「家族だっつってんだよ。ここまで言ってわかんねぇの?」
「知ったこっちゃねぇな!!」
「………お前らはどこまで俺の家族を奪う気なんだよ。」
「………あ…?」
「だから!!!お前らは!俺の!家族を!!!どんだけ奪ったら気が済むんだって聞いてんだ!!!」
………
「霊媒師ってのは………まじで………この世に降りてきた霊のこと全部悪霊にするよな。」
「そう教えられてんだよ俺らは」
「んじゃあそこにいるてめぇらの先生は?」
なっ………
「俺らは他者を傷つける能力を持ってたら悪霊になる。だが、傷つけるつもりがなければ悪霊にはならねぇよな?」
「………」
「俺は悪霊になる。兄貴のために。」
「兄貴………」
「だから死ね。人間。」




