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第百四十六章 陽子、丸西組に襲われる

ある日、陽子がやくざ姿で一人夜道を歩いている事を丸西組組員が気付き、携帯で丸西組組長に連絡しました。

組員は、「組長!今日は、丸東組幹部の陽子に護衛がいない。襲うには絶好のチャンスです。始末しましょう。」と提案しました。

組長は、「直ぐに組員数人向かわせるので、それまで見失うな!」と陽子を襲う事にしました。

陽子は、人身売買の件で出掛けましたが、その時、丸西組と争いが始まったと聞き、護衛の組員に、「私にはコスモスもいるので大丈夫だから、あなた方は応援に行きなさい。」と指示していました。

コスモスは、防弾チョッキ代わりに陽子の上着に変身していた為に、丸西組の組員達は、陽子一人しかいないと思っていました。

人気のない場所で、車五台で陽子を轢き殺そうとしました。

陽子は背後から迫ってくる車の様子が可笑しいので透視で確認しました。

丸西組の組員である事を確認した陽子は、上着に化けて警備していたコスモスに意思波で伝えました。

コスモスは陽子を抱えて飛び上がり、車を飛び越えて着地しました。

丸西組の組員は、陽子が空を飛んだ為に驚いて、銃を持って車から降りて来た所をコスモスが電撃で攻撃して、陽子とコスモスは去って行きました。

相手はやくざですのでコスモスは、少し強めの電撃にした為に、気付いても体が正常に動かず車の運転はできない為に、陽子達はもう既に去った事を確認する余裕もなく、車を放置して、みんなバラバラになり逃げて行きました。

陽子を襲った組員のリーダーが、他の組員に抱えられて、「兄貴、ここに病院があるので、診て貰いましょう。」と芹沢外科医院に入りました。

陽子は、丸西組の組員の何人かはここに来ると判断して、入院患者のケアをしている看護師以外のスタッフを全て帰宅させて、コスモスを看護師に変身させて、丸西組との争いも終わった為に、丸東組の組員数名呼び出して、外科医として待機していました。

そうとも知らずに、丸西組の組員は、陽子にナイフを突き付けて、「何か得体の解らない武器で攻撃された!人目に着かない場所で治療しろ!あんたは世界一の名医なんだろう?だったら治療法は解るよな!早く治療しろ!」と陽子に何とかしてもらおうと脅しました。

陽子は、“人目に着かない場所の方が私も都合が良いわね。”と考えて、「それでは、地下室にも医療設備がある為に、そこへ行きましょう。その前に血液検査だけさせて下さい。」と採血して二人を地下室へ連れて行きました。

二人が地下室へ入ると、突然十数人の丸東組の組員に捕まり、「これはこれは、丸西組の幹部の方ではないですか?妙なところでお会いしますね。」と笑いながら銃や刃物などの武器を没収されました。

丸西組の組員は、「何故丸東組がここにいるのだ!東城先生!脅迫されているのか?だったら相談に乗るから、丸東組に協力する事は辞めろ!でないと、丸東組に何をされるか解らないぞ。幹部の陽子は血も涙もない冷酷人間だから。」と陽子を味方にしようとしました。

陽子は血液検査の結果を確認しながら、「私は結婚して、今は梅沢ですよ。相談に乗って頂けるのですか?」と確認しました。

丸西組の組員は、「ああ、相談に乗るよ。何か困っている事があるのか?」と陽子を味方にできそうだと感じました。

陽子は、「そうね、今、困っている事があります。実は肺と腎臓を欲しいのですが、今、血液検査すると、肺はそちらの若い組員のが丁度良くて、腎臓はそちらの幹部組員のが丁度良いので、あなた方の内臓を頂けませんか?」と丸西組の組員を睨みました。

丸西組の組員は、「東城先生、いや、梅沢先生、何を言うのだ!丸東組の組員に脅されて、そんな事をすれば後で後悔するぞ!丸東組はいつから内臓の売買もするようになったのだ!そんな事に協力すれば医者として破滅するぞ!そんな事も解らないのか!」と味方にする事が無理なようなので怒りだしました。

丸東組の組員に、「うちの姉さんになんて口の聞き方をするのだ!」とど突かれました。

丸西組の組員は、「えっ?」と自分の耳を疑いました。

陽子は、「あなた方は、まだ何も解ってないようね。自分が襲った相手ぐらいは覚えとくものよ。」と束ねた髪を解いてサングラスを掛けました。

丸西組の組員は、「お前は、丸東組幹部の陽子じゃないか!」と陽子の予想外の正体に言葉を失いました。

陽子は、「今頃、世界一の名医がやくざの幹部だと気付いても手遅れよ。先程、あなた方との争いで、うちの組員が、内臓移植が必要な負傷をしました。二人共裸にしてベッドに縛り付けなさい。まず、腎臓から貰うわよ。私は冷酷人間らしいから。」と組員に押さえつけさせて腎臓を摘出して、「後はあんたらの好きにしな!」と摘出した腎臓を別室で休ませていた組員に移植しました。

コスモスはその様子を見て、「これが世界一の名医のする事かね?」と驚いていました。

陽子は、「しゃーないでしょう。私の体の中には、スケバンのアヤメさんの血が流れているから。それに私は組員が可愛いのよ。どうしても助けたかったのよ。」と説明しました。

コスモスは、「陽子さんが世界一の名医になったのは、エスベック病などの難病患者を手術で助けたからでしょう?あれは、テレジア星人の能力を使えば簡単にできるわよね。とんだ名医ね。」と呆れていました。

陽子は、テレジア星人には簡単でも地球人にはできないから、矢張り私は名医なのよ。」と自負していました。

コスモスは丸東組の組員に、「あなた方は本当に良い姉さんに巡り合ったわね。こんなにしてまで守って貰えて。」と陽子の感想を述べました。

陽子は、「次は、あなたから肺を貰うわよ。」と丸西組の組員に迫りました。

丸西組の組員は麻酔なしで、腎臓を摘出される様子を見ていた為に、慌てて、「辞めろ!人殺し!」と叫びました。

陽子は、「何が人殺しよ!私を車で轢き殺そうとしたくせによく言うわね。」と肺も摘出して組員に移植しました。

肺を移植した組員が目覚めると陽子は、「暫くは大丈夫だと思いますが、どれだけ持つか解りません。体調が悪ければ連絡して下さい。直ぐに手を打ちますから。」と指示しました。

組員は、「移植は成功したのではないですか?」と手術中に何かあったのかと不安そうに聞きました。

陽子は、「移植では腎臓や肝臓や心臓など色々と聞いた事があると思いますが、肺移植というのはあまり聞いた事がない理由を知っていますか?」と確認しました。

組員は、「そうですね。確かに肺は二つありますが移植は聞いた事ありませんね。何故ですか?」と不思議そうでした。

陽子は、「肺の中には空気が入っていて、摘出、つまり人体から切り離して取り出すと萎んでしまい、移植は極めて困難です。今迄でも世界で数例しかありません。」と説明しました。

ある組員が、「お前は鈍感やな。世界でも数例しかないという事は、お前は実験台だぜ。」と笑っていました。

組員が、「姉御、それは本当ですか?」と心配そうに確認しました。

陽子は、「それは否定しませんが、例え実験台でも、これの方が長生きできます。私があなたを死なせないわよ。あなたのバックには世界一の名医が付いているのよ。安心しなさい。外科医で肺移植を数回経験しているのは私だけでしょうね。」と組員を安心させました。

組員が、「姉御、それでしたら何故発表しないのですか?世界一の名医の名声が更に上がるのではないですか?」と何故発表しないのか理解できませんでした。

陽子は、「丸西組の組員を殺して、肺移植をしたと発表するの?今迄の移植もあんた達が殺した人から摘出したのよ。そんな事を発表すれば、あんたらも殺人罪で刑務所行きよ。発表できる訳がないじゃないの。」と発表しない理由を説明しました。

別の組員が、「それでは、俺達の殺人も医学の発展に貢献している訳ですか?」と笑っていました。

陽子は、「あんたは何を考えているの?私は何も殺人を奨励している訳ではないのよ。一人でも多くの組員を助けたかっただけよ。」と補足説明しました。

陽子は、「丸西組の組員は死んじゃった?」と死体処理の準備をする必要があるか確認しました。

組員は、「ええ、肺を摘出したやつは、心臓が露出していた為に、握ると止まり、意識不明になりました。医者の真似事をして、直接心臓マッサージすると再び動き出し意識が戻った為に、同じ事を何度も繰り返していると、もう動かなくなりました。」と説明しました。

陽子は、「あなたも残酷な事をするのね。」といつもの事だから仕方ないかと諦めました。

組員は、「姉御の方がずっと残酷ですよ。麻酔もなしに肋骨を折って、肺を摘出して、押さえている俺達でさえ気持ち悪くなりました。」と俺達だけではなく陽子も残酷だと指摘しました。

陽子は、「仕方ないでしょう。麻酔は外科医でも自由にできないのよ。組員の麻酔だけしか用意できないのよ。こうでもしないと、うちの組員を助けられなかったのよ。そう言うのだったら、あなたが大怪我をした時には、見殺しにすれば良いの?」と好きでやっている訳じゃないとその組員を睨みました。

組員は、「いや、時と場合により残酷な事も必要です。」と慌てて補足説明して、陽子には逆らえないと感じました。

コスモスが、「その死体をどうするの?不要だったら、貰えない?」と死体を欲しがっていました。

陽子は、「確かに不要ですけれども、どうする気?死体を警察に見付かると厄介な事になるわよ。」とコスモスが死体を使って何をしようとしているのか理解できませんでした。

コスモスは、「テレジア星人は肉食よ。食べるだけです。後は太陽に投げ込むから大丈夫です。」と説明しました。

陽子も納得し、死体の処理はコスモスに任せました。コスモスはアヤメに連絡し、丸西組の組員は二人の食事になりました。

その様子を見ていた組員は気持ち悪くなったようでした。

陽子は、「何か文句あるの?コスモスさんは、丸東組についているのではなく、私についているのだから、私が指示すればあなたも食べられるわよ。」と睨みました。

アヤメは食事の途中で血だらけの口で、「お前も食べて好いのか?美味しそうだな。」と睨みました。

その組員は、「いえ、何も文句ありません。」と怯えていました。

この一件以来、丸東組内部での陽子の権力は更に強くなり陽子に逆らう組員は誰もいなくなりました。

その後、食べカスはコスモスが説明したように太陽に投げ込みました。

アヤメ達と相談して、今後死体処理は全てコスモスとアヤメで処理する事にしました。


次回投稿予定日は、11月27日です。

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