5月25日(水)放課後 〜終章〜
5月25日(水)放課後
放課後、図書館当番のアミにナギはついて行った。
ナギの手には返却期限の迫った『レグルスからの伝言』。
今日こそは図書館に返却して、改めて新しい本と交換してもらうことを提案しようと思って持ってきたのだった。
案の定、図書館では今度は牛尾先生に呼び出された。
衝立の後ろ、あの教員用パソコンの前に2人して立たされる。
長い沈黙の後、牛尾先生はきわめて深刻な表情でいった。
「図書館のこのパソコンを勝手に閲覧したことには大変心を痛めています。
1生徒に対して大人数で個人情報を調べたり、名指しで呼び出したり。
厳重な処罰の対象となっても不思議ではないことです。
それにしても、……あなた達をがこんな大それたことをするなんて!
私も自分の監督不行き届きに責任を感じています。
まずは今後このようなことがないよう、まずは心から反省すること。」
(でも牛尾先生、先生も私の「貸し出し記録」を三瓶さんに見せたんじゃないですか?)
叱られながら、ナギは心の中でつっこんでみた。
しかし、今となってはもうどうでも良いことだ。
「申し訳ありませんでした。今後気をつけます!」
ナギとアミは声をそろえて深々と頭を下げた。
★★★
今日が図書館の当番のアミは、カウンターに入った。
エプロンを付けるた姿に、ナギは小さくバイバイと手を振った。
ナギは本を返却したついでに、点字の入門書を1冊借りて、図書館から出た。
渡り廊下でちょっと立ち止まり、ナギはグラウンドの方を見る。
丁度陸上部が練習中、そこには酒匂さんの姿もあった。
<陸上クラブの練習、混ざってみたら>
先週酒匂さんが行ってくれた言葉をふと思い出す。
(体育祭まであと3週間しかないけど、今からでも練習に参加させてもらうとか……でも。)
バトン練習のとき、ナギに背を向けて盛り上がっていた陸上部のメンバーの姿を思い出す。
ナギは思わずイヤイヤするように首を振った。
しかしその刹那、あの小さな背中がひらめいた。
小柄な三瓶さんのしなやかで勇敢な背中が。
(ムリかもしれない。
……でも、せめて見学するだけ…でも。)
そして、ナギは顔を上げて教室に向かう。
応援団員の阿部さん三津谷さんと打ち合わせをするためだ。
先生達の厳しいチェックが入っった結果、アミと応援団で考えた派手な演出、全て「ダメ出し」をくらってしまった。
それでも、今のナギは、どうにかして応援合戦を成功させたかった。
せっかく引きつけると決めたのだから。
(目下最大の懸案は、応援合戦の衣装ってことよね。
「学ラン」にするか、それとも「新撰組のハッピ」にするか……。
重要なのは、どちらがより目立つかってこと。)
ナギの足下でスノコはカタカタと明るい音を立てた。
(おわり)
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