5月25日(水)朝
5月25日水曜日 朝
次の日も学校内は朝から騒然としていた。
先生達も落ち着かない様子だ。事態を把握するために、職員会議が開かれている。
教室に入ると、ナギはまたしてもクラスメイト達に取り囲まれる。
ナギは三瓶さんと話が出来たこと、その内容をみんなにかいつまんで説明した。
ナギの説明を聞きながら、みんな口々にいろんなことをいった。
「だから、こういう事は良くない、っていったのに!」
中には怒ったりあきれたりしている者も複数いた。
それに、また噂のネタになりそうなのは気が重かったが、あんな騒ぎを起こしてしまったのだから仕方がない。
ナギは改めて皆に迷惑をかけてしまったことを謝った。
次にナギは昨日の顛末を阿部さんと三津谷さんから聞いた。
昨日現れ3年生は、学外で有志のボランティア活動をしている生徒達だった。
内容は「友達をからかうなんて許せない」という趣旨。
普段からボランティア団体の主催する点字の勉強会などにも参加しているのだそうだ。
だから、2年生でつくった人文字が点字だとすぐ気がついたのだという。
「全く『いじめ』なんてないって。
むしろハンデをものともしない明るい性格でみんなに好かれていたって。
2年生のくせにいじめているんじゃないよって、逆に叱られちゃった。」
アミは肩をすくめた。応援団員2人もしょんぼりしている。
「三瓶さんって、」
と、アミが説明してくれた。そもそも「メガネザル」と呼ばれていたらしい。
「そのあだ名も正直あんまりいい感じじゃないって思っていた。
でも三瓶さんが自分からいい出したあだ名だったんだって。
ある日、三瓶さんが自分のメガネを指して、ニコニコしながらいったんだって。
『すごい分厚いでしょ、このメガネ。』って。
だから『メガネザル』でいいよって。
でも視力がどんどん落ちてメガネが分厚くなっていって……。
だんだん、このあだ名をいうのをみんながためらうようになったんだって。
そしたらある日、三瓶さんの方から『メガネ』が気になるのなら、今度から「サル」って読んでって。
「三瓶ルリカ」の名字と名前を1文字ずつ取っているだけだから問題ないでしょ、って。
だから普段はクラスのみんなは愛情を込めて『サルちゃん』って呼んでいるらしい。」
アミは自分の推理がいかに的はずれだったか思い出してとてもバツが悪そうだった。
(三瓶さん、よっぽど前向きで明るくてさばさばした人なんだろうな。)
ナギはこのエピソードをむしろほほえましく思った。
そうこうしている間に教室のスピーカーに放送が入りった。
ナギとアミ、そして応援団員は職員室に呼び出され、いろいろと質問された。
そして職員会議の結果くだされた罰はこうだった。
青組の応援合戦の練習は教師の監視の下で行われること。
応援合戦の内容にも先生のチェックが入ることとなった。
「このことは、牛尾先生にも話しておくからな。
ちゃんと謝るんだぞ!」
最後に、チョーカイは一喝した。
しかし、ナギ達はむしろほっとしていた。
何しろあれだけの騒ぎを起こしてしまったのだ。
もっと厳しい罰が下る可能性もあっただろう。
なによりも、青組の応援合戦自体が、中止とならなかっただけでも良しとしなければならない。
(つづく)




