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4月20日(金)朝(回想2)

4月20日(金曜日)朝(回想2)


 ナギが取り出したのは、先日図書館から借りてきた『マウナケアの空を見上げて〜ハワイの天文台』だ。

ページをぱらぱらとめくり、「獅子座流星群」の章を開く。

ページ一杯に広がる星空の写真は、ひときわ明るく輝く獅子座の主星、アルファ=レグルスと、そこから立ち上る「獅子の大がま」と呼ばれる星々の連なりが特徴的だ。

次のページには、その獅子座の付近からすっと尾を引く流星が放射線状にのびている写真。

星々は、見開き一杯に大きく引き延ばされて印刷されていた。


(ローズはこの獅子座の流星群を見ながら、「ケン」からのメッセージを受け取ったんだよね。)


物語の続きはこうだ。


 物語序盤でローズの前から姿を消したケン。

ローズは彼女の元に届けられた電子メールを手がかりになぞを追ってゆく。

ミステリアスな展開と共に、彼を取り巻く国家機密に関わる陰謀に巻き込まれてゆく。

その中で「ケン」が諜報機関にによって作り上げられた架空の存在であったのだと知らされる。

自分とケンの生活が、全て偽りのものだったと分かり、絶望のどん底に突き落とされる。

そんな中最後に行き着いた先が、全てのことの発端であるハワイのマウナケア山。

獅子座流星群が降り注ぐ中、思いがけない女性が待ち構えていた。

女性はローズに拳銃を突きつけながら手紙を渡す。

生きるか死ぬかの瀬戸際で、彼女は手紙の封を切る。

すると、そこにはあのなつかしい「ケン」からの言葉が……!

手紙を胸に抱き、ローズは、万感の思いで流れ落ちてゆく星々を見つめる。


 写真集を見ながら、ナギは思う。

「三瓶さん」もあの『レグルスからの伝言』を読んだからこそ、この流星群の写真を借りたくなったのだろう。

それはあの、流星群を見上げるローズの心境に共感を覚えるような人であるということだ。

そんな人が、悪意から図書館に イタズラをするわけがない、とナギは信じたかった。

なのに、なぜ本のページを破いたのか。


(やっぱり、どうにかして彼女と実際に会って話してみたい。)


 そして、さっきアミが大演説をしていた途中で、頭の中で一気につながったあの推理は本当に正しいのか。

……ナギはどうしても確かめたかった。それから当初「イタズラ」を止めるという大義名分があったとはいえ、勝手に学籍番号と名前を調べてしまったこと。これは絶対にしてはいけないことだった。

きちんと「三瓶さん」に謝らなくてはならない。


(……でも、もし自分の推理が外れていたら?)


と臆病なナギは考える。アミのいうようにリアルに「いじめ」が行われているのかもしれない。

そんな中にいきなり無関係な2年生風情が押しかけたらどうなるだろう。

だから、確証もないまま不用意な行動、−−例えば、教室を直接訪ねたり、下駄箱に三瓶さん宛の手紙を直接入れてしまうようなこと−−はできない。

みんなに気がつかれないように、本人にだけ気がついてもらう。

そしてこちらの要望に対して自発的に行動してもらう。

間接的な方法で直接会えるようにセッティングして話をする。

この矛盾する目的を同時に満たす良い方法は何か無いだろうか。

 ナギは考えて、考えて、ついに思いついたのだった。


(この方法なら、もしも私の勘が当たっているならば、彼女の方から出てくるはず。

そして全てがナギの勘違いならば三瓶さんは現れないだけだ。従って何もことは起きない。)


 ナギは、さらに思いつきを煮詰めて計画を練った。

そして、それには応援団と、クラスのみんな、そしてアミの協力が不可欠だった。


(つづく)

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