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5月19日(木)夕方5

5月19日(木曜日)夕方5



「ええ?」


思わずナギが聞き返した。


「正確にはね、」


アミは重ねて言う。


「ウエディングプランナーになりたいの」


「…え、ええーっ?!」


 唐突な爆弾発言に、ナギは思わず声を上げた。


(ちょっとまって『三瓶さん』の話はどうしたの? 

は、……話が見えないよ!)


 激しくとまどうナギにかまわずアミは続けた。


「わたし、歳の離れたお姉ちゃんがいるの、前にナギには話したことあったよね。

 実はこの間、つい先週、ゴールデンウィークに結婚式をしたんだ。きれいだったよぉ……。

お姉ちゃんの花嫁衣装。こう、スカートがふわぁって広がって…お色直しもしたんだよ。

最近はジミ婚が主流だからしない人も多いみたいだけど。

せっかくだからって親にいわれてね。

でもね、おねえちゃん、お金もかかるし大げさなことは恥ずかしいってぶつぶついっていたの。

なによりも、おねえちゃんずっと周りに気を遣って顔が引きつっていた。

まあ、旦那様の実家が田舎の古〜い家、広い土地を代々守っているような由緒ある一族たから。

仕方ないっちゃ、仕方ないんだけど……。」


アミの話は続く。


「でも! 私、横からそういうことをいろいろ見ながら思ったの。

人生の晴れ舞台はなんて一生に何度もある訳じゃない。

自分の母親とか見ていて思うもの、毎日の家事なんて本当に地味なことだよ。

だから、せめて晴れ舞台にはちゃんと花嫁さんが主役らしく一番輝けるように手伝えるような仕事をしたいなって。

もしも私がウエディングプランナーになれば、手がけた結婚式の数だけずっとその幸せな瞬間に立ち会えるって訳。」


アミはにっこりと笑った。そしてあらためてナギに向き直った。


「私、ナギのことずっと歯がゆく思っていたの。

 ナギは背も高いし、色白だし、姿勢が悪いのが玉にキズだけど

……はっきりいって下級生から人気がある。

なのに、そういうふうに見られている自分を、臆病なふりして否定している。

嫁ぎ先が名家だからって、誰も頼んでいないのに勝手に色々背負っちゃっているお姉ちゃんと一緒。

しかも、さっきみたいに主張しなきゃいけない所でも、自分から身を引いて黙っちゃうし。

そういうところほんとにちぐはぐで、なんだか滑稽だわ。

正直、『逃げてばっかりいるんじゃないよ!』って思う。

 せっかく頼みにしてくれる人達がいるのに、応援合戦だって、さっきの演劇だって、やってみればいいのに、恥ずかしがって隠れることばかり考えている。

断った理由だって、興味がないっていうよりも、臆病な気持ちからなんだよね。」


 どさり、どさりとアミの重い言葉がナギの上に降り注ぐ。

アミの畳み掛ける言葉によって、ずっとコンプレックスだったはずの大柄な体が、肩が背中が腕が足が、一回り、また一回りとどんどん縮んでゆく。


 大演説はまだ続いていた。


(つづく)

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