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5月19日(木)夕方4

5月19日(木曜日)夕方4


しかし、アミの妄想は止まらない。


「ナギのことが『好き』なんじゃないの。」


(ああ、やっぱり。)


ナギは心の中でがっくりと肩を落とした。


「お姉様の面影を追いかけて同じ本を……

あ、でもこの場合お姉様は『三瓶さん』の方かぁ。

さすがだわぁ、ナギ。」


「いや、そういうことじゃなくて!!」


「漫画クラブの子が前に騒いでいたじゃない。

ほら、こういうのなんていうんだっけ……?」


「もう、茶化さないでってば!」


 またしてもナギは、マルちゃんとの会話を思い出していた。

おかっぱにした髪の毛から覗いた、その真っ赤に染まった耳を。


「じゃあ、やっぱり三瓶先輩、色々悩んでいるんだよ。

よく分からないけど何かコンプレックスみたいなのがあってさ。

それで、自分にないものをナギに求めているのかも…。」


「もう、アミ! やめてっ!!」


ナギは思わず大きな声を出してしまった。

アミの肩越しに、校庭で活動していたソフトボールクラブの面々がこちらを見ている。


「アミ、もうやめよう……。」


ナギは幾分声を落としていった。


「私が初めに『三瓶さん』のこと調べようっていったんだよね。

ページを破いた犯人だからって。でもこんな風に他人のプライバシーに首をつっこむのは、はっきりいってやり過ぎ!

 ……アミだって、私のこと手伝うフリして、結局のところ、自分の欲しい物をゲットする手段位にしか考えていないし。

私たちって、今、面白半分に人の秘密を勝手にあばき立てて、勝手に推測してうわさしているのと何にも変わらないじゃない。

私は単に図書館の書架にイタズラしたり、本のページを破くようなことするの、やめて欲しかっただけ。

そういうことに、その……す、好き、とかコンプレックスとか……関係ないよ!!」


 放課後の校庭にナギの言葉は吸い込まれていった。

ナギの強い口調にびっくりしたのかアミは黙っていた。

しばらく交わす言葉がないのまま校門のところまでふたりは歩いていった。


ナギが、沈黙に耐えきれずに『ごめん、いい過ぎた。』といおうとしたそのとき、アミが口を開いた。


「……あのね、私、前からナギにいおうと思っていたことがあったの。」


いつになく真剣な口調でアミがいう。


「私、実はプロデューサーになりたいの」


(つづく)

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