5月19日(木)夕方3
5月19日(木曜日)夕方3
ナギはちらりとアミの方を見た。
アミは歩きながら、あごに手を当て、いつものポーズをとっている。
ナギは嫌な予感がした。そして予感は的中した。アミは独り言のようにしゃべりだした。
「……彼女、きっと勉強が出来なくて悩んでいるんだよ、それに…もしかしたら実はいじめられているかもしれない?
『サル』なんてあだ名、動物じゃあるまいし、女の子でそんな風によばれたらフツーはいやだって思うでしょ。」
アミはあごから手を離し、掌を両脇に広げてこういった。
「それで、腹いせで図書館にイタズラをしているんだ。
ナギがいっていた図書館の異変は彼女の心の叫びなんだよ。
『三瓶さん』カワイソウなのかも。」
案の定、いつものアミらしい、むちゃくちゃな推理が炸裂している。
しかし、実はナギも同じようなことを考えていた。
確かに矢沢さんや歩川さんから聞いたことを総合すると、当たっているような気がしないでもない。
しかし、マリジョはどちらかというと和気あいあいとした校風だ。
しかも高校3年生にもなっていじめなんてあるだろうか?
それに、いじめられたストレスを図書館の本にぶつけるというのも変な話だ。
筋違いにもほどがある。好きな本をぞんざいに扱うなんて、本好きなナギには想像がつかなかった。
なんといったらいいのだろう、違和感が残る。そう例えばこんな事もあった。
<私、いつも見ているから……!>
マルちゃんのあの言葉が頭でまた再生される。
(そうだ!)
ナギは唐突に思い出した。
ナギはなおも推理を続けようとするアミを遮っていった。
「ちょっと待って。そういうこと勝手に決めつけるのなんだか良くないよ。
それにね、私、昨日また1つまた発見したの。」
ナギは、昨日、図書館で発見したこと、……つまり4月の下旬、6冊もの本をあたかもナギの読んだ本を追いかけるように予約しているらしいということを、手短に話した。アミは一瞬黙り込んだがこういった。
「もしかして、……」
またあごに手を当てる、
「ちょっとまって! それは違うと思う。」
ナギはあわてて止めに入る
「『三瓶さん』って、……。」
(つづく)




