5月19日(木)夕方2
5月19日(木曜日)夕方2
しかし実際にナギの口から出てきた言葉は全く違っていた。
「だから、もういい、っていっているでしょ。
だ、だって、ほら、そうやって結局、私の知らない所で勝手に色々したこと、まーったく謝らない気でしょ。
……わ、私はね、怒りを通り越してあきれかえっているの!!」
怒りにたぎった目でにらみつけるナギを、アミは一瞬、真顔になって正面から真っ直ぐ捉えた。
2人はしばしにらみ合った。……しかし、先に目をそらしたのはナギだった。
すねるナギを横目にアミはカバンや、ぬいぐるみの入った袋を地面に置き、指を組むとぎゅーっと真上に伸した。
気まずい沈黙。
アミはひとしきり伸びをした後、両手をほどいて両手をひらひら振り、あっけらかんとした声でいった。
「本当にいいの? あ、そう……それじゃ、次の話題。
今日分かったことから『三瓶さん』について考えよう。
今日も色々分かったことがあるし。本当のところ、何なのかを推理してみようよ。」
(……やっぱり反省していない)
ナギは重いため息をついて、渋々同意した。
「…………。分かったわ。」
「じゃ、まずはお互いにシンキングタイム、スタート!」
弾んだような声で宣言したアミと並んで歩きながら、今までのことを頭の中で整理しようと試みた。
しかし、ナギは怒りの収まらない、その上、頭の中はクエスチョンマークで一杯だ。
発端は、図書館での愉快犯的なイタズラ。
新刊書ページをびりびりと引き裂くような大胆な行動は図書委員に対する挑戦状とも受け取れる……しかし。
方々で聞き込み調査をした結果、新しく明らかになった事実は、どちらかというと地味で暗い印象
……クラスの隅に座っている印象の薄い生徒。
あだ名はお世辞にも「愛称」とはいいづらい「サル」。
加えて特定のクラブには所属していない。
本好きで帰宅部ということから、もしかして塾通いのガリ勉と思った。
しかし、占いの内容が「進級できますか」だ。
これは、一体どういうことなのか?
そしてさっき、文芸クラブの1年生がとった妙にかたくなな態度。
考えれば考えるほど印象が食い違ってくる。一体どの事実を真実と信じたら良いのか。
いつしかまたナギの脳裏には書架の前で見た小柄な姿が浮かんできた。
ぶかぶかの制服。どことなく縮こまったような立ち姿。
(それは、つまることろ……。)
(つづく)




