5月19日(木)放課後4
5月19日(木)放課後4
アミはナギの手首をつかんだまま、廊下をずんずん歩いてゆく。
どうやら体育館に向かっているようだ。
「……ねえ、アミったら!」
ナギはその腕を引っ張って、アミを引き止めた。
「せっかく『三瓶さん』のことを知っている子に会えたのに!
何であっさり引き下がっちゃうのよ?」
「……え? ああ、だって本人が話したくないっていってたじゃない。
仕方がないでしょ。」
「ねえ、文芸クラブに戻ろうよ!
あの子、絶対何か知っているよ!」
「ナギ、時間がないのよ。
次の場所にアポを取ってあるの。
もう5分も遅れているわ。」
アミはいうなり、まるで社長付きの秘書のようにてきぱきとした口調でいい放った。
ナギの腕をつかんだまま再び歩き始める。
そんなアミをナギはもういちど強引に引き止めて詰問した。
「アポって、何のこと?
せめてどこに行くか位聞いてもいいでしょ?」
「次は、……演劇クラブ。」
「?! なんで演劇クラブなの?
今回のこととは関係ないんじゃない?」
驚くナギに、アミは得意の推理を披露した。
「ナギ、甘いわ。演劇といえば、脚本!
もしかしたら、脚本を書くには専門的な資料が必要かもしれないよ。
ナギ、あなた、図書館がイタズラされているのはマイナーなジャンルばかりだ、といっていたわね。
それって、実は、脚本を書くための資料を探していたのかもしれないじゃん。」
「あぁ、なるほど。……。」
ちょっと強引なような気もするが、一理あるかもしれない。
再び早足で歩き出したアミの背中を少し頼もしく思いながら、ナギはアミの後についていった。
(つづく)




