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5月16日(月)放課後1

5月16日月曜日 放課後


 今週末の金曜日には応援団長を引き受けるかどうかを決める約束の日が来る。

しかし実のところ、ナギはまだ心を決めかねていた。


 放課後、ナギはジャージに着替えるとため息を1つついた。

そして、バトン練習に参加するためにグラウンドに出る。

様々なジャージを着た生徒がたむろするその頭上が「ふっ」と暗くなる。

夕日に照らされた校庭が校舎の影に入ったのだ。そう、練習が始まる時間。


 トラックの定位置に立つと、5月の風が肌に心地よい。

しかし、その一方で、四方八方から視線が突き刺さるように飛んでくるのを、ナギは感じた。

視線の大半は重く冷たかった。


 耐えかねて足元を見るとそこには派手な色使いの新品の靴。

他の選手の靴と比べて、自分の靴がまだほとんど汚れていないことが実に後ろめたい。

隣のレーンの選手が早速その靴を見とがめた。


「ヒュウッ」


軽く口をすぼめて口笛を吹いた。


「それ最新モデルじゃん。すっごいねえ……その程度の足で。」


聞こえよがしに呟く。

思わずその顔を見ると、相手はすっと視線をそらした。


 自然に眉間にしわが寄るのを感じながら前方を見る。

すると、今度はナギの次走者の3年生−−山本さんという名前というらしい−−が、ナギを睨みつけていた。

こちらも目が合った瞬間にすっと逸らされてしまった。

明らかにナギと運動部員の間には溝があった。


 最悪なのは、校庭の隅の木の陰に1年とおぼしき数人の女子がたむろしていたことだった。

どうやらナギを見に来たらしく、時折きゃあきゃあと華やいだ声を上げていた。

もちろん、このギャラリーの存在が他の選手達にどんな風に受け取られているか、想像するまでもない。


「チッ!」


 後ろで舌打ちがして思わず振り返ると、今度はそこにいた全員がそっぽを向く。

気のせいかと思って前を向くと、今度は背後で意地の悪いクスクス笑い。


 唯一希望がもてたのは、心持ち楽にみんなの走りについて行けたことだった。

毎朝のランニングがすこしずつ効果をあらわしているようだった。


(気の持ちようかもしれないけど……たったの3日でも違うなぁ。)


ナギは少しだけ気分が明るくなった。


(つづく)

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