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5月16日(月)昼休み2

5月16日月曜日 昼休み2


「この表にある番号ってすべて『図書管理番号』でしょ、だから……。」


 ナギの懸念をアミが引き継いだ。


「『図書管理番号』から貸し出し記録調べられたっけ、カウンターの端末で。」


「ムリ。」


「せめて、『図書管理番号』から書名の検索は……。」


「それも、ムリよ。そんな機能なかったはず。」


 カウンターの端末では、書名か著者名、あとキーワードを使っての書籍の検索しかできない。


「じゃあ、もしかして、どんな本を借りたか調べるのにも、書架の棚から引っ張り出して1冊ずつ見て行かなきゃいけないってこと?」


ナギは重々しくうなずいた。


「図書館の蔵書数って、たしか……。」


 アミはサンドイッチを手に持ったもまま、大げさに頭を抱える。


「……5万冊くらい。始業式の挨拶の時に牛尾先生が自慢してた。」


 5万冊の本を1冊ずつ調べている自分の姿はさすがに想像したくなかった。

暗い顔をするナギの横で、アミは唐突に顔を上げて、至って軽い調子であらぬ事を言い始めた。


「んじゃ、こうしましょ。また矢沢さんに頼んで、今度は先生の端末からズバリ名前を……。」


「アミ! それは、絶対、ダメ!」


 アミの提案を遮って、ナギは強い口調でいった。

もうあんなふうに心臓が止まりそうになるような思いをするのはたくさんだ。


 第一、今回のことで十分マルちゃんや矢沢さんに負担をかけてしまったのだ。

これ以上危険を冒すようなことを頼むのはいやだった。


 アミはナギをじっと見つめてしばし沈黙した。

ナギの頑な態度を崩す事が出来ないと悟ったのか、ふっとため息をついて、空を見上げた。

あごに手を当てるいつもの仕草をした。


「……でもさ、ナギ、これは考えようによっちゃ、朗報かもよ。

つまり、よく図書館に来て本を予約する人だから、カウンターで待っていればまた予約しに来るってことじゃない?」


「まあ、そうなんだけど、……。」


予約票には名前と学籍番号を書く欄がある。


案外チャンスはすぐやってくるかもしれないじゃん。

そうしたら今度は予約票をチェックできるわよ。」


アミは至って楽観的だ。

一方ナギは相変わらず顔色が晴れない。


(でも……その時は一体いつ来るのだろう?)


 午後の授業の開始を告げる予鈴が校舎の中からはい上がるように鳴り響いた。

その輪郭は空に向かって広がりながらぼやけていった。


(つづく)

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