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5月13日(金)夕方3

5月13日金曜日 夕方3


「M09088」


これがその『誰かさん』のようだった。


「09年入学ってことは、3年生の番号ってこと?」


ナギが呟くとアミはうなずいた。


「みたいだね。先輩なんだぁ……んんっ!」


 そして、手を組んでキューッと背伸びをした。


「とにかく、学籍番号が分かっただけでも大きな進歩だよね!

じゃあさ、土日は推理タイムとしよう。

お互いにもうすこし掘り下げて考えてみて、その推理を月曜日につきあわせてみようよ!」


「うん! ……あ、でも私、月曜日の放課後はリレー練習があるのよ。」


本当は行きたくないんだけど、という言葉は飲み込んでナギはいった。


「そうだっったね、練習頑張って!

じゃあ、昼休みにお昼食べながら屋上で話そうよ。

あ、そうそう、その『誰かさん』の学籍番号、メモさせて。」


アミはその番号をメモした。そして、


「この番号を手がかりにいろいろ推理してみる。

この紙はナギが持っていなさいね。

貴重な戦利品なんだから。」


と、2枚のプリントアウトをナギに渡した。


 気がつくと夕闇が迫っていた。冷たさを含んだ春の風が手に持った紙がかさかさと風にあおられた。

夕暮れの通学路は家路を急ぐ人々や夕飯の支度をする物音や調理のにおいで息づいていた。


 アミと別れたナギは、カバンにプリントアウトをしまいながら、自分がとてつもなく疲れていることに気がついた。

先ほどの「スパイ大作戦」で張りつめていた緊張がほぐれ、ようやく熱がさめてきたのだった。


 相手の学籍番号が分かったところで話が急に現実味を帯びてきたような気がして、ナギはとまどっていた。

というのも、そもそもの動機は、「誰かさん」がページを破いた理由を確かめること。

そして、本棚のイタズラに関係しているのかを「問いただして、やめてもらう」ことだったはず。

 つまりどうしたって相手を非難するような口調になってしまうのは間違いない。

しかし、相手が実際に目の前に立ったとき、果たしてナギにそれが出来るのか……。


(つづく)

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