5月13日(金)放課後2
5月13日金曜日 放課後2
「ナギ! ナギ!」
アミが伸び上がるようにして呼んでいる。
ナギは本を抱えたまま小走りでカウンターに向かう。
返却図書を置いて衝立の裏、牛尾先生の指定席にたどり着いた。
ナギは背が高いのを気にしてパソコンの脇に片膝を着いてしゃみこんだ。
パソコンクラブの矢沢さんはすでに先生の椅子に座ってパソコンを操作している。
そこには、先生がいましがた作業していた画面が表示されていた。
なんと、来月入ってくる新着図書のリストだ。
どんな新刊書が入ってくるのか、ナギは、内容がとても気になったが、今はじっくり見ている時ではない。
いつマルちゃんと先生が戻ってくるか分からないのだ。
そうしている間にも、矢沢さんはてきぱきと操作を続けた。
あっという間に、予約図書のログページを開けてしまう。
そこはいつも見慣れた分かりやすい画面と打って変わった雰囲気。
素っ気ない表に、小さな文字でぎっしりと数字やアルファベットが並んでいた。
「これでいい?」矢沢さんはあっけらかんと聞く。
「さすがパソコンクラブの部長!」
とアミ。すかさず早口で続ける。
「ねえ、これプリントアウト出来ないかな?」と、脇のプリンターを指さす。
(ち、ちょっと! そんなことして大丈夫なの?)
ナギは反論しかけたが、アミの口調は断固とした物だった。
「今月の分だけでいいからさ。」
「オッケー!」
矢沢さんはマウスを動かして素早くクリックした。
一瞬間をおいて、プリンタがウイーンと細かく体をゆすりはじめる。
「ウインドウ、元に戻しておくね。」
と素早く先ほどの状態に画面をもどした。
そして、パソコンを操作したことで、タイムラグが出来てしまったのを悟られないようにスクリーンセイバーを起動させた。
(つづく)




