5月12日(木)昼休み2
5月12日木曜日 昼休み2
「図書館の教員用パソコン…?」
ナギはハラハラしながら、アミが矢沢さんに事のあらましを説明をするのを聞いていた。
(きっと矢島さんだってイヤだよね。こんな事をしたら、絶対にばれるって……)
しかしナギの予想は外れ、矢沢さんはニコニコしながらいった。
「へえ面白そう〜。いいよ!」
矢沢さんはパソコンクラブでも中心的な存在で、根っからの「おもしろがり」だったのだ。
パソコン占いやトトカルチョだけでなく、新聞クラブの歩川さんと手を組んで、いつも楽しい企画をしてはちょっとした騒動を起こしているのだ。
「でも。」
と矢沢さん。
一瞬動作を止めて、目を細めてにやりと笑った。
そして幾分小声になって続ける。
「……やっぱりアレがないと……。」
矢沢さんは右手の人差し指と親指を軽くすりあわせる。
「マリジョの『アレ』よ……つまり報酬は?」
待っていましたとばかりに、すかさず答えるアミ。
「新学期始まって早々1年生のあこがれの的として人気急上昇中、新開ナギさんの生年月日。」
(え? ア、アミったら、何をいい出すの?)
ナギが驚きの声を上げる間もなく、アミはナギの肩をバン! とたたいた。
「ちょっと、痛いって……、ていうか!」
ナギは抗議の言葉をいおうとしたが、歩川さんはとたんに目を輝かせて立ち上がった。
ナギのまわりをぐるりと回って値踏みするようになめ回した。
「へえ、あなたが新開さん、なるほどねぇ。
絶世の美女とは微妙……に違うけど、たしかに女子校の『お姉様』にはぴったりだわ〜。」
「でしょ、なにしろこの背丈でしょ。なのに『かっこいい』というにはなんだかなぁっていう感じ?
この微妙……なところがウケているらしくって〜。」
「び、……?」
(「微妙」ってところに力を入れなかった? 今 。なによ微妙って……!)
憤然とするナギ。
そのため、今問題にすべきなのはそこではないことに気がつくのが一瞬遅れた。
矢沢さんは意に介さず弾んだ声で続けた。
「『生年月日』ね。いいわ。これで文化祭の目玉が決まった。
学園の『アイドル』と相性占い……、いい企画になりそう!」
「じゃあ、決まりね!」
「ち、ちょっと…待ってよ!」
(私の生年月日って? なんでそんなものが「報酬」になっちゃう訳?!)
(つづく)




