5月12日(木)早朝2
5月12日木曜日 早朝2
靴ひもを結びながら、ナギの脳裏にふと悩みごとの2つ目が心の底から泡のように浮かび上がってきた。
アミのいっていた「計画その2」のことだ。
昨晩、アミにメールを打って再度問いただしてみたのだが、こちらもさっぱり要領を得ない。
ナギは小さくため息をついて陸上クラブの朝練をちらりと見た。
陸上部の部員達はお互いにリズミカルなかけ声を掛け合って練習に励んでいる。
傍目にもいかにも和気あいあいと楽しそうだ。
ナギは雑念を振り払うように、ひとり首を振って、見よう見まねの柔軟体操を始めた。
むろん正しい方法など何も知らないので、ラジオ体操の出来損ないのような体操だ。
しかし、しないよりはマシだろう。
そして、最後に靴を体になじませるように足を揃えて何度かジャンプしてみた。
(やっぱり軽い!)
と、思よりも早くナギの足はやおら弾むように校庭を走り始めた。
走りながらナギは思う。
(だんだん走るのが楽になってきたような気がする……)
確かに1日目よりずっと息が上がりにくくなってきている。
それは靴のおかげかもしれなかったが、ナギにとってこれは良い兆候のように思えた。
★★★
そうしてナギが校庭を何週化している時にも、校庭の向こう側の桜の新緑の下を生徒が1人歩いてゆく。
登校時間が始まったらしい。今日の自主練はそろそろ終わりにしよう。
毎日走っていて分かったことなのだが、早朝から登校する生徒がけっこういるようだった。
(そういえば、図書館は「早朝開放」もしていると牛尾先生がいっていたっけ。)
返却や貸し出しなどの作業はないので、図書委員会に早朝の当番ははない。
しかし、3年生などが朝勉強のために結構利用しているらしい。
あの生徒もおそらく3年生だろう。
(来年は私も早朝開放を利用させてもらおう……
そうしたらいよいよ図書館漬けの毎日になるんだろうな。)
ナギはそんなことを考えながらランニングを終え、昇降口の方に向かった。
(つづく)




