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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake
第一章 俺のクラスがおかしい

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第8話 色んなヤツに狙われてる?

〇駅前にあるカラオケボックス スモールサウンド(全5室全て、黒峰麗華貸し切り状態)


「えぇ・・・つまり異世界ゼムルディアで10年間、私らを導き魔王を討伐し世界を救った英雄、深皇御神巧では無く・・・異世界転移する前の普通の高校生、御神巧なのよ・・・」


 水原の言葉に服部はその場で力なく膝を崩した、松前も俯き唇を震わす・・・

 他のクラスメートも床に手を付き絶望に肩を震わし、中には涙する者も――――


「今の巧は、私らの夫だった記憶も、皆と魔王軍との戦場を駆け巡った記憶も………私ら全員の命を救った記憶も…無い――」


 ―――そう小さく呟いた真希の声がパーティールームの音響の中で空しく響き、室内は重苦しい空気に包まれる。


「ア、アハハ・・・今度こそ・・・アイツの力になってアイツが叶えたかった未来を支えるつもりだったのによ―――黒龍砦で見上げた月夜の誓い・・・これじゃ果たせねぇじゃねぇか―――!」


 ドスッ!


 グラグラ・・・


 服部がカラオケボックスの床を軽く殴ると、地面が僅かに揺れた


「ねぇ?でもさ、これって逆にウチらにとっちゃチャンスじゃない?」


 ギャル派閥の志田が、ポツリとそう呟く


「あぁ?志田てめぇ、いくら同じツーエーの仲間だからって、巧の事を軽んじるなら許さねぇぞ!」


 ギロッと服部が志田を睨みつける


「拳児それ!」


「あぁ!?」


「アンタさ、今の自分の事わかってないよね?」


「ん、だとぉ!」


「よせ服部!!」


 志田に飛び掛かろうとした服部を松前が羽交い絞めにして止める


「アンタはさ、今の巧っちにとっちゃ、クラスで一番嫌ってるまであるわけ・・・気付いてない?」


「!?そ、そんな訳あるか!俺はあいつの背中を何度も・・・・!?」


「はぁ―――わかったみたいね?アンタ、高1の時から巧っちのこと、目の敵にしてイジってたよね」


 「っ!?」


 松前が腕を解くと、昔の事を思い出したのか苦悶に顔を歪ました服部は床に崩れ落ちる


「確かにアンタと修斗の二人は、深皇の両翼って呼ばれて、マジで親友で相棒だったんだろうけど、それはアッチの世界へ転移してからの関係値でしょ?」


「つか、転移したての頃も十分、巧っちにあたりキツかったじゃん?転移してすぐ、混乱してたアンタが巧っちの胸ぐら掴んで八つ当りしてたの覚えてない?」


「――――俺・・・巧に謝る・・・」


「お、おい!」


「だ、だってよ!俺にとってアイツは命の恩人で、背中を預けて貰える親友で相棒だったんだ!」


「なんなら気が済むまで殴ってもらう!」


 服部は覚悟を決めた眼をしていた・・・が


「拳児殿、それは悪手ゆえやめておかれた方がよろしいじゃろ」


 大田が両手を広げ呆れたように首を横に振る


「なっ!?何故だ!真人!」


「拳児殿、拳鬼神(・・・)のお主を今の巧殿が殴れば、巧殿の拳の方が壊れるではないか?」


「だ、だったら、魔女(・・)である麗華の力で俺の防御をデバフして・・・・」


「それは無理じゃろ・・・我らツーエー勇者部隊は我らの皇たる深皇 御神巧との盟約によって、能力でお互いを傷つける事は出来ぬ故、それは、何よりお主が一番よく知ってるであろう?」


 ――――大田の言葉に服部はもちろん、松前や他の生徒らも黙り込む・・・


「でもさ、やっぱりこれはチャンスだよ、今からでもウチらと巧っちとの関係を修復して、このツーエーでもう一度、最高に幸せな高校生活を、楽しい青春を巧っちに送ってもらおうよ・・・ほら、巧っちも言ってたじゃん」


「『もっと早く皆とこうして分かり合えたら――――』ってさ、それが巧っちへの私らの恩返しになるんじゃない?」


「それにぃ―――エミリンらに遠慮してた、保住んや、中谷ちゃん、伊藤シスターズにも巧っちの彼女になるチャンスが有るって事だしぃ?」


 志田はニヤリと笑う


「「「「「!?」」」」」


 その一言で、ツーエーの女性複数名の目がギラギラと光り出す


「は、はぁ――――!?ちょっと待って何言っちゃんテンのよ!薫(志田)タクミンは既にアタイらと、ビィスティステイも終わってるし、エンゲージだって!」


 黄瀬が、志田に詰め寄るが志田は涼しい顔を見せる


「それじゃ、皆にエンゲージ見せてあげてよ」


「い、いいよぉ――――ほら!」


 エミリは左手の薬指に黄色く輝く指輪を出現させた

 同じく、真希も麗華もそれぞれ、水色、赤色の指輪を出現させ皆に見せる


「ほらぁ―――私らのエンゲージはまだこうして生きてるんだからぁ―――!」


 先程、志田の言葉に期待に満ちた目をしていた女子生徒は一斉に肩を落とす


「チッ・・・?まって!それって――――」


 志田は3人のエンゲージから伸びる光の糸の先を目で追う・・・


「あぁ!!それって、巧っちのエンゲージに繋がってないじゃん!!」


「「「!?」」」


 ザワザワザワ・・・・


 光の糸の先が天井付近でユラユラしている事に気付いた志田が声を上げる


「こ、これは、こっちの世界に戻って来たから繋がってないだけじゃ・・・・?」


 真希が大事そうに左手のエンゲージの指輪を擦りながら、そう口にする


「フフフフ、甘いわね・・・ちょっと修斗、洋子っち。それから、真人っちと藤田ちゃんも3人に見せてあげて――」


 すこし恥ずかしそうに頭を掻きながら松前が前に出て左手を見せる・・・

 その横に影浦が立って不敵な笑みを見せながら同じように左手を見せる


 大田と藤田も二人並び左手を見せた


「「「!?」」」


 3人が目にしたのは・・・・


 松前と影浦、それと大田と藤田のそれぞれの左手薬指に白く光るエンゲージが出現し、お互いのエンゲージ同士が糸で繋がってる現実だった


「わかってもらえた?ゼムルディアで、心と身体の繋がり・・・ビィスティステイの聖刻を刻んで、エンゲージの夫婦となった二人は、こっちの世界でもエンゲージは消えてないの〜」


 松前はチラッと影浦の方へ視線を向け照れながら微笑んだ、一方の藤田も大田の服の袖をチョッンとつまんで照れくさそうにモジモジしている


 他にも数ペアが、2組と同じように白いエンゲージを出現させ光の糸で繋がっていた


「ぐぬぬぬぬぬ」「チッ」「う、うそっ・・・」


 3人は自分らの糸だけが相手に繋がってない事にショックを受けてるようだ


「て、ていうか、貴方達まだこっちに戻って来て1日しかたって無いのに、もうビィスティステイしちゃってるとか!?はやくない!?」


 藤田が恥ずかしそうに顔を赤くして


「だ、だってぇ―――前日まで夫婦でそういう感じだったから・・・も、もう真人君も何とか言ってよぉ―――」


「ウンウン、やはりマイハニーは可愛いでゴザルな!」


 ピンク色の雰囲気に染まるカラオケボックス・・・


 そんな空気の中、愕然とする真希、麗華、エミリの元へと志田が歩み寄り・・・


「―――てことで、当然ウチも、巧っちの彼女の座・・・狙いに行くから、ネッ♡」




 〇同刻都内上空―――旅客機操縦席


「高度3万フィート・・・機長、姿勢制御安定・・・」


「姿勢制御安定確認・・・オートパイロットに――――ん?アレは・・・」


 機長と副機長の視線の先―――

 雲の上に何やら黒い球体が放電しながら渦を巻いていた


「小型の雷雲でしょうか?」

「いや、あんな雲初めて見る・・・副機長、計器類に注意してくれ迂回進路を取る!」


 機長は操縦桿を握るとマイクで乗客にアナウンスを始めた。


『機長よりお客様にご連絡します、ただいま前方に雷雲の発生を確認し緊急で迂回します、機体が大きく左に傾きますので手荷物等はしっかりと膝元で確保下さい』


 旅客機が大きく左に傾き、黒い球体を回避する


「フゥ―――機長、あれ何だったんですかね?」

「俺にも分からん、20年空を飛んでるが初めて見た・・・一応管制塔に連絡だけしておいてくれ」



【ギィギィギィ・・・見つけた・・・忌々しき我らが主、邪神の怨敵・・・ツーエーの勇者共と深皇――御神巧】





―――――――――――――

作者のnayaminotakeです

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