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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第5話 俺の知らない日常

俺は午後の授業中、ずっと黄瀬の背中を見つめていた―――


 何故か黄瀬がくれたお弁当…

 絶対何か仕掛けてくると思って警戒してた


 俺は基本、舌がお子様だから辛いのが超苦手

 それを知った黄瀬のヤツがオムライスのケチャップの代わりにタバスコとか・・・って思ってたけど


(普通に俺の大好きな甘い味付だったな……)


 俺は偏食家だ、ケチャップも市販の物に砂糖を足してから使ってる

 ゆで卵にもそのケチャップ、目玉焼きにもその甘いケチャップ、当然オムライスも甘いケチャップだ


 黄瀬のお弁当は完璧な甘みで、箸が最後まで止まらなかった・・・


『お粗末様だよ~♪フフフフ』


 だが、あれを黄瀬が自分で作ったというのは間違いなく嘘だろう・・・

 あんな家事能力ゼロの女に料理なんて繊細な作業が出来る訳がない


 おおかた俺への壮大なドッキリの伏線と見て間違いない

 これで明日も同じように弁当を持って来て俺にくれよう物なら―――


【うっぎゃぁぁぁぁぁ辛い辛い辛い辛い辛いぃぃぃ――――】


 と、舌をみっともなく出して体育館裏で走り回るさまを動画におさめて笑い者にするつもりなのだろう


(いいぜ、乗ってやるよその作戦・・・こっちとらイジラレ慣れてっからな、期待以上の抜群のリアクションをお届けするぜ)


 そんな決意と自分の責務を再認識してる内に午後の授業も終わり、放課後に・・・


「なぁ御神、お前も来るだろ?」

「おっマジか!巧を誘うとか最高!やったぜ松前!」


「――――え?」


 何故か、爽やかスポーツイケメン松前君と武闘派筆頭の服部君が俺の席まで来て俺を何処かへと誘って来た


「い、いや・・・僕なにも聞いてないんで・・・」


 きっと、人気の無い所でボコボコにする気だ

 それは流石に痛いから勘弁してくれ!


「!?あ、あれ?お、おい黄瀬ぇ―――ちゃんと御神に言っておいてくれって言ったじゃん!」


 慌てた様子で松前君が黄瀬さんにクレームをつける


「えぇ―――やだって言ったじゃん!タクミンと放課後いっしょに遊ぶんはアタイだしぃ―――!」


「ちょっと?―――どういう事なの?エミリ」

「えぇ・・・わたくしにもキチンと説明して頂けますか?」


 クラスの空気が一気に冷え込んだ・・・


「わ、悪いでござる、巧殿・・・拙者らそろそろ・・・」

「あっ!て、テメェ大田ぁぁズリィーぞ!」

「わ、わ、わた・・・私も・・・おさ・・き・・ヒヒヒヒ」


 目にも止まらぬ速さで、教室から出て行った大田君・・・あんな足早かったかな?

 居心地が悪そうにしている松前君と服部君

 その背後を隠れ蓑にしながら、シレっと教室から姿を消した影浦さん


「おい修斗も拳児も・・・今日はしゃーないべ」


 格闘部派閥の巨漢、熊井君が二人の肩に腕を回し・・・


「「「深皇様の御身は奥方様らに、お譲りするべし!」」」

 野球部3人衆が口を揃える。


「まぁまぁ、巧っちにフラれたアンタらには、アーシらが付き合ってやんよぉ―――」

 ギャルギャルしい、志田さんらがウインクしながら親指を立てる。


「あぁ?別にフラれてねぇ―――し!なぁ松前!」

「あ、あぁ!御神と俺らには、黒龍軍を一緒にぃ――――モゴモゴモゴモゴ!?」


「馬鹿ッ!って、エミリィ――この、巧っち大好き脳筋馬鹿はウチらで預かってやっから―――」


 同じくギャル仲間の保住さんに口を塞がれた松前君は他のクラスメートに担がれて教室から出て行った

 服部君も巨漢の熊井君に担がれ、何やら叫んでいたが、ギャル派閥の藤田さんに頭を叩かれ大人しくなり、連れ出された・・・


「な、なに今の・・・」


 状況が飲みこめず、混乱するる俺に


「まぁ、細かいことは良いから今日は私らと帰りましょう!」


 水原さんが笑顔で左手を差し出した


 パシッ


 その手を黒峰さんが叩き落す


「ちっと・・・まさかここでも抜け駆けする気?あわよくば、巧君の左手の薬指に触れてエンゲージさせようって?させる訳ないですよ?」


「なっ!?真希ズッコイ!」


「―――い、いや・・・僕今日は寄りたい所あって・・・」


「「「私(わたくし)(アタイ)もついて行く――――!」」」


 自分から行きたい所が有るって言った手前、ついて来ないでとは言いにくく・・・


「ねぇタクミン・・・ここってドラッグストア?」


 黄瀬さんが、俺の両肩に手を乗せ肩口から顔を覗かせる

 ―――い、息が頬にぃぃ


「え、う、うん・・・」


 ムニュ


 右の腕に柔らかい感触・・・


「く、黒峰さん!?」


 黒峰さんが俺の右腕を両腕で絡めるように挟んで抱き着いてきた


「わたくし、この様な場所きたことありませんから・・・巧君、案内していただけますか?」


「べ、別に普通のドラッグ、ス、ストアだ、だし」


「え?もしかして巧ってば、何処か体調が悪いの?熱でもあるのかな?」


「!?」


 今度は水原さんが俺の前髪を上げ自分の額を俺のおでこにくっつけて来たぁ―――


「ひゃっ!?だ、だい・・大丈夫だ、だから・・」


 3人から薫る物凄く良い匂いに頭がクラクラしてきた・・・


「!?熱くなってきた!ちょっ!?巧!」


「わぁぁぁぁぁぁ!」


 腕をバタバタさせ3人を振り払うと


「もう!いい加減にして!入口でこんなに騒いじゃお店の人に迷惑でしょ!」


「「「はい・・・御免なさい」」」


 シュンとなった3人に溜息を吐きながらも、気を取り直し店内に・・・


「あっ店長さん!」


 俺は健康サプリメントの商品棚の前で品出しをしていた中年の男性を見つけ声をかけた


「やぁ巧君、さっそく来たね」


「はい!」


 そう俺はこの日を心待ちにしていたのだ・・・


「ちょっと待っててくれよ――――」


 店長は店のバッヤードの奥へ消え・・・


「はい、これだね」


 丸めたポスターを渡してくれた


「いつも本当にありがとう御座います!」


 待ちきれずその場でポスターを広げる


「「「はあ”ぁ”・・・」」」


 俺の背後で何か殺意の籠った声を聞こえたが、宝物をGetした今の俺にはそんな事は些末な事・・・関係ない


「はぁ―――ココアちゃん!尊いぃ―――マジ天使」


 それは、紫のビキニを着た、この世に舞い降りたマジ天使、島崎ココアちゃんがアンバサダーを務める、スポーツ飲料販促用のポスターだった(尚非売品)


「ねぇねぇ・・・巧・・・私の目の前で同じグループ「アクセル」のココアの推し活するとか・・・」


 ワナワナと肩を震わしながら、青白い闘気纏わした・・・


「あ、あのぉ―――真希さん?巧君なら今さっき速攻で帰って行きましたけど・・・」

「あ、あの逃げ足の速さ・・・隠形の大田っち以上じゃない?」



「おのれぇぇぇぇ!根性ドブの性悪女!島崎ココアぁぁぁぁぁ!」



 〇都内某所撮影スタジオ楽屋


「ハァァァ―――――クショ――ィイ―――!」


「ちょっと・・・ココアさん、現役の高校生アイドルがそんなオッサンみたいなクシャミして・・・」


 マネージャーと思われるフチなし眼鏡の美女は呆れたように椅子に腰かけてる女の子を注意する


「あ”ぁ?ここは誰も見てねぇから良いんだよ・・・てか、また誰かアタシの噂してんなぁ?」


 椅子に腰かけてるのはピンクのボブヘアに、愛らしい涙袋メイクの大きな垂れ目が庇護欲を掻き立てる、小柄な美少女・・・


 人気アイドルグループ「アクセル」で、最年少ながらも人気投票第二位を誇る

 トップアイドル―――そしてドルオタである巧の推し


「で?このクソ前髪すだれのド陰キャが?」


 望遠で撮影した写真を手に顔をしかめる

 それは真希が巧に向って親密そうに朝の挨拶をしてる写真・・・

 画質はあまり良くないので相手の男子生徒の顔までは、よく分からないが


「―――はい、懇意にしている番記者からの情報だと、水原真希が、急に距離を縮めている男子生徒だと報告が・・・」


「へぇ―――いいじゃん、コイツ使って、あの高飛車女を完膚なきまで叩きのめしてやる・・・クククク…ぶわはっはっはっ!」


 下品に笑うココアは。ハッ!?と何か思い立ち懐から一枚の写真を取り出す。

 それはライブ会場の観客席を超拡大したもの

 そこには何か大声で叫んでる男の子が大きく映っていた

 その写真を目の前へ掲げる


「もぉ―――大丈夫だよぉ―――ココアの好ピは、君・だ・け・だぞ、チュッ♡」


 ―――島崎ココア(本名:心愛)16歳(実は、18歳)は、今でも名も知らないファンに、ただならぬ愛情を抱いていた。



―――――――――――――

作者のnayaminotakeです

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