第4話 十年前の俺
―――とある別世界の大聖堂にて・・・
「巧!!」「巧君!!」「タクミン!!」
水色のウェディングドレス
赤いウエディングドレス
黄色いウエディングドレスを身に纏った
3人の美女・・・
大人の美しい女性となった水原真希、黒峰麗華、黄瀬エミリは床にうつ伏せながら、目の前の男性の後ろ姿に向かって声を上げる
男性は両手を広げ、前方から放たれている漆黒のエネルギーの波動をその身で受けていた。
彼女らだけではない―――大聖堂には2-Aのクラスメート全員の姿も有った
「御神ぃぃ!!」「主様ぁぁ!」「いやぁぁぁぁ御神君!!」「止めろ御神ぃぃぃ!」
式に参列する為に集まった各国の王族、代表らも、全員が何か大きな力で床に押し付けられてるかのように床にうつ伏してる
黒い波動をその身に受ける男の身体から白く輝く粒子が放たれ
その粒子が集まり壁となり、背後の人々を黒い波動から守る障壁となっていく・・・
「や、やめてぇ――――それは、巧の命―――!」
「だ、だめ巧君の命がどんどん削られて行く!」
「ヤダヤダ――タクミン――アタイを置いて行かないでぇ―――!」
恐らくは元々白かったであろうタキシードは焼け焦げ、炎に包まれながら黒い煤となっていた
「「「!?」」」
男は一瞬だけ背後を振り返り、3人の花嫁に視線を向けた・・・
既に顔は焼け焦げ、髪の毛は燃え落ちていたが
その力強くも慈愛に満ちた瞳で、3人へ最後の感謝と愛情を伝える
「・・・・・・」
男の口が3人に何かを伝える為に僅かに動いた・・・・
次の瞬間、男の身体は白い光の閃光に包まれ―――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「で、どうだったの?」
昼休みも終わりかけの、体育館と校舎の通用通路にて・・・
腕を組み壁にもたれ掛かっている水色の長い髪をした美女―――
人気絶頂の現役女子高生アイドル・・・水原真希
「うん~ほら~♪」
カラッぽになった、苺のイラストが描かれた可愛らしい弁当箱を、真希に向かってドヤ顔で見せつけた
金髪のユルフワパーマに、金色のハートのヘアピンをワンポイントに飾った、ギャル美女・・・黄瀬エミリ
「今もあの時と変らず、甘い味付の卵料理がお好きなんですね・・・」
黄瀬に続き体育館裏の方から姿を現した・・・黒峰麗華
「えぇ~やだなぁ~それは違うよ――――私の作った甘い卵料理が、タクミンは好きなんだよぉ~♪」
ニコニコと笑顔で語りながらも、他の二人に対し威圧的な言い方をする黄瀬エミリ
「あら?変ですわね、幼馴染であり巧君の事を知り尽くした私の見た限り巧君は貴方の料理を、かなり警戒してましたけど?」
「えぇ~?――そんな訳…なくない?」
黒峰と黄瀬の間の空間が二人の鋭い視線がぶつかる箇所を中心に僅かに歪む・・・
「二人とも、その辺にしたら?そんなに魔眼の魔力をぶつけて、他の生徒が見てたらどうするの?」
水原の言葉に二人は渋い顔をし、お互いに顔を背ける
「二人とも分かってるんでしょ?今の巧にとって貴方達は”苦手な”女でしかない・・・って事」
「クッ!」「チッ・・・」
黒峰と黄瀬が悔しそうに俯く
「麗華は、思春期の中学生という多感な時期に、ずっと幼馴染として成長して来た巧を下らない見栄で拒絶した・・・」
「そ、それは・・・・」
「エミリは、苦学生である巧の家庭事情を知った上で、バイト先の店長の娘って立場を利用し、父親の目の届かないところで巧を小間使いのように扱っていた・・・」
「!?あ、あの時は・・・」
麗華も鋭い視線を真希に向ける
「真希、貴方だって同じようなものでしょ?同じクラスのドルオタが、身近にいながらグループトップの自分より、人気投票2位の、島崎ココアを推してたからって、目の敵にしてかなりキツイ態度取ってたじゃない」
「あ、あれは―――」
「「「・・・・・・」」」
「ねぇ~この話やめない?」
エミリが沈んだ顔をしながら、苦しそうに首を横に振る
同じく、暗い表情で頷く真希
「そうね・・・今の時点での巧にとって、私は推しのアイドルと同じグループに所属する、いち芸能人ってだけの認識・・・」
「しかも、ネットでのニュースで書かれてた”水原真希が、島崎ココアに対し、裏でマウントを取ってイジメてる”って記事を、半分信じてたって話しを、前に聞いた事あったし・・・」
「あの時は、既に私と巧はビィスティスティのエンゲージだったから、ココアの裏の顔を話して、笑い話で済んだけど・・・」
スッと真希は2人に見えるように、左手を見せる―――
真希の左手の薬指には、青白く輝く指輪が光の粒子を零しながら嵌められており
その指輪からは、同じく青白く輝く細い糸がユラユラと上空に漂っていた
「私も同じ・・・両親や周りの声に流されて御神家と距離を置く事が正しい事なんだって―――本当に、どうしようもないガキだった・・・子供の頃、ポッチャリ体形で皆にイジメられていた私を、庇ってくれた巧君に対して―――」
「それでも、あの世界で巧君は私を見棄てる事なく一緒に苦難を背負ってくれた・・・そして真希に次いでビィスティステイの関係になれてエンゲージすることが出来た・・・」
麗羅も2人に見えるように、左手を見せる―――
麗羅の左手の薬指には、赤く輝く指輪が光の粒子を零しながら嵌められていて
その指輪からは、同じく赤く輝く細い糸がユラユラと上空に向かって漂っていた
「アタイも~マジで家事全般苦手でぇ~パパから店の手伝い頼まれんのマジウザかった・・・」
「そんな時、パパがタクミンを面接しているのを盗み聞きして、お金に困ってバイト応募した事を知ったから―――これは使えるって・・・」
「最初はそんな軽い気持ちだった、タクミンがパパに恩義を感じててアタイの我儘を全部聞いてくれるて調子に乗って・・・今考えるとマジ自分が情けなくい・・・」
「タクミンにダメな自分を変えたいって相談したら、喜んで協力してくれて~今じゃ、教えてくれたタクミンよりも家事全般上手になったしぃ~」
「てか、今はビィスティステイ関係の大事なエンゲージした旦那様のタクミンにしか尽くしたくないって感じだから~」
エミリはヒラヒラとコテコテの付け爪でデコられた、左手を2人に見せる―――
エミリの左手の薬指には、黄色く輝く指輪が光の粒子を零しながら嵌められていて
その指輪からは、他の2人と同じく黄色く輝く細い糸がユラユラと上空に向かって漂っていた
3人は歩み寄り左手を突き出す
「このエンゲージの先の糸を、巧のエンゲージに届かせる為にも・・・」
「えぇ、今の巧君との関係を一刻も早く修復しなければ・・・ですね」
「その結果としてぇ~この中の誰か一人しか選ばれなくてもぉ~恨みっこ無しねぇ―――♪」
エミリの言葉に3人の視線が中央でぶつかる
「面白い事を言うわね・・・エミリ。ファーストエンゲージであるこの私、水原真希を差し置いて―――」
「あなたこそ、私らに抜け駆けして最初に巧君に抱かれたからファーストになっただけでしょ?情熱の赤のエンゲージである、わたくし黒峰麗華こそ巧君の最高のパートナーですわ」
「アハハハハ――――・・・寝言は寝てから言えよ・・・タクミンの身の回りのお世話を全て任されてるのは、このアタイ・・・黄瀬エミリだかんな!」
―――巧の知らない所で、巧を巡る激しい女の闘いの幕が切って落とされた・・・




