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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第3話 知らない「俺」の話

 俺は今後の道化師ムーブを完遂する為の考えを纏めるため、お昼ご飯の入った袋を手に忍者よろしく

 そ―――と、教室を後にした・・・


「ふぅ―――やっぱここは落ち着くな」


 この場所は俺と大田君の陰キャ男二人だけの秘密の場所・・・


 体育館裏口の階段下


 丁度屈んで男2人がすっぽりと入るスペースが有り、

 階段裏側が良い感じに日除け雨避けの屋根になっており快適だ


 少し埃っぽいのと、椅子が廃棄されてた跳び箱の一番上の木箱というのが難点だが学校内で唯一の安息地だ


 校舎側からは死角だし、体育館も裏口を使う人はほとんど居ないので人を避けたいコミュ障陰キャにはもってこいの場所


「大田君が春休み中に手に入れたっていう、戦車擬態美女フィギアの話・・・今日聞かせてくれるって言ってたのにな・・・」


 少し寂しさを感じつつも、お弁当の入った巾着袋をあける


「パンの耳・・・有難いな―――黄瀬マスターには本当に感謝だよ」


 中にはパンの耳を牛乳と砂糖、卵で浸けこんでフライパンで焼いた・・・フレンチイヤー(俺命名)だ


 材料費わずか12円・・・袋一杯に入ってるパンの耳でお腹いっぱいになるし、卵と甘い物好きの俺には最高のご馳走だ


 ―――と、フレンチイヤー(俺命名)を堪能していたら何処からか声が聞こえて来た・・・


「ん?珍しいな・・・お昼どきに・・・」


 俺は巾着の口を縛り、身を屈めながら声のする方へ―――


「前から君の事が好きでした!僕と付き合って下さい!」


 壁際から顔を覗かすと、頭を下げ手を伸ばした男子生徒の後ろ姿が・・・


(垂れたネクタイの色・・・3年の先輩か・・・)


「ごめんなさい」


 冷めた感じのこの声・・・今朝も聞いた・・・いや、十年以上、ほぼ毎日聞いていた苦手な女の声


 もう少しだけ壁から顔を出す


「な、何故だ!?お、俺はサッカー部のエースだぞ!女の子からも何度も告白されてる!そんな俺が君にこうして告白してるんだ!俺の何が不満だ!教えてくれ麗華!」


「―――気安く名前で呼ばないでもらえますか?先輩・・・それに私、すでに心に決めた方と将来を誓って婚約しておりますの・・・私の身も心も力(・)も、生涯その方に捧げると約束しておりますので」


 !?


 黒瀬さんにそんな男性が居たのか!?


「ちっ・・・同じ2-Aのいけ好かない後輩の松前か・・・」


 サッカー部らしき3年の先輩は、同じサッカー部の松前君の事が嫌いらしい


「はぁ?」


 黒峰さんの低い声と共に、その場の空気が凍り付きそうな程冷える


(さ、寒っ!)


「な、なんだ!?き、急に風が冷たく――――」


「勘違いされたまま変な噂を流されても困るので、ハッキリ申しますが」

「私の婚約者は修斗君では有りません―――」


 黒峰さんの瞳が冷たく輝く・・・


「彼は、何年も苦楽を共にした、かけ替えの無い戦友の一人では有りますが、恋愛感情はこれっぽっちも持ち合わせておりませんので」


「だ、だったら誰だ!この学校の生徒なのか!?」


「えぇ―――私の愛しの婚約は――――」


 ゴクリ・・・ッ!?


 と、良い所で、急に誰かに腕を後ろに引っ張られた


「しぃ――――」


 ウインクしながら、口元に人差し指を添え「しぃ―」と声を出すなのアイコンタクトする、金髪ギャル


「ほら、見つかっちゃうから~」


 黄瀬さんに手を引かれながら、俺は黒峰さんの告白現場から離れる


「もぉ~なんでいつもの所に居ないかな~!」


 と、黄瀬さんに連れてこられたのは大田君と俺だけの秘密の場所・・・

 いつも大田君が座ってる場所に何故か黄瀬さんが腰をかけている


「さぁ今日もタクミンの為に、愛妻弁当作ってきたから~♪はい、どうぞ!」


 ―――意味がわからない・・・

 俺は、頬を赤らめ苺のイラストが描かれた楕円形の弁当を差し出す黄瀬さんを唖然と見つめた・・


「ちょっと待って下さい!な、何で黄瀬さんが弁当を!?しかも僕に!?な、なんで!?」


「え?だってお弁当の担当私だったし――って、あ、そうか・・・こんな事言われても分からないか・・・なんか御免・・・」


 何故か黄瀬さんが肩を落としションボリする


「で、でも折角作ったんだし、タクミンの好物ばかりだから、食べてよ!」


「いやいや、そんなの受け取れないって!」


「―――私の手作りのお弁当なんて嫌?・・・・」


 黄瀬さんが目に涙を浮かべている


 ―――くっ、どうせこれも演技なんだろ?・・・

 ワザとらしく手作り弁当とか・・・あざと過ぎだろ

 まさか俺に気が有るふりして、告白でもさせようって作戦か!?

 それを動画に撮ってクラスで笑い者にするドッキリか?


 陰キャとして望む所!

 と、言いたいがデジタルタトゥーはちょっと・・・


(ん?今こいつ俺の好物ばかり・・・って言ったよな)


 クククク、墓穴を掘りやがって―――

 俺は極度の偏食、母さん以外と食べる時は気を使っているけど・・・


「そ、そこまで言うなら貰おうかな・・・」


「う、うん!はい、どーぞ~♡」


 黄瀬は嬉しそうに俺に苺のイラストの弁当を渡して来た


「そ、それじゃ・・・・・」


 ゆっくりと蓋を開ける


 オムライス・・・卵焼き、ゆで卵、スクランブルエッグ・・・・・



 ――――やべぇ、好物ばかりやないかい!


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