第42話 球技大会初日①
パンパン、パンパン!
澄み渡る青空に白煙と共に花火の音が球技大会の開催を告げる
校長のクソ長い挨拶
来賓の偉い市議会議員さんの有難くない話
自治会の代表の爺さんの、セピア色の青春談話
たぶん、白目を剥いていたのは俺だけでな無いはずだ・・・
あっ山城ちゃん欠伸してる!
山城ちゃんと言えば、昨日の合コンは上手く行かなかった様だ
直接聞いた訳では無いが、朝のホームルームの殺気だった態度を見れば、だいたい察しはつく
(これで合コン27連敗・・・乙)
次に生徒会長である、花菱桜先輩の挨拶・・・
緋色のショートヘアーの美しい彼女が壇上に上がれば、全生徒が背筋を伸ばし姿勢を正す
花菱先輩は黒峰グループと双璧を成す、地元の名家で巨大建設企業、花菱建設の一人娘で社長令嬢だ
校門での立挨拶の際に、「おはようございます」と声をかけられた事がある位で、面識は無い
「桜が散り、若き才能が芽吹く頃・・・新たなるステージへと歩みを進めた私達が自らの成長を実感し、その成長を得難い仲間たちと共に分かち合う・・・そんな素晴らしい大会へと皆さんと一緒になって盛り上げたいと思います!」
パチパチパチパチ!!
校長らの挨拶の100倍も活気のある拍手が、全生徒から湧き上がる
そんな様子に校長や来賓の皆が顔を引き攣らせている
―――ご愁傷様
次いで大会運営委員からの説明が始まる
「では、男子サッカーと女子バスケのトーナメントから開催します!各自怪我のないように!以上」
女子バスケ班と、男子サッカー班だけで集まり2ーAの運営委員を務める麗華さんから説明を受けた
しかし、開催のスケジュールを見る限り被りの生徒がバッティングしないように綿密に組まれている・・・
まぁ全部参加するはめになってる俺がそうなのだから、他の連中が滞るような事にはならないか・・・
インテリ幼馴染女子の計算力・・・恐るべし
俺たちは第二試合・・・グラウンドでは同時に4組の対戦が行われている
俺たちの最初の相手は、1-Aだ
小童共め・・・目に物見せてくれる!
――――あぁ目に物見せて・・・
目に物・・・・
目に・・・・
て、言ってみたさ!
言っては見たけども、どういう事だ?何でゴール前の俺の所にボールが集まってくる!?
昨日の練習の時にも増して、俺にボールが集まってくる
「御神!うけとれぇ~」
「御神、行ったぞ~」
「御神、シュートだ!」
熊井君はキャッチしたボールを俺の所にピンポイントで投げてくる
藤堂君は、鋭角に曲がってくる鋭いパスを俺の足下に正確に蹴ってくる
松前君は、自分がシュートを蹴っては全部ポストにあてて、俺の足元へとバウンドさせてくる
肝心な俺はと言うと・・・10回シュートを蹴って得点0
相手の1年はハーフライン上で殆ど玉を奪われてしまっている
唯一のシュートは、やけくそでセンターライン上で蹴った玉が偶然2-Aのゴール枠に入った一球のみ
―――それも熊井君に片手で簡単にキャッチされたけど・・・
試合終了間際・・・
「御神ぃ――――パス行くぞぉ―――!」
松前君は完全にフリーなのに、あえて俺にパスを回す
1年も流石に気付いたのか、執拗に俺をマークしてくる
「ヤバ!?シュートコースが塞がれた!?」
目の前に3人の一年生が囲み進路を塞いできた
「御神ィ―――後ろぉ~カモ―ン♪」
藤堂君の声だ・・・
俺は振り返らず、ボールを後ろに転がす
1年も慌てて俺の背後の藤堂君に取り付くため、脇をすり抜けて行った
「御神ぃ―――迷わずゴールへ走れー!」
松前君の声が聞こえた
昨日みたいに真っすぐゴールへ走る
「上手い事、弾けよぉ~」
藤堂君はセンターライン上で右足を高く振りかぶると
ブオンと風を切る音と共に、ボールを蹴った
シュッと風を切り白い弾丸となって1年のキーパーが守るゴールへ
ガシッ
真正面から迫る破壊的な白い弾丸のようなボールを、果敢にキャッチしにいった一年
バシッ
ボールの勢いが勝り、1年のキーパーは吹き飛びボールは弾かれ倒れたキーパーの前にコロコロと転がった
「いけ!御神」
「えぇ―――――い!」
ペチッと、またまた乾いた音と共にボールが転がりゴールキーパーの横を通りゴールへ吸い込まれた
「ピィ――――!ゴール!」
―――この1点が決勝点となって俺達は準決勝へと進む
「次の相手はあの3-Cか・・・・」
俺は、そんな事を考えながら、教室に忘れた水筒を取りに戻っていた・・・
「ちょっと!どいてよ!」
ん?何だか校舎裏の方から声がするぞ?
足を止め、壁の角からそっと覗いてみる
「ねぇ君だれかの家族?中学生?」
「うわぁ最近の中学生ってめっちゃ色気あんじゃん!俺全然いけるわ――」
「おいおい、彼女怖がってんじゃん―――ねぇ―――このお兄ちゃん達、怖いよねぇ―――」
例の3-Cの自称サッカー部エースと、同じくサッカー部の先輩らが
帽子を深くかぶったピンクのボブヘアで小柄なワンピース眼鏡の女の子を取り囲んでいた・・・
「だから、関係ないでしょ!私は急いでるの!」
小柄のワンピースの子も負けじと強気だ
ドンッ!
「ヒッ!?」
サッカー部の自称エースは彼女の後ろの壁に思いっきり蹴りを入れた
小柄な彼女は身をすくませ震えている
「あぁ俺、こういう強気の女を屈服させんの大好きなんだよなぁ―――」
「わお!また、壊しちゃうのか?お前、悪い奴だなぁ~クククク」
「後で良いから俺にも回せよ?ヒヒヒ」
「や、やめ・・・」
ダメだ、流石にあれじゃ―――
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?なっなんだ?!」
気が付けば先輩の腹に思いっきりタックルしていた
「早く逃げてえぇ――――――!!」
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