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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第43話 球技大会初日②

「テメェ松前の腰巾着のクソ陰キャ!!」

「ウゲッ!?」


 鳩尾に痛みが走り、胃液が逆流してくる


 ドガッ

「イタッ!」


 腿を思いっきり膝蹴りされた

 サッカー部のレギュラーの蹴り・・・

 メチャメチャ痛い


「は、早く・・・逃げ・・・」

 俺の事を見て驚いた表情を見せる眼鏡の子に、声をふり絞りそう告げる


「テメェ!離せよ!」

 ガッ


 今度は後頭部を思いっきり殴られた

 首筋に痛みが走り意識が飛びそうになる


「だ、誰か呼んで来る!!」


 後ろで走り去る足跡が聞こえた


「クソ陰キャが!女に良い顔するしか能がネェ癖に!」

 他の先輩に頬を思いっきり殴られた


 それでも掴んだ先輩のジャージを離さなかった


 ドガッ

「ウッ!?」


 腹を蹴られる・・・掴んでいた手から力が抜ける

 息が出来なくなり、その場に膝から崩れる


「このクソ陰キャが!」

 ガッ


 思いっきり顔面を蹴り飛ばされる

 口の中が切れた

 鼻血が出た

 痛みで涙が出る


数分・・・先輩らは何度も俺を足蹴にした

痛みよりも、自分の無力さが情けなかった・・・

俺に服部君のような強さがあれば・・・

俺に松前君のような勇気があれば・・・

俺に水原さんらのような根性があれば・・・

俺に・・・・皆と良好な関係を作れるカリスマ性があれば・・・


「貴方達!!!」

「ヤバッ!逃げるぞ!!」


 ぼんやりとする視界には、緋色の髪の女性が・・・・

 そこで意識が途切れた



〇十年前 異世界ゼムルディア最大のダンジョン。アビス20階層


「・・・・ここは・・・」

 気が付けば、大田君の背中が見え景浦さんが眼鏡の奥で心配そうに、覗き込んでいた


「気づいたね巧氏・・・」


 景浦さんがそっと俺の後頭部を触る

「イタッ!?」

「―――大丈夫、切れてないコブになってるけど・・・」


「どうなったの?」

 身体を少し起こすと、視界先で2-Aの皆が巨大な3つ頭の蛇と戦っていた

 俺は、蛇の尻尾で吹き飛ばされ壁に叩きつけられたらしい・・・

弱くて情けない


「うぉぉぉぉ、喰らえぇ―――!」

「チェストォ―――!」


 服部君も藤堂君も必死に戦っている



「ガード!!」

 熊井君は、支援職や回復職の仲間らを、蛇の吐くブレスから守っている


 黄瀬さんと保住さんは、傷ついた仲間を必死に回復している

 水原さんは歌で味方の支援をしてる

 中谷さんは、宙に浮いたタロットを使い蛇を攻撃していた


 黒峰さんを中心に、青井さんら魔術師が魔法を展開し、遠距離から蛇の頭を攻撃している


「次、右の頭!攻撃くるぞ!!」

「魔法部隊は、左の頭に集中!!」


 キヒャァァァァ!蛇が耳障りな奇声を上げる


「!?おい服部、藤堂!勝手に陣形を崩すな!」


 みんなの指示役である指揮者、松前君が動揺した

 

 真ん中の頭を攻撃するように、服部君らに指示していたにも関わらず、服部君らは、勝手に攻撃対象を左の頭へと変えた


「マ、マズイ!?今すぐ魔法を解―――――」


 だが遅かった、放たれた複数人の攻撃魔法は蛇の頭へ攻撃を仕掛けている服部君らへと向かって撃ち込まれた


「がぁぁぁぁ」「あちぃぃぃ!」


 二人が一瞬にして炎に包まれる

「消火ぁ!!」


 突然自分達の魔法で、仲間が火だるまになり慌てた黒峰さんら魔術師部隊はうまく集中する事が出来ず、魔法が発動しない


「そんなんじゃダメだ!!」


 気付けば服部君と藤堂君の元へと駆け寄り、上着を脱いで必死に燃えている火を払う

 二人に砂を掛け、火を消す


「何してんだ!!早く手伝え!!」

 自分でも信じられない怒号が口から出た


 俺の怒号に反応した黄瀬さんや松前君、黒峰さんらが一緒になって服部君らの消火に手を貸してくれた


「大田君!景浦さん!アイツを止めてくれ!」


 少し離れたところに居た真人と洋子に指示を飛ばすと

「――――畏まった」「クククク・・・了解」


 若干嬉しそうな二人は一瞬にして3つ頭の巨蛇の前に移動すると


「――――影縫い」

「出ておいでな!アメーバン!(ポイズンスライムの事)」


 大田君は、影縫いにて蛇の動きを止め

 ポイズンスライムは蛇の頭に纏わりつき呼吸を阻害する


 何とか服部君と藤堂君の火を消し終え


「熊井君は藤堂君を頼む!」

「お、おう・・・」


 俺は自分より体の大きな服部君を背負い

「松前君!撤退だ!!」

「あ、あぁ御神の言う通りだ!全員撤退!!!」


 大田君と景浦さんが殿を務めてくれてる間に、服部君と藤堂君を背負った俺と熊井君を守るように皆が位置取り20階の入口へと逃げ込む


「大田君!景浦さん!もう大丈夫!!」

「で、ゴザルか」「ニヒヒ・・・アメーバン、リリース!」


 二人も入口へと駆けて来る

 その背後で、拘束を解かれ怒り狂った巨蛇が尻尾を振り抜き、近くの岩をこちらへと弾き飛ばして来た

 岩の破片はそのまま水原さんの方へ


「!?あ、危ない!!!」


 ガッ


「た、巧殿!?」


 ――――そこで、意識が途切れた・・・・

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