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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第38話 味のメリ―ゴ―ランドや―――!

 ガチャ


 鍵を開け部屋に入る…

 さっき隣の部屋に、水原、麗華、黄瀬の3人が入って行った―――


 迂闊だった・・・リフォーム待ちの待機住人の間借りだろうと甘く考えていた

 まさか、隣に越してきてるとは


 待て待て、良く考えろ・・・最近俺の周りで不思議な事ばかり起こってる


 急に仲良くなっている、クラスメートたち

 俺の嫁だとか笑えない冗談を言ってくる、3人の苦手な女子

 変なサラリーマンに絡まれてる黄瀬さんら

 街中を走っていたと思ったら、知らない竹藪に迷い込んで、怪しい連中に眠らされた

 球技大会の練習でクラスメートが急に人間離れした力を見せた


 ―――俺自身もなんだか変な映像が頭に浮かんだり・・・黒い大きな蛾が見えたり・・・


 先月までの日常とは何かが違う・・・


 俺はいったん気持ちを落ち着かす為に、水をコップに入れ一気に飲み干した。


「ふぅ―――」


 少しだけ頭がクリアになって来た・・・


「冷静になって考えてみれば、あの3人があの部屋に引っ越してくるなんてあり得ない」


 水原さんは、現役のトップアイドル

 前にお邪魔した時に見たけど、事務所の意向なのか物凄いセキュリティーのしっかりしたマンションだった

 今や彼女は、単にアイドルグループ「アクセル」のセンターという枠には収まらない


 ―――事務所が世界進出も視野に入れている程のトップアイドル様


 だから、こんなセキュリティーのセの字も無いボロボロアパートへの転居など、許されるはずもないのだ


 麗華さんに至っては、もっとあり得ない・・・

 まぁ麗羅さんはともかくあの、娘大好き拗らせオジの富雄さんが、そんな暴挙を認める訳がない


 いや、麗華さんが引っ越してくるならこのボロアパートごと買い上げて

 俺たち御神家を強制的に立ち退かす事くらいしてきそうだ。


 うん、それなら想像できる!



 最後に黄瀬さんだが、マスターの温厚な人柄ならワンチャン黄瀬さんの我儘に押し切られたり・・・

 とかも考えたが


 黄瀬さん自身に生活能力は皆無


 掃除 → メンドイ+ダルイ+キライ=アタイに尽くす男がやんだろ?

 片付け→ メンドイ+ダルイxキライ=綺麗好きなら、そこのお前やれし!

 料理 → メンドイxダルイxキライ=やる訳ねぇだろ、つか毎日3食ウ―ヴァか外食でよくね?


 と、バイト先での黄瀬さんの態度から推測して計算してみたが

 どう考えても一人暮らしは無理ゲーって解答ですわ、うん!


 ピィ―ンポ――ン


「来やがった・・・今度は眠らねぇぞ!」


 自分で両頬をパシッと叩き気合を入れる


「は、はい・・・御神です・・・」


 チェーンロックをかけたまま、ドアを少しだけ開き外を確認した

「ヤッホータクミン、晩御飯作りにきたよぉ―――」

「お待たせしました、巧君」

「あら、巧ったらまだお風呂入ってないの?」


 私服の軽装に着替えた3人は両手に買い物袋を持って家の前に立って居た


「えっと・・・一応聞いてみるんですが、なんの御用で?」


「もぉ―――からかってんの?タクミン、これ見たらわかんじゃん!☆彡」


 黄瀬さんは両手に買い物袋を掲げパチッと笑顔でウインクかましてきた


「さっきも言いましたが、今(・)後(・)は(・)真希さんを厨房には入れませんのでご安心を」

「はぁ?ちょっと麗華、今(・)回(・)は(・)でしょ!話を盛らないで!」


「はぁ…――――」

 麗華さんは、深いドデカ溜息を吐きながらスマホのグループチャットを水原さんに見せる


『味音痴の殺人料理姫は、こんりんざい厨房に立つなし!!』


 という志田さんの投稿の後に、クラス全員から「同意」という意味のスタンプがズラッと並ぶ


「ぐぬぬぬぬ・・・あんのぉ裏切者共がぁ――――!」


 悔しがる水原さんを他所に、黄瀬さんがドアチェーンを外し中に入ってきた。


「おじゃましま~す!」「お邪魔します」「お邪魔するわ」


 ―――え?何でドアチェーン外れた?


 そんな疑問おかまい無しで黄瀬さんと麗華は二人で買い物袋を持って早速台所へ・・・

 水原さんは、ブツブツ言いながら掃除機を手に取り掃除を始めた


「あっタクミンはお風呂入ってきてぇ―――」

「巧君、私が浴槽にお湯を張っておきましたのでごゆっくり温まって来て下さい」


「え?」


「あぁ巧、後で着替え置いとくからそのまま入って来て」


 ―――ダメだコイツら・・・

 貧乏というのを何も分かってない


 御神家では、冬場以外は必要最低限のシャワーで済ますというのが鉄則なのだ・・・

 浴槽にお湯を張るなど、贅沢の極み


 これで、何日分の水道代とガス代が吹っ飛ぶのか何も分かってない

 と、文句を言える訳もなく・・・心の中で母さんに謝罪しながら脱衣所で服を脱ぎ浴室へ・・・


「はぁ―――勿体ない・・・」


 浴槽には並々とお湯が・・・

 いや、ちょっと待て


 身体を洗いながら、ふと頭に疑問が過る・・・


「麗華はいつ、この浴槽にお湯を入れたんだ?俺はずっと玄関のドアの前にいた・・・」

 それに給湯器のガスの元栓は閉まったままだ・・・

 このお湯もそうだ、蛇口から水が出ていた音もしなかった・・・


「どういう事だってばよ?もしかして、魔法?」


 お湯を両手ですくって顔を洗う


「まっそんな訳ないか!」


 ―――風呂をあがり脱衣所で立ちつくす・・・

 洗濯機の上にある俺の着替えを見る・・・

 洗濯機の蓋を開け中を見る・・・カラだ


 洗濯機が動いていた音はしなかった・・・実際洗濯機に水気はない


 だが・・・


「あっ巧、さっき着てたのも一緒に洗濯しておいたから」


 脱所から着替えて出て来た俺の前に、空になった洗濯籠を持った水原さんが笑顔で近づきそう答える


「え?洗濯機・・・使って無かったですよね?」

「え・・・えぇ――――と、どうだったかなぁ――――?」


 俺は、ベランダに干された洗濯物を触って確認する・・・


「きちんと洗えてる・・・柔軟剤の香りもする・・・」


 今日サッカーで使ってドロドロになったジャージも綺麗に汚れが落ちていた

 ―――なんだ?

 どうなってる?


「え?」


 振り返ると、リビングに置いてあったメロカリで安く購入した中古のテーブルがピカピカの新品に変っていた


「こ、これ・・・」

「あっそれは、ウチにあった使わないテーブルを持って来たんです」


 キッチンに立つ麗華が笑顔でそう答える


 ―――使わないって・・・どうみても新品だよね?


 テーブルやいつの間にか5つ用意された椅子をマジマジと見ていると


「タクミン!味見味見ぃ―――!」


 台所から黄瀬さんが呼ぶ


「はい☆!」


 ウインクしながら差し出されたスプーン・・・

(コーンスープか・・・)


 香りと見た目は普通のコーンスープ・・・

 だが、コイツらは知らない


 俺は、塩気の効いたコーンスープよりスィートコーンを使った甘目のコーンスープが好みなのだと・・・

 それに作ったのが、黄瀬さんだろ?


 家事能力ゼロの見た目だけで、勝ち組気取ってるギャルが作ったスープなんぞ・・・・


 ゴクッ


 ―――口の中に解(ほど)ける甘いコーンの香りとコク・・・ほのかに足されたカボチャの甘味と深みを持たせるコンソメ


「メチャメチャ旨いんだけどぉ――――?!まさに旨味のメリーゴーランドや――――!」


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