第37話 球技大会の練習を終え、巧と一緒に帰る3人の嫁の行動力よ
「ごめんよ・・・大田君、応援に行けなくて」
「お気になさらず、拙者らはオマケゆえ」
オマケって・・・・
俺は試合終了していた、2-Bとのソフトボールの試合結果に視線を向ける・・・
――34対0
4回で、2-Bのピッチャー全員が肩を痛めた結果、途中棄権でコールド勝ち
「拙者は、10盗塁と頑張ったでゴザル!」
「へ、へぇ―――(10糖類?それって美味しいの?)」
「主殿!私も5本塁打と頑張ったであります!」
「私も、7打数7安打で御座いました!」
「私も、12奪三振の完全試合達成で御座います!」
打田君、外山君、玉井君の野球部トリオも目を輝かせ報告してくれた
「お、おぉ―――それは凄いですね!(野球の事全然知らんのよ・・・ゴメンね)」
「巧っちも大活躍だったらしいじゃん!エミリらから聞いたよ~」
「あ、藤田さんもお疲れ様・・・」
藤田さんもソフトボール組だったか・・・
「フフフ、私も結構活躍したんだよ~ねぇ真人君♡」
「うむ、マイハニーの活躍は拙者の目に焼き付いておるぞ!」
あぁ―――はいはい、御馳走様です。
「それじゃ巧殿、着替えてHRでゴザルな」
「うん、そうだね」
「明日は共に頑張るでゴザル!」
「う、うん・・・」
俺もソフトボールだけなら、多少は気が楽だったんだけどな・・・
―――俺たちは服を着替え、帰りのHRへ向かう
「あぁ今日は疲れただろう、お前らは早く帰ってゆっくり休めろ!マジで早く帰れよ?」
何やら雑にHRを終わらそうとしている山城ちゃん
「久美ちゃん、なんか慌ててない?」
黄瀬さんがソワソワしだした山城ちゃんに声を掛けた
「あぁ今日が恭子(酒田先生)がセッティングした例の合コンの日なんだ、お前らの勝負は明日だが私の勝負は今夜だからな!」
「「「「・・・・・・」」」」
うん、頑張ってね山城ちゃん
「「「「き、起立―――礼―――有難う御座いました!」」」
「巧一緒に帰ろ」
「巧君帰りましょう」
「タクミン帰ろぉ~」
今日も今日とて、3人が俺を誘って来た・・・
「で、でも・・・麗華さん以外は帰りの方向が・・・」
「「「気にしない――――行こ!」」」
俺は腕を引かれ、教室を後にした
「御神、明日も頑張ろうぜ!」
「巧!明日は、俺にも活躍見せてくれよ!」
「あ、う、うん・・・松前君も服部君もまた明日ぅ~」
―――3人と並んで、帰宅する帰り道
「ねぇ巧・・・球技大会の事・・・怒ってる?」
「え?」
水原さんが何だか申し訳なさそうに尋ねて来た
「え、い、いや・・・麗華さんにも言ったけど・・・怒るとかは・・・」
「でも、タクミンはソフトボールだけしか名前入れて無かったんでしょ?」
「な、なんでそれを・・・」
「御免なさい巧君・・・クラス委員長の権限でわたくしが・・・」
「う、うん」
―――でしょうね!
でも、まぁ今日練習とは言え、松前君らと一緒にサッカーしてみて最初は不安だったけど
特に何か嫌がらせされるとかは無かったし・・・
麗華の言う様に、本当に俺と仲良くしたいだけ?とか?
―――イヤイヤ・・・今日一日良くして貰ったからってチョロ過ぎだろ・・・俺
でも、何故か松前君らと一緒にサッカーして戦ってる時―――
懐かしいような・・・
胸が熱くなるような・・・
それに松間君の手を取った時に見えたあのビジョン・・・
『修斗ォ――絶対に手を放すなぁ―――』
あの時、松前君の名前を呼んでいた声は確かに俺の声だった
「巧君?」
「え?あっいや・・・うん、今日は何て言うか・・・その、少し楽しかった・・し」
「本当!?」
「う、うん・・・皆の頑張ってる姿も・・・何かこう、胸が熱くなるっていうのか・・・あっ御免!陰キャがこんな事言うと変な意味に取られるよね」
ギュッ
!?
黄瀬さんが俺の手を握る
「全然変じゃないよ!タクミンが少しでも、楽しいって思ってくれたなら、ツーエーの皆も大喜びだよ!」
「う、うん・・・有難う黄瀬さん・・・」
――――にしても・・・
皆どこまで付いて来る気だ?
もう既に俺の住んでるボロアパートが見える所まで帰って来てしまったぞ?
「あ、あの・・・皆さん帰り道、全然方向違います・・・よね?」
近所とは言え、麗華もとうに自宅の方へ曲がる角を通り過ぎている・・
「え?別に大丈夫よ?」
「おきになさらず」
「コッチでいいんだよ~♪」
いやいや、もうアパートの駐車場まで来ちゃったよ?
俺が階段の手すりに手をかけ振り返る
「皆さん、ここまで一緒に帰ってくれてありがとうございます・・・ではまた明日」
「ん?最後まで一緒に帰るよ?」
黄瀬さんがキョトンとした様子で首を傾げる
ん?
結局自分の部屋の前まで一緒に帰って来てしまった・・・
ここは・・・「上がって行きますか?」とか声を掛けるべきなのだろうが
あいにく俺の家にはお客様をもてなすための、飲み物も無ければ、当然お茶請けなど気の利いた物も無い・・・
「あ、あの・・・え?」
「それじゃ巧また後で」
「巧君、今夜の夕飯は真希には手を出させないので、ご安心を」
「タクミンそれじゃ~シャワーしてから行くねぇ―――」
「・・・・・え?」
3人は隣の部屋に何事も無かったかのように入って行った・・・
「え?・・・・どういう事?」
記憶をたどる・・・
そう言えば、数日前に引っ越しのトラックが停まっていた・・・
それも物凄い荷物の量を積んで
部屋のドアの前で、カギを握ったまま固まる巧―――
彼が、現実を受け入れるにはもう暫くかかりそうだ・・・・




