第35話 このフィールドを演出する美女、中谷美樹
男バスは、3年C組の人数が揃わないとの事で自主練へとなった
おそらくは、サッカーで負傷したあの3年の先輩が男バスにもエントリーしてたのだろう
という事で、俺は今度は試合を終えたエミリや、ギャルフォー、伊藤姉妹ら一緒に女子サッカー班の練習試合を見に来ていた
3年の体育授業は終わり、ようやく2年同士での練習となるらしい
「チッ・・・面倒だがここからは私が審判だ・・・クソ、サッカーのルールなんか知らねぇっての!」
酒田先生が居なくなり、審判のお鉢が回ってきた山城ちゃんはブツブツ文句を言っていた。
「―――ん?あぁ・・・そうだ、松前!テメェが代わりに審判をやれ」
「え?お、俺すか?」
木陰で休んで女子サッカーの見学をしていた松前君を見つけた山城ちゃんは
面倒な審判を松前君に丸投げした
「あぁ―――私は少し他の連中の様子・・・サボって来るあとはよろしく」
―――本音と建て前が逆だよ?山城ちゃん・・・
「仕方ねぇ――」松前君はヤレヤレと重い腰を上げる
「では、先生から頼まれた俺、松前修斗が代理で審判を務める!」
「「「きゃ――――!!2-Aの松前君よ―――!」」」
2-Bの女子サッカーの面子は、大いに盛り上がっている・・・流石は爽やか陽キャイケメンのサッカー部エース
しかし、等の松前君は、顔を青くして景浦さんの方を見て小さく首を振っていた
「――――修斗・・・これはお仕置きが必要であるな?キヒヒヒヒヒ・・・」
景浦さんの眼鏡の奥が怖い・・・
「さ、さぁ試合を始めるぞ!」
「―――私らは後攻でいいわ」
水原さんは相手チームに先攻を譲った・・・これってハーフなんだけど
「では2-Bからの先攻で始める!」
ピィ―――
松前君のホイッスルで試合が始まる
「美樹・・・最初は様子見よ」
「えぇ――ボクは巧君に良いところ見せたいんだけどぉ―――!」
「キヒヒヒ・・・甘いな、僕っ子―――最初から圧勝だと、女バスの二の舞ぞ?」
「!?ど、どういう事なんだい?妖狐ちゃん!」
チッチッチと人差し指を動かし、ペタンコの胸を反らす洋子
「僕っ子よ、想像してみるがよい・・・劣勢な私ら女子サッカー班―――それを必死に大声で応援する巧氏・・」
「女バス班はしくじったのよ・・・最初から圧勝では巧氏の感動も半減以下・・・」
「つまり、最初は劣勢を装い巧君をドギマギさせて・・・感動的な逆転劇を演出―――」
「キヒヒヒ・・・覚醒職 演出家の中谷美樹氏なら、このドラマチックな感動シーン。巧氏と、女子サッカー班にどんなカットを望むかね?キヒヒヒ・・・」
「!?」
「・・・・それって、まさか感動した巧となし崩し的にビィスティステイするチャンスが!?―――いい、いいわねぇ!」
真希は、頬を赤らめ口から涎を垂らしながら、チラッと木陰でこちらを見ている巧に視線を向ける
「へぇ―――それ良いじゃん・・・ボクも巧君に【ピー※自主規制】でメチャメチャにされたい!・・・そういうR18演出、大好物!」
美樹も、獰猛な猛獣のような視線を巧に向けた
「―――フフフ・・・じゃぁここは朝の連ドラで行くよ」
「了解!演出家!」
―――こうして、ツーエー女子サッカーメンバーの思惑はさておき、練習試合は始まった・・・
「お、おい・・・何でウチの連中が苦戦してんだ?」
「知るかよ!おい!真希、美樹、洋子!皆、何してんだ!!」
藤堂君と熊井君は慌てた様子で、女子サッカー班を応援している
「み、みんな頑張ってるし・・・」
男子サッカー班のように、皆手を抜いてるようには見えない―――水原さんも、中谷さんも、景浦さんも・・必死にボールを追いかけている
―――試合開始から既に20分・・・今の所スコアレスのドロー
でも・・・
「あっまた、相手がシュート!?」
キーパーは、インテリ女子派閥の青井さんだ
「こんのぉ―――!」
青井さんは、服が汚れるのも気にせずボールに飛びつく
「あっ!?」
ボールを掴んだ勢いで、青井さんは背中からゴールポストにぶつかる
「あ、青井さん!?」
「あ、あははは・・・大丈夫大丈夫、心配しないで巧さん」
思わず大声で叫んだ俺に手を振りながらウインクする青井さん
「美樹!!」
そして、すぐさま青井さんは掴んだボールを蹴り上げると、ハーフライン手前に位置取っていた中谷さんへとパスを出した
「かもぉ――――ん!ボールちゃん!」
「させないよ!」
「中谷さん!!」
「キャッ」
思わず大きな声を出してしまう
ジャンプして、胸でボールを受けるつもりだった中谷さんを、2-Bの選手が突き飛ばし、中谷さんはバランスを崩し地面に倒れた。
思わず応援席を飛び出し、中谷さんの元へと駆け寄り抱き起す
「中谷さん!!大丈夫!?」
「えっ巧君・・・あっチョット胸のここら辺が痛むかも・・・」
そう言うと、完全に右のオッパイ辺りを押さえだした
「巧君に、さすってもらったら、ボク治っちゃうかも♡」
「え・・・い、いや・・・そんな・・・でも・・・」
「ねぇ痛いよぉ―――巧君――――」
そこに、女子サッカーメンバーが集結する
「へぇ―――美樹てば、そんなにいっぱいクッション代わりの肉が付いててボールが当たっただけで痛むんだぁ―――」
と、腕組して中谷さんを睨み付ける水原さん・・・
「私が代わりに摩ってあげましょうか?」
と、右手をゴキゴキ鳴らす・・・
「はいはい、もうそう言うの良いよ、美樹―――時間無いから」
と、白けた眼で見下ろす、青井さん
「キヒヒヒ、ここはお言葉に甘えて、このボインボインを鷲掴みにするべきでしたな、巧氏!」
―――この人だけは、空気が読めてない・・・
「さ、さぁ・・・皆頑張って、僕も最後まで応援するよ」
「「「任せて!巧(君)に勝利を捧げるから♡」」」
何だろう・・・見んなの目が光ってる様な・・・でも、何で俺に?
「う、うん、ありがとう?」
―――よくわからないまま試合は再開された・・・相手のファールなので2-Aのボールからスタートだ
「もう時間も1分弱だし・・・」
「えぇ、もうエンディングの演出は出来てるよ」
ピィ―――松前君の笛が鳴る
バッと、中谷さんがボルを蹴り出すと、目にも止まらない速さで、あっという間に3人を抜き去る
「行くよぉ―――真希!」
反対側を駆け上がる水原さんに大きくパスを送り、サイドチェンジすると
水原さんがそのボールを華麗にトラップし
「はぁ!?なんなのこの動き」
リズムを刻むように、相手の間を小刻みなトラップアンドダッシュで躱して
「いくわよ!美樹ぃ!」
水原さんが、ゴール前に駆け込んだ中谷さんへセンターリングを上げた
「ボクに任せてぇ―――!」
「させるかぁ中谷ぃ!」「松前君にアピールすんのは私よ!」
そんな中谷さんを挟みこむように、2-Bの選手2名が一緒の飛び上がる
「!?」
そんな2人の視界から急に中谷さんの姿が消える
「これが、ボクから巧君に捧げるオーバーヘッドォ――――!」
2-Bの二人の遥か上にあるボールをその、右足でとらえた中谷さんは、華麗に空中で回転しながらその足を振り抜く
バシュゥゥゥ――――
キーパーの子は一歩も動けず、ゴールネットを激しく揺らした
「ゴォ――――ル!」松前君の声が響く
「やったぁ――――皆凄いよ――――!」
思わず立ち上がり拍手を送る
「「「きゃぁぁ――――巧(君)やったよ――――!」」」
―――うん、何かよくわからんけど、皆、最後の動き凄すぎじゃない?




