第25話 仕組まれた球技大会・・・KILL YOU!
球技大会まで後2日・・・
「それじゃ球技大会の出場メンバーを決めてくぞぉ―――」
3つの抽選箱を教卓の上に並べる、担任の山城ちゃん
と言うのも遡る事1週間前―――
『お前ら!自分の出たい球技のボックスに名前を入れろよぉ―――!』
用意された箱は
「サッカー」
「ソフトボール」
「バスケ」
の3競技
『我こそと思う奴は、複数に応募する事も可能だ!』
『サッカーとバスケは男女別々だが、ソフトボールは男女混合だ』
えっとつまり・・・男子だけでいえばサッカーで11名、バスケで5名、ソフト9名って事は4~5名・・
このクラスの男子が、15名・・・って事は5,6名が掛け持ちしなきゃって事だよな
怖い怖い・・・
でも、水原さんの自宅で盗み聞きした通り、松前君が何か仕掛けて来るはず
って、最初は警戒してたが、マジ天使ココアちゃんの非売品のアクキーに心癒されてしまい
すっかり警戒を怠ってしまっていた
――――そして今現在に至る・・・
「・・・・・・・・・・・・」
「なんだなんだぁ御神ぃ―――1年の時と違って随分と積極的じゃねぇか!男気か?がはははは、いいな私は見直したぞ!」
バンバンと山城ちゃんが叩く黒板を、死んだ魚の目で見つめる
あぁ―――なんという事でしょう―――
ソフトボールにしか名前を書いた紙を入れてないはずが
あら不思議、サッカーにもバスケにも御神って書いた紙が入ってるじゃあ~りませんか―――
しかも、字体が俺の物とそっくり・・・偽造のプロですか?
松前君の方へ視線を向けると、爽やかな笑顔で親指を立ててやがる
それを、そのまま親指で喉を斬り、指先を下に向けて
KILL YOU!
ってか!?
チキショ!ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・
てっきり、俺の書いた紙をこっそり抜き取り―――
『テメェ御神ぃなんでお前だけ投票してねぇだぁ―――?!やる気あんのかぁコラァ!』
って、山城ちゃんに、引くほどのガンを飛ばされるくらいに考えていたが・・・
想像の斜め上を行ってくれるぜ・・・爽やかイケメン松前修斗
絶対にノーマルな男の子とは交際出来ないと勝手に思っていた、あのBL大好物腐女子 影浦洋子を落とした男だけの事はある。
やることがエグ過ぎ、マジパネェぜ!
「というか、今回はキッチリグループ分けも人数分計った様に出来てるな・・・」
さすがに山城ちゃんも変だと思ったのか、クラス委員長である俺の隣の席の黒峰さんの方をチラッと見る
ニコッ
絶対に松前君らと示し合わせて仕組んでるはずの黒峰さんは、山城ちゃんの疑いの眼差しを難なく笑顔で弾き返した
無敵だ・・・この人
「まぁ良いか、これで私も早く帰れるぜ。そうとなりゃ帰って酒飲みながらサブスクで、日本統一の続きでも見るか!」
なんか山城ちゃんは最低な理由で、締らないLHRを適当に切り上げ教室を後にした
そして、山城ちゃんが居なくなった途端、大勢が俺たちの席に押し寄せて来る
「頑張ろうぜ御神!」と、笑顔が胡散臭い松前君はサッカーとバスケに参加予定
「巧となら連携もバッチリだぜ!」と、何故か気合十分の服
部君は、バスケとソフトボール
「「「我ら漆黒の3連星が必ずや主に勝利を!」」」と、野球部3人衆の打田君、外山君、玉井君・・・
「クククク・・・巧殿、見せ場十分でゴザルな―――」と、意地の悪い笑みを見せるのは、かつての心の友・・・大田君
結局大田君はソフトボールの1種目だけ―――ズルくない?
「ヒヒヒヒ、ここで意外な底力を見せつけ・・・陽キャ連中を床ペロさせ・・・その陽キャは最強たる巧氏の虜に・・・そして男女入り乱れての【ピ――――】展開!あぁ―――ご褒美ショットで捗るでしゅなぁ・・・キヒヒヒ」
―――この人は、ヤバそうだ。そっとしておこう・・・
そんな中、松前君んが俺の肩に腕を回し
「てことで、これから男女のサッカーメンバーと軽く練習しに行こうぜ!なっ!御神!」
「え!?い、いや・・・それは・・・」
その松前君の腕を払い除け、今度は服部君が俺の机に手を置いて笑顔で語り掛けてくる
「サッカーなんかより、バスケだよなバスケ!今日は、伊藤シスターズがレクチャーしてくれるって言うし、近くのバスケコート借りて、バスケチームも男女合同でひと汗かこうぜ!」
「そ、そんな急に・・・」
「テメェ服部ぃ―――俺が先に御神に声掛けたんだろうがぁ―――!同じサッカーチームだろ、水原もなんかいってやってくれ!」
「あぁ?知るかよ!こっちには伊藤シスターズも、エミリらもいるんだ。巧だってバスケの方がしたいに決まってる!」
何かクラスが俺の席を挟んで半分に割れ、睨み合っている・・・・
「プッ・・・クククク・・・・」
思わず吹き出してしまった・・・
クラス中が、俺の方に注目する
「あ、いや・・・なんでも・・・御免なさい―――!!!」
「あっ!?お、おい御神!!」「巧!」「タクミン!」
皆の視線が怖くて、鞄を握り慌てて教室から逃げ出した――――
何で、あんな所で笑ってしまったんだろう・・・
皆が、揉めてる時にその真ん中で・・・
でも、あの瞬間の光景が、かつて居心地が悪いとさえ感じていた。いがみ合いの絶えなかった懐かしいクラスの光景と重なった・・・
「懐かしい?」
馬鹿な・・・まだ2年生になって1ヶ月も経ってないのに、懐かしさを感じるなんて―――
クラスの皆というより、もしかして俺の方がおかしいんじゃ?
そんな事を考えながら下駄箱で靴を履き替えてると・・・
「巧君、一緒に帰りませんか?」
「え?何で、ここに黒峰さんが?!」
さっきまで教室に居たと思っていた黒峰さんが、玄関の入口付近で鞄を持って立っていた
「フフフフ、わたくしも巧君と一緒です・・・逃げてきちゃいました!」
「えぇ―――でも今日って、クラス委員長が球技大会の参加者名簿を纏めて学校側に提出する日だって、先生が・・・」
「あ、それなら大丈夫です、昨日の内に済ませてますので」
―――昨日?・・・抽選したの今日だったのに?何で?
「さぁその事は帰りながらお話しましょう!」
「あっ!?ちょっと!」
俺は黒峰さんに右手を握られ、学校の入口から出る・・・
――――その頃の2ーA教室・・・
クラスメートは校庭側の窓を見下ろし、麗華に腕を引かれ学校を後にする巧の姿を見守っていた
「頼んだぞ黒峰・・・」
「今回はしゃくだけど、幼馴染ポジに出番は譲るわ」
「チッ・・・俺は本当に巧とバスケを―――」
「はぁ~まだ言ってんの~?アタイだって、タクミンとバスケしたかったけどさぁ~」
「申し上げたであろう?巧殿が、我らに対し何を遠慮してるのか?何が壁になってるのかを、まずは聞き出す、もしくは探る事が第一歩でゴザルと・・・」
「―――で、でも邪神の影・・いや使徒クラスがうろついてるかも知れないのに・・・巧さんが危険に・・」
心配そうに、赤と銀のスピリットカラーの髪を揺らしながら伊藤色が呟く・・・
「空殿に色殿・・・この程度の距離だが、お主らの是空と是色の位置情報感知「GPS」を以てしても、既に巧殿を追えないのでは無いか?」
「「!?」」
姉、伊藤空の覚醒職、是空は一定の範囲の天候を操る能力・・・
そして妹、伊藤色の覚醒職、是色は同じく一定の範囲の季節を操る能力・・・
二人別々でも戦局を有利に運ぶことのできる支援職なのだが、二人の能力が合わさると相乗効果で3倍、4倍の効果を得る事が出来る
天候や気候を自在に操るその姿から、魔王軍からは「ツーエーの風雷人」と恐れられていた・・・
そんな二人がそろって初めて使える協力スキルが「GPS」・・・
敵味方の位置情報を瞬時に把握するスキル・・・なのだが・・・
「―――大田君の言う通り・・・麗華の位置は追えるけど・・・」
「うん、巧さんはロストしてる・・・」
大田君の眼鏡が光る
「つまり、今の巧殿にはツーエーの誰かが付いてないとならない・・・しかも、不測の事態が起きた時、応戦し巧殿を逃がせるだけの時間を稼げる戦力も必要・・・」
「そして、最も大事なのが―――巧殿のストレスにならない護衛の人選でゴザル・・・」




