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俺だけ異世界転移していないらしい 〜異世界で俺と結婚した三人の嫁が、転移前の俺を必死に攻略してくる  作者: nayaminotake


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第19話 迷子になったお姉さん、俺が探して来てやんよ!

 〇駅前喫茶店「サンフラワー」


(あのフチ無し眼鏡の茶髪美人さん・・・結局ペロリとパフェ5種類完食して、パンケーキも追加してたな・・・あの体の何処に入るんだ?化物かよ・・・)

 そのくせ甘味処を堪能したはずが・・・『はぁ――ホント、生意気なガキのお守は疲れるわぁ―――』と、結局最後まで愚痴が止む事無くブツブツ言いながら帰って行った。


 そして今、時間にして19時半・・・そろそろバイトも終わりだ

 サンフラワーはアルコール類の提供をしてない、いわゆるランチ営業メインの喫茶店なので21時には店を閉める

 ―――そんなバイト終わりかけの、ひと時


「あっお兄ちゃん!今日はいたぁ―――!」

「ようこそ、花梨《かりん》ちゃん」


 俺の足にしがみついて来た、小学校低学年の可愛らしい女の子

 以前、公園の木に風船が引っかかって泣いてる所を偶然通りかかって、助けたのが縁で懐かれてしまった・・・


 俺は屈んで花梨ちゃんと同じ目線で優しく尋ねる


「今日は一人かな?お姉ちゃんは?」

「うん・・・途中まで一緒だったんだけどぉ――花梨が大きな黒い蝶々だぁ!って指さしたら、急に用事思い出したから先に行っててって・・・」


 少し不安そうな花梨ちゃんの頭を撫でる


「そっかそっか―――花梨ちゃんはお約束が守れて偉いねぇ―――!」


「巧君、これ」


 マスターが、ぶっきらぼうにカウンターへ差し出したのは、よく冷えたオレンジジュースだ


「ありがとう御座います、マスター」


 ―――マスターは口数こそ少ないが、本当に優しくて良い人だ

 まぁ目付きが鋭く、スキンヘッドで色付きの眼鏡をしてるもんだから、殺し屋だとかその筋の人だとかの噂が絶えない

 まぁ第一印象は最悪だが・・・(俺も最初の面接のときはチビッタぜ・・・)良い人なのは間違いない


 毎回、モーニングとランチに提供したパンの耳を無償で譲ってくれるし

 本当に感謝感謝だ!


「それじゃ花梨ちゃん、ここのカウンター席で良い子でお姉ちゃんを待ってられるかなぁ?」

「うん!花梨いい子だから待ってられる!」


 ―――時刻はもうじき20時を過ぎる・・・


 最初は喜んで飲んでくれてたオレンジジュースも・・・「うんん…いらない…」と、おかわりは断られた


「―――マスター僕・・・上がりなんで・・・」

「えっ・・・お兄ちゃん帰っちゃうの?」


 控室でエプロンを脱いで出て来た俺を見て花梨ちゃんは、不安そうに俯いた


「大丈夫、お兄ちゃんがお姉ちゃんを探して来てあげるよ」


 花梨ちゃんの頭をポンポンと優しく叩き


「マスター・・・この子を、お願い・・・します・・・」


 コクリとマスターは頷いてくれた


 カランカラン♪と喫茶店の入口を開け、花梨ちゃんが黒い蝶を見たという近くの橋に向け駆けだす

 ―――外はすっかり暗くなっていた・・・


「花梨ちゃんが黒い蝶を見たってのは―――この辺だよな?」


 橋の周辺を見渡す・・・行きかう人もまばら・・・花梨ちゃんのお姉さんは見当たらない


「ホント・・・何で俺が―――」


 しかし脳裏には不安そうに俯く花梨の姿が・・・


「ホント・・・らしくねぇよ―――全く!」


「おぉぉぉぉい!志田さぁぁぁぁぁぁん!!どこに居るんだぁぁぁぁぁぁ!!」


 俺は花梨ちゃんの姉である志田薫さんの名を大声で叫んだ・・・

 こんな大声で叫んだのは、例のココアちゃんのアクセルデビューコンサート以来だ


「おぉぉぉぉい!志田さぁぁぁぁぁぁん!!妹さんが探してるぞぉぉぉぉ!!」


 あまりの大声に、近所の家々の明かりが灯る


「!?な・・・何か、聞こえたような・・・」

「橋の下か!?」


 俺は声のする橋の下へと坂を駆け降りる


「!?な、なんだコレ」


 すると橋の下には、コンクリートで出来た小さな建物が・・・


「こ、こんなのここに無かった・・・よな?・・・ん?何か音が聞こえるぞ?」


 ガン!ガン!と何かを叩く音が聞こえて来る


【ギィシャシャシャ・・・とっとと、出て来い小娘共・・・】


 建物を回り込み、声のする方を除くと・・・


 ―――何だアイツら・・・


 そこには金属バットや、角材を握り建物のドアを壊そうとしてる、サラリーマンら3人が居た


 だが、明らかに様子がおかしい・・・目は赤く光り口元からは涎が


「へ、変な薬でも飲んでるのか?」


【出て来い!ツーエーの志田と黄瀬ぇぇぇ!】


 え?今、あのサラリーマン・・・志田さんと黄瀬さんの名を


 ガシッ


 気が付けば、サラリーマンが振り下ろそうとしていた金属バットを握る手を受け止めていた

(まただ、身体が勝手に――――)


【あぁ?何だぁガキが・・・食われたいのか?】

【ま、まて・・・こいつもしかして―――】

【お、おぉぉぉ深皇御神だ!コイツは良いぜぇ――わざわざ小娘共に聞く手間が省けたってもんだぁ】


『え?な、なんでタクミンが!?』

『う、うそっ!?巧っち?』


 建物の中から志田さんと黄瀬さんらしき女性の声が聞こえた


 ―――だったら・・・


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 全力で金属バットを持つサラリーマンの腹にタックルをぶちかます


【キシィィィィ、ホレホレェ―――もっと押せぇ―――】


 しかし、1メートルも押し込めない・・・


 ドガッ


「ガハッ!」


 背中に衝撃が走り、俺はその場に倒れ込んだ


【ギャハハハハ、モスマン様の言う通りだぁ――この世界の深皇は、弱すぎぃ―――殴るだけですぐに壊れるぜぇ―――】

【おいおい、かの深皇を仕留めたとなれば、影から一気に使徒へ格上げも有り得るんじゃねぇか?!】

サラリーマン風の異常者らに、背中を足蹴にされ激痛が走る


「くそっ・・・何とか二人を・・・」


 ガチャ


 そう思っていたら、建物のドアが開き志田さんと黄瀬さんが出て来てしまった


「に、にげ・・・ろ・・・・」


「タクミン!!」

「こんのぉ――!操られてる人間だからって手加減してればぁぁ!」

 二人が俺に駆け寄ると同時に、異常者らサラリーマンは後ろに後退した。


「しっかり!タクミン!!」

 俺は黄瀬さんの抱き起される


「だ、ダメだ・・・早く逃げろ・・・」

「タクミン、大丈夫だから―――タクミンの専属の超メイドのアタシが付いてればぁ――――」


 よく聞き取れないが何か口にした黄瀬さんは、俺のおでこに指を添わせ何やらマークを書き出した・・・


「萌え萌えぇ――キュン♡」

「え?な、なんだろ・・・さっきまで背中が痛かったのに、全然痛くない・・・」


 俺の様子に安心したように息を吐く黄瀬さん・・・


「薫、タクミンとアタシの周囲に壁を!」

「えぇ!了解!」


 志田さんは俺の方を振り返ると、手をかざした


 ガゴッと地面が隆起すると目の前に壁がせり上がって俺と黄瀬さんを囲った


 !?


 グイッと頭を引っ張られ・・・柔らかい何かの上に置かれる


「さぁ、アタシの膝枕でゆっくりとお休みしてくださいねぇ―――ご主人様♡」


 ―――あっ、まただ・・・意識が…――――


異常者サラリーマンと対峙する志田さん


「ホント、深皇との誓いって結構窮屈なのよねぇ―――まぁ今回は良い方にはたらいたけど?」


【ギィィィィ・・・何を言っている、先ほどまで我ら、モスマン様の傀儡にも手も足も出なかった貴様らが・・・ 】


 志田さんは、金属バットを構える男の話を、つまらなそうにデコデコの付け爪を気にしながら聞き流していた


【聞いてるのかぁぁ!】


 流石にナメた態度に怒りだした傀儡サラリーマン

 手にした武器を振り回しながら、志田へと遅い掛かってきた。


「ビルド(建築)・・・プリズン(監獄)」


「「「!?」」」


 サラリーマンらは突如として出現した牢獄の中に収容されてしまった・・・


「あぁ――手も足も出なかったってのは―――まぁその通りなんだけどぉ―――」


 志田が鋭い視線で傀儡サラリーマンを睨みつける


「でも、それってぇ――深皇との誓いの制約に「一般人を傷つけてはならない」ってあるんだよねぇ―――」


【で、では何で、今は…】


「はぁ”?―――巧っちを傷つけた時点で、私らツーエーにとってアンタらは一般人じゃないんだよ」


「――――狩るべき敵だから・・・ビルド―――拷問室」


【【【ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!】】】




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