第13話 暗闇の中で蠢くモノ
体育の授業で使うバスッケットボールを取りに体育館の奥にある用具室へ
探してる時に、突如ドアがしまり明かりのスイッチを探してると
突如、腕を掴まれ
「フフフフ、あなたが御神巧君?」
え?女の人!?こ、怖い怖すぎる!?
「え、えっと・・・」
「ねぇ、水原真希なんかよりも私と・・・いい事しない?」
「え?!」
何故か暗闇で俺の腕を掴んだ女性が水原さんの名前を口にする
「い、いえ・・・僕は別に水原さんとは何も・・・」
ドン!
「ヒッ!」
急に左耳の横で壁を叩く音が聞こえ身がすくむ
「誤魔化しても無駄だ、ド陰キャのお前が何故か知らねぇけど、水原真希のお気に入りだってネタは上がってんだよ!」
突如乱暴な言葉使いになる女性
でも、何処かで聞いたことのある声―――
「え、えっと・・・貴方は、誰・・・ですか?同じクラスの女性では有りませんよね・・・」
「あ”ぁ”?んなぁこたぁどうでも良いんだよ!!」
「ヒッ!」
「なぁお前、水原真希をトップから引きずり降ろすのに協力しろよ・・・」
どうやらこの女性は水原さんに恨みを持ってる女性の様だ・・・
言葉の端々から、そう感じる
「で、でも本当に僕は水原さんとは何も・・・」
「だったら何で、あんなに距離が近けぇーんだよ!おかしいだろうが、あのお高くとまってる女、理想の高い勘違い女がよ!」
「そ、そう言われましても・・・」
「アイツはな、Fテレビのプロデューサーからの誘いも、J事務所のナンバーワンイケメンK君の誘いも全部袖にするような勘違い女なんだよ!」
この女性はかなり芸能界の裏事情に通じてるらしい・・・
ドルオタである俺にしてみれば、女性が口にした2人は、芸能界でも女癖が悪いって事で有名なので俺でも名前は知ってる
マジ天使であるココアちゃんが、そんな連中の毒牙に掛からないか、常に目を光らせているからだ(勝手にSNSに張り付いてるだけ)
「そんな水原真希が、お前に対して向ける顔はメスの顔してんだ・・・あれはマジでもうズコバコしてる男女の距離感だろうが!あぁ正直に言えよ」
ズコバ・・・何て下品な――
ココアちゃんと同じ女性だとは思えない
でも、誤解を解いておかないと、ここで何されるか
「わ、わかりました!言います、言いますから!」
「あぁ?何を言うんだ?水原真希の弱みでも教えてくれるってのか?」
「―――弱み・・・って言うか分かりませんが・・・あれは、僕のクラス全員で仕組んだ、僕一人をターゲットにした嫌がらせのドッキリの仕込みなんですよ・・・」
自分で言ってて情けなくなる・・・でも、本当の事を言わないとこのヤバイ女性は納得しそうもない
「ドッキリ?」
「はい。実は水原さんだけじゃなく、今まで僕の事をイジっていた他のクラスメートも全員で最近急に優しく接してくるようになって・・・」
「それって、ただ単にイジってた事を反省して悔い改めてる・・・って話じゃねぇのか?」
「3日前まで普通に、「陰キャが!」「くせぇよゴミ陰キャオタク!」って馬鹿にされてましたから、それは無いかと・・・」
スッと女性が俺の顔の横から手をどかしたような気配がした―――ほっ・・・
「まぁそれなら、あの高飛車で性格ゴミクズの女がお前みたな陰キャオタクに、急に優しくしてる・・・って説明になるか・・・」
「チッ・・・とんだ無駄足だぜ、折角夢にまで見た私の好きピの皇子様を見かけたのに、こんな役立たずのド陰キャを優先して・・・」
「す、好きピ?」
「あぁ・・・そいやお前らと同じネクタイの色だったな?お前と同級生って事か?」
「だったら、丁度今、体育館で2年生の2クラス合同でバスケしてますから、もしかしたら貴方のお目当ての男性が見つかるかも・・・」
いいぞ!ようやく解放される!
「成程・・・これはこれで、ラッキーって事か」
「―――おい、御神巧・・・お前、そんなクラスの連中に・・・水原真希に仕返したくねぇか?」
「し、仕返し・・・ですか?」
「あぁ、ドッキリを逆手にとってやり返すんだ、特に水原真希には、恥ずかしくて芸能界に居られなくなるほどの仕返しをしてやろうぜ!」
確かにそれはスカッとする・・・
図書館でよく読むライトノベルで言うところのザマァ展開だ
憧れはある
―――だが
「やめて・・・おきます・・・仕返しが怖いんで・・・」
「チッ根性無しが・・・」
「静まり返った何千人の中で、たった一人会場中に届く声を上げて、私を応援してくれた、私の好きピとは雲泥の差だな・・・」
「ボクにそんな勇気・・・ある訳無いじゃないですか・・・」
「はっ!最初から期待してねぇよ!」
―――その時、急に背筋に寒気が
【見つけた・・・深皇】
「え?な、なんなの!?今の声」
女性にも今の声が聞こえたらしく戸惑っている
何処から聞こえたのか分からないが、表現出来ない恐怖に体がすくむ
【ガーゴイルを退けたらしいが・・・この暗闇はオレの領域、その命・・・貰った!!】
ガタッと何かが崩れる音と共に何かが飛んだ
「ガッ!」
右の肩に焼けるような痛みが走る
「お、おい!どうした!?」
女性は何が起こってるのか分からず、戸惑っている
「な、何か・・・いる・・・に、逃げて・・・」
「あ、あぁ!」
ガチャガチャ、女性が入り口のドアノブを回すが
「だ、ダメだ開かないぞ!」
【この世界の人間か・・・深皇を壊す前に味見しておくか・・・】
暗闇に潜む何かが俺の横を駆け抜け、ドアの前に居る女性の方へと飛び掛かった
「!?あ、危ない!!」
気が付けば俺も駆け出していた、自分でもよくわからない
ドン!「キャッ!」
女性を庇うように抱きしめた
「アガッ!!」
右肩を何かが嚙みついた
自分の血か噴き出すのが分かる・・・
【愚かな、深皇はいずれもその様な死に方しか出来ぬと見える・・・哀れ・・・オレのような下っ端のケルベロスに壊されるとは、クククク】
「お、おい!?御神巧!?な、何が起きたんだ!?」
「だ、だめだ・・・コッチを見るな・・・」
ガチャ
何とかドアノブを掴んでドアを開けると
「あ、開いた!?」
ドンッ
「!?」
俺は女性をドアの外に押し出し・・・
ガチャ
ドアを閉めた




