長等山の山麓
和やかな雰囲気で朝餉が始まる、ただ一柱を除いて…。他の神々は雷蔵にとっては何が何だかわからない内容の話をしていたが、雷蔵は一応人間である、分からなくて当たり前だった。ただし、琵琶姫が時折聞き耳を立てている様子はあった。それでも、彼女から彼らの話に加わる様子はなかった。まるで雷蔵と琵琶姫だけその場から浮いているようだった。
狗神は生前の景行天皇の幼少期に少しだけ関わったことがあったらしく、八幡神から「其方は変わらず達者であるな、まさか女人であったとは」と狗神に話を振ると「フフフ、では、久しぶりにやんちゃな童を背に乗せようかのう?」と彼女は返したが、彼は「朕はもう童ではない、人ですらない」と狗神の冗談を窘めた。それなのに「我から見ればまだ童よ」と狗神は嘯くのだった。一方、琵琶姫は他の神々とあまり関わりがなかったらしく、無関心のようだ。
そうして和やかな雰囲気で朝餉を終えた一同は、最近の戦による武家の勢力の変動に対応中で手が離せないので帯同できないと詫びる八幡神に南中門まで見送られて門をくぐる。すると、門から出た先は宇佐山の山麓の鳥居の前だった。朝早く出かけていた数人の町人が、突然現れた一団に驚いていたが、超常の現象である上に強力な神威に充てられて膝から崩れ落ち、一行に向かってブルブルと震えながら平伏するばかりだった。
それを気にも留めずに辰の神は先頭に立って歩き始め、狗神は巨大な紀州犬の姿に戻ると山から下りてきた犬たちを引き連れて先に行ってしまった。道の傍らにある民家からは戸を閉める音が次々と聞こえてくる。村人たちはオオカミや野犬たちを率いる巨躯の獣の姿に怯え、野良仕事に出るのをやめて屋内に逃げ込んだのだった。
一行は朝日を浴びる皇子山古墳を左手に、現代と違ってほぼ真っすぐに伸びている道を南下していく。しばらく進むと小川が見えてくる。川のほとりの樹木が密生しているところで西風を避けながら給水休憩をとる。鎧をまとった状態で乾燥した風に吹きつけられながら歩くのは体力を極端に消耗するからだ。暫し休んでから出発する。これくらいの時間になると日がだいぶ高くなってくるので寒さが薄れる。風さえなければの話だが。
ほとんどの部分が泥の上に薄く雪が被っているような泥濘だらけの歩きにくい農道である。とてもではないが重武装の武者が歩くのに向いているとは言えない。舗装道路の半分の速度で歩いても速度が速すぎるくらいだ。街道から外れているその様な農道を選んで進む。狗神と戌の神は獣形態になって眷属たちと周囲を威圧しながら進む。仏院や稲荷神社も多く、ほぼほぼ敵地だからだ。
そこからさらに進むと、長等山から少し離れたところに小山がある。後に「弘文天皇陵」と言う地名をつけられることになる小山だ。そこの東側で西風を避けつつ休息をとる。西風さえなければ昼前の日差しは柔らかく温かい。琵琶姫がどこから出したのか光る団子の入ったクマザサの葉の包みを出してきたので、雷蔵はそれをいただいた。少し早い昼食だった。
体が温まって来て昼食による元気も出てき始めた正午頃、一行は出発した。小関峠の入口に当たる谷間の街道を進む。まばらに人がいるものの、ほとんどの通行者が一行に先駆けてきた巨躯の犬2頭とその巨犬たちの周りに侍る山犬や野犬たちに恐れをなし、震えながら平伏しつつ、まるで嵐が過ぎ去るのを待つかのように手を合わせて何事かを祈っていた。彼らを尻目にいよいよ急勾配に差し掛るという所で山からの湧き水を見つけた狗神たちはそこで立ち止まったため、群れも移動をやめる。そこで一行は最後の水飲み休憩を終えると、小関峠を越えるべく出発するのだった。
以下2点、判断に迷うため選択肢を提示します。
**Q1.** 「突然現れた一団に驚いていたが、頂上の現象である上に強力な神威に充てられて膝から崩れ落ち」の「頂上の現象である上に」の部分。文脈上、意味が通りにくくなっています。
- A. 「非日常の光景である上に」に修正
- B. 「朝早くの出来事である上に」に修正
- C. その他のご指定
**Q2.** 「自分でもいつしかぶりに朝日に手を合わせる」の「いつしかぶりに」の部分
- A. 「久しぶりに」の誤字と考え修正
- B. 「何時ぶりか」の誤字と考え修正
- C. その他のご指定
A/B/Cでそれぞれお答えください。
なお、以下は明確な誤字のため自動修正しました。
- 「丸で雷蔵と琵琶姫だけ」→「まるで雷蔵と琵琶姫だけ」(誤字:丸で→まるで)
- 「膳の前いいた」→「膳の前にいた」(誤字)
- 「朝日を拝しておったであるか?」」→「朝日を拝しておったであるか?」」(全角記号の誤り:」→」)
- 「錦織の山際の道だった。った。」→「錦織の山際の道だった。」(文末の衍字を削除)
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1,C「超常の」。2、そこから下はもういらない部分なので何もしなくて良いです。
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承知しました。
**確定事項**
- 「頂上の現象である上に」→「超常の現象である上に」
- 「そうしていると神職が朝餉の支度ができたと言ってきたので」以降(Q2を含む段落と、それ以降の3つの・の項目)は処理不要とのことですので、除外します。
本文(「長等山の山麓」の項目部分、「・境内の東面の…」以降を除く)にルビを振ります。
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