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雷蔵伝・魔境奇譚  作者: まろやかポン酢風味
比叡山麓縦断
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琵琶湖の旭

焚(た)き火(び)の煙(けむり)の臭(にお)いで目(め)が覚(さ)めた雷蔵(らいぞう)が気(け)だるげに体(からだ)を起(お)こすと「目覚(めざ)めたか」と狗神(いぬがみ)に声(こえ)をかけられる。「今(いま)起(お)きてござる」と短(みじか)く答(こた)えた雷蔵(らいぞう)は「世話(せわ)になった」と礼(れい)を述(の)べると狗神(いぬがみ)に一礼(いちれい)してから洞穴(ほらあな)の外(そと)を覗(のぞ)く。焚(た)き火(び)の手前(てまえ)には琵琶姫(びわひめ)が立(た)っていて、軽(かる)く飛(と)び跳(は)ねながら「旨(うま)し」と小(ちい)さく叫(さけ)び、雷蔵(らいぞう)からは焚(た)き火(び)の右後(みぎうし)ろに立(た)っている堅物(かたぶつ)な戌(いぬ)の神(かみ)の仏頂面(ぶっちょうづら)が少(すこ)し崩(くず)れるのが見(み)えた。


それと同時(どうじ)に戌(いぬ)の神(かみ)の目(め)が雷蔵(らいぞう)の目(め)と合(あ)う。彼(かれ)が「雷蔵殿(らいぞうどの)お目覚(めざ)めにて候(そうろう)」とちょっと格式(かくしき)ばった言(い)い方(かた)をすると琵琶姫(びわひめ)が雷蔵(らいぞう)の方(ほう)に振(ふ)り向(む)き「おお、起(お)きたか!」と言(い)うと眩(まぶ)しい笑顔(えがお)で雷蔵(らいぞう)のもとに駆(か)け寄(よ)ってくる。まるで何(なに)もかもが新鮮(しんせん)に感(かん)じられる年頃(としごろ)の少女(しょうじょ)のようであった。


少(すこ)し離(はな)れたところで作業(さぎょう)していた子(ね)の神(かみ)と辰(たつ)の神(かみ)も、焚(た)き火(び)の傍(かたわ)らの賑(にぎ)わいに雷蔵(らいぞう)のいる洞穴(ほらあな)の方(ほう)へと体(からだ)を向(む)ける。すると、辰(たつ)の神(かみ)の体(からだ)で隠(かく)れていた部分(ぶぶん)には木(き)に吊(つ)るされて皮(かわ)をはがれて丸裸(まるはだか)になり、すでに解体(かいたい)と腸(はらわた)の処理(しょり)が終(お)わっている兎(うさぎ)の死体(したい)が吊(つ)るされていた。「おう、起(お)きたか雷蔵(らいぞう)。今朝(けさ)は山犬(やまいぬ)どもが兎(うさぎ)を取(と)って来(き)たのでな、兎肉(うさぎにく)を食(く)うであるぞ」と良(よ)い笑顔(えがお)で言(い)うので「おお、有(あ)り難(がた)や」と応(こた)えてから雷蔵(らいぞう)は洞穴(ほらあな)を出(で)た。


洞穴(ほらあな)を出(で)た雷蔵(らいぞう)の許(もと)に山犬(やまいぬ)たちが寄(よ)って来(き)て尻尾(しっぽ)を振(ふ)りまくる。通常(つうじょう)、山犬(やまいぬ)ことニホンオオカミたちが人(ひと)に近(ちか)づくことはないし、ニホンオオカミたちに囲(かこ)まれた人間(にんげん)は恐怖(きょうふ)に怯(おび)えるものだが、雷蔵(らいぞう)の中(なか)からはそんな常識(じょうしき)は吹(ふ)き飛(と)んでいた。『僕(ぼく)たちが捕(と)って来(き)たんだよ!褒(ほ)めて!』と言(い)わんばかりの彼(かれ)らの様子(ようす)と甘(あま)えた声(こえ)に「馳走(ちそう)になるでござる」と謝意(しゃい)を述(の)べながらしゃがみ込(こ)み、甘(あま)えてくる山犬(やまいぬ)たちを撫(な)でていくのであった。


雷蔵(らいぞう)に撫(な)でられて満足(まんぞく)した山犬(やまいぬ)たちが散開(さんかい)していくと、それを見計(みはか)らったように狗神(いぬがみ)が出(で)てきて雷蔵(らいぞう)に体(からだ)を擦(こす)り付(つ)けてきた。「色々(いろいろ)とかたじけのうござる」と狗神(いぬがみ)に向(む)かって言(い)うと彼女(かのじょ)は「我(われ)の子(こ)らは働(はたら)き者(もの)であろう?」と自慢(じまん)するのだった。まるで雷蔵(らいぞう)と張(は)り合(あ)うかのように野犬(やけん)たちを撫(な)でていた琵琶姫(びわひめ)は、野犬(やけん)たちが解散(かいさん)していくのと同時(どうじ)に「犬(いぬ)たちは茸(きのこ)を採(と)って来(き)た」と述(の)べるので、雷蔵(らいぞう)は戌(いぬ)の神(かみ)に対(たい)しても「今朝(けさ)も世話(せわ)になった」と礼(れい)を述(の)べると、戌(いぬ)の神(かみ)は破顔(はがん)したのだった。


いつの間(ま)にか肉(にく)の処理(しょり)を終(お)えた辰(たつ)の神(かみ)は焚(た)き火(び)で肉(にく)を焙(あぶ)っており、肉(にく)の焼(や)ける良(よ)い香(かお)りが漂(ただよ)い始(はじ)めた。そして、戌(いぬ)の神(かみ)は鍋(なべ)に汁杓子(しるじゃくし)を突(つ)っ込(こ)んでかき回(まわ)すと肉(にく)を一切(ひときれ)れ取(と)り上(あ)げて自分(じぶん)の口(くち)に放(ほう)り込(こ)み「まだ火(ひ)が通(とお)っておらぬ」と言(い)うと、また鍋(なべ)をかき混(ま)ぜ始(はじ)めた。


その間(あいだ)に狗神(いぬがみ)が山犬(やまいぬ)たちと野犬(やけん)たちを連(つ)れて山(やま)の中(なか)に消(き)えて行(い)き、「肉(にく)が煮(に)えるまで南(みなみ)の山(やま)を見(み)に行(い)こうぞ」と言(い)い出(だ)した琵琶姫(びわひめ)に手(て)を引(ひ)かれた雷蔵(らいぞう)は丘陵(きゅうりょう)の頂上(ちょうじょう)付近(ふきん)まで連(つ)れていかれた。そこからは左手(ひだりて)に朝日(あさひ)に照(て)らされた琵琶湖(びわこ)と琵琶湖(びわこ)西岸(せいがん)の景色(けしき)が見(み)えた。それぞれの家(いえ)から竈(かまど)の煙(けむり)が立(た)ち、手前(てまえ)から田園風景(でんえんふうけい)、その先(さき)に街道(かいどう)沿(ぞ)いの集落(しゅうらく)、さらに湖岸(こがん)の船着(ふなつ)き場(ば)や漁村(ぎょそん)などで人々(ひとびと)が働(はたら)く姿(すがた)が見(み)え、その先(さき)には朝日(あさひ)に輝(かがや)く琵琶湖(びわこ)、そして、逆光(ぎゃっこう)で見(み)えにくくなっている対岸(たいがん)が見(み)えた。

以下2点、確認させてください。


**Q1.** 「おう、沖田であるか雷蔵」の「沖田」の部分。直前の場面で雷蔵が目覚めたばかりであることから

- A. 「起きたか」の誤字と考え「おう、起きたか、雷蔵」に修正

- B. その他のご指定


**Q2.** 「雷蔵の中からはそんな常識は吹き飛んでいた」の「雷蔵の中からは」の部分

- A. 「雷蔵の中ではそんな常識は吹き飛んでいた」に修正(助詞の誤り)

- B. その他のご指定


A/Bでそれぞれお答えください。


なお、以下3点は明確な誤字のため自動修正しました。

- 「気につるされて皮をはがれて」→「木につるされて皮をはがれて」(誤字:気→木)

- 「丸で雷蔵と張り合うかのように」→「まるで雷蔵と張り合うかのように」(誤字:丸で→まるで、既出パターンとの統一)

- 「戌の上は破顔したのだった」→「戌の神は破顔したのだった」(誤字:上→神)

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1,A.2,A,「雷蔵の要る洞穴」→「雷蔵のいる洞穴」、「気につるされて」→「木に吊るされて」、「はらわた」→「腸」、「おびえる」→「怯える」、「肉の焼けるよい香り」→「肉の焼ける良い香り」、「山の中に消えていき」→「山の中に消えて行き」に修正願います。

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修正内容をすべて確定しました。全文にルビを振ります。


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