真野宿
川辺につくと狗神と戌の神が神通力による石板で川に橋をかけるので、一行はその上を通って真野川を渡る。対岸につくと真野川沿いに上流側の丘の山林に入っていく。その頃には日がとっぷりと暮れており、辺りは真っ暗になってほとんど何も見えなくなった。冬の透き通るような夕空は、西の方の朱色から東の方に行くにつれて濃紺に変わり、そこから闇へと次第に変わっていく薄暮の空の情景が描かれる。そんな中、山犬と野犬たちは我先にと南の丘の山林に散開して入っていく。まるで道案内をするかのように先頭を行く2柱の犬の姿の神々の先導に任せて進んでいく一行は丘を登る街道を進んでいくが、山林に入って間もなく、辰の神が「夜目の利かぬ者もおるよってな」と言いつつ、その辺に転がる適当な大きさの枝を拾うとそれに向かって口から火を噴きだした。
驚く雷蔵に対して「何を驚いているのであるか?今更であろうよ!」と笑い飛ばす辰の神だったが、冬の乾燥した山林の中で火を吐くというのは山火事の危険が伴う愚かな行為である。
※ だがしかし、これを行ったのは火も水も自在に操る辰の神だからこそこともなげに行ったのであり、人間の野宿愛好家(キャンパー)は絶対に真似をしてはならない行為である。
松明にしては長すぎる即席の松明を肩に担いだ辰の神はさっそうと2柱の犬の後ろについて歩く。その後ろから、松明に顔を近づけすぎないように気を付けながら雷蔵が歩き、その後ろを子の神が顔や目や鼻や耳をせわしげにヒクつかせながらあたりを伺う。そうして丘の頂上につこうかという頃、数匹の犬が戻ってきて後ろを振り向きながら誘導し始めた。
街道から外れ、丘から下りながら山林に入る。街道から外れると藪が酷いのだが、犬たちが誘導している場所は藪の切れ目になっている獣道だった。4つ足でなければ見つけられないような構造であるため、胸から下は冬でも葉が落ちない低木の茂みになっているが、胸から上は茂みの上にある状態だ。雷蔵は辰の神の松明の火が周りの木々に燃え移らないか心配だったが、そのような心配は杞憂に終わるのだった。
それからしばらく藪漕ぎをしたところで急に開けた場所に出る。1間ほどの高さの崖の側面には、雷蔵なら屈めば入れそうな洞穴があった。その洞穴の両脇に山犬と野犬が1匹ずつ座って『いかがでしょうか?』と言わんばかりの表情だったが、辰の神が松明を中に差し込んで覗き見つつ「ほほう。人の2〜3人は入れそうな奥行きであるな」というと、顎をしゃくって雷蔵を誘ったので雷蔵も洞穴の中を覗き込む。高さはあまりないが、横になるには申し分なさそうだった。
「仕方がないのう。我が温めて進ぜようぞ」と言いながら、狗神が雷蔵の草摺りを咥えて洞窟の中に入ろうとするので、雷蔵は腰砕け状態になりながら洞窟の入り口の上、鴨居に当たる部分にしがみついた。その時、後ろから辰の神が怒鳴りつける「はしたない雌犬であるのう!」、すると、草摺りを咥えるのをやめた狗神が「なにを!」とむきになって吠える。そして、犬たちと一緒に焚き火を作っていた子の神がぼやく「発情期か?」、それに対して「ち、違うわ!」と、狼狽した様子で抗議する狗神であった。
1点、確認させてください。
**Q1.** 「そんなな中」の部分
- A. 「そんな中」の誤字と考え「な」を削除
- B. その他のご指定
なお、以下2点は明確な誤字のため自動修正しました。
- 「丸で道案内をするかのように」→「まるで道案内をするかのように」(誤字:丸で→まるで)
- 「向きになった狗神が吠える」→「むきになった狗神が吠える」(表記:直前の「なにを!」との呼応上、「向き」ではなく感情的になる意の「むきになる」が適切と判断。ひらがな表記に修正)
A/Bでお答えください。
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1.A
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修正を確定しました。全文にルビを振ります。
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