龍王神社
現在の地形と室町時代前期の地形が大きく違うので、かなり違和感があると思います。
妙得龍王神社がある頭山は、当時は完全に湖に浮かぶ島だったようです。
琵琶湖南岸は江戸時代から昭和にかけて埋め立てられて現在の地形になっているところがかなりあるようです。
撫でてもらいたそうな感じで近づいてくる狼に対して狗神がにらみを利かせると、狼たちは「キューン」と悲しげな声を上げて少し離れていくという様子に、ちょっと可哀想だな?と思いながらも、狗神の機嫌を損なうのも良くないと干渉せずに狗神の手触りを堪能しつつしばらく歩くと兵主神社の境内北東の湖岸に着く。さて、どうしたものかと考えていると「如何に我の神通力とて、これほどの距離に橋をかけることは適わぬぞ」と狗神が音を上げた。
すると、水面からずいと巨大な顔を浮かび上がらせて水上に鎌首をもたげた龍が雷蔵達一行を見下ろしながら、「烏に惑わされたか?」と言ってきた。雷蔵が返答内容を考えていると、「如何にも!」と狗神が食い気味に答えた。「あやつめ、我に一言入れればよいものを、と言いたいところであるが、こちらも少々取り込んでおるのだ」と述べた辰神は「早速お味方に助力しよう、我の背中の上を渡るがよい」と言うや、湖面に荷車を通せるほどの舗装された道路が浮き上がってきた。緑色に苔むした石畳のように見えるものは辰神の鱗だった。雷蔵が対応を考える間もなくあれよあれよという間に事が進んでしまったので、彼は「かたじけのうござる」と謝礼を述べて深く一礼するのだった。
辰神の背中を渡り始めると狗神がすり寄ってきて物欲しげに上目遣いで見上げてくるものだから、雷蔵は辰神の背の上を歩きながら狗神の巨大な背中を撫でるという、まるで緊張感のない珍妙な道中となった。一里弱の道のりを一刻弱で一行が渡り切って頭山のふもとに上がると、辰神は「ご用向きあれば北の祠で申されよ」と告げてから姿を消した。雷蔵は、さて、ここからどうするかと考えつつ、この急峻な斜面の山林を抜けて北側の祠に行くのかと思うと、身に着けている武具が恨めしくなるのだった。
すると空から八咫烏が舞い降りてきて、湖岸に近い立木の枝にとまると、「辰殿に頼むのを忘れておったわ」と言いつつ「カアカア」と鳴くので、一声吠えて威嚇した狗神が「貴様!それでも案内人か!」と怒鳴りつけるも「落ち着かれよ、わしは人に非ず」と小賢しい言い訳をしつつ「西岸から北岸に行くこと能わず、東岸より行け、さすれば龍神社に着く」というと山林に戻っていった。そこで、雷蔵達一行は、島の東沿いで砂利の多い海岸を通って島の北側まで行った。半刻ほど藪を漕ぎながら進むと、湖面から突き出た岩をくりぬいて作ったと思しき祠が見えてきた。岩の祠の狭い岩場に到着して振り返ると、狼たちは海岸にはいなかった。ふと山林のほうに目を向けると、その暗がりには対になって光るものが無数に見えた。「あやつらは山林のほうが都合がよい、じゃが、我に山林は狭すぎる」と狗神が説明した。
島の北岸には、まだ人が通れそうな場所が西に続いているので、雷蔵は龍神社を探すべくさらに進んでいくと、少し開けた落石したと思しき岩や石ころが散らかっている場所に出た。その南側には、島山の岩窟があり、この狭い岩戸の向こう側に薄暗い空間があった。西から吹き付ける冷たい風に、思わず岩窟に駆け込む。岩戸から漏れ入ってくる外の光だけが岩窟の中を照らす明かりであるため、中は非常に薄暗くじめじめとしていた。ただし、神社というだけあって人の手が入っており、石ころの上に板が敷かれていて、その上に木造の祠が祭られていた。
祠の手前までズカズカと進んでいった狗神は、そこで横になると尻尾で自分の腹のほうを指しながらタンタンと尻尾で床をたたく。雷蔵は『こちらに来い』という意味であると受け止めて狗神の腹のほうに近づいて胡坐をかいて座ると「何を遠慮しておる、もそっとちこう」と狗神に催促される。『くっついたほうが良いのか?でも、そのほうが暖かそうだ』と思った雷蔵が狗神の懐に入ろうとしたとき、岩戸の向こうから「申す申す、こちらに『雷蔵』殿はおられぬじゃろうか?」という声が聞こえた。
狗神が舌打ちをするのをしり目に雷蔵が振り返ると、岩戸から大蛇が首を岩窟の中に入れていた。「いかにもそれがしが雷蔵でござる」と返答すると、「わが友が其方を探しておるのじゃ」というと首を引っ込めた。それからほどなくして外から雷の轟音がした。そして、この場にはあまりにも異質なパタパタとした軽い足取りの何者かが岩戸に近づいてきて中を覗き込むと、若い女の声が「おお!ここにおったか雷蔵、探したぞ!」と歓声を張り上げるのだった。雷蔵は思った『誰ぞ?』
8/6 辰神と巳神のセリフを調整。辰を「~である」「~のだ」調に、巳を「~のじゃ」「~のじゃが」「~じゃよ」という語尾に統一予定
1点、誤字を自動修正しました。
**自動修正した箇所**
- 「距離に橋をかけることはかなわぬぞ 」→「距離に橋をかけることはかなわぬぞ」(鉤括弧内末尾の余分な空白を削除)
1点、確認させてください。
**Q1.** 「烏に惑わされたか?」「あやつめ、我に一言入れればよいものを」と発言している「辰神」(龍神)ですが、水面から現れたこの存在の一人称・呼称について、この場面より前に確定した表記がありません。ここでは自然に「辰神」と呼んでいますが、これでよいでしょうか?
- A. 「辰神」で確定(読み:たつがみ)
- B. 「龍神」で統一する
- C. その他のご指定
A/B/Cでお答えください。
1.A(初登場キャラクターです)
確定しました。「辰神」として全文にルビを振ります。
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1点、確認させてください。
**Q1.** 「頭山のふもとに上がると」の「頭山」ですが、この地域(御上神社周辺)の地名として初出です。前後の文脈から見て、「三上山」(近江富士)のことを指している可能性がありますか、それとも別の山として問題ないでしょうか?
- A. 「頭山」で確定(三上山とは別の山)
- B. 「三上山」の誤字・言い換えとして修正する
A/Bでお答えください。
なお、以下2点の誤字は自動修正しました。
- 「なくので」→「鳴くので」(誤字)
- 「東岸より池」→「東岸より行き」(誤字と推測。文脈上「池」では意味が通らず、直前の「西岸から北岸に行くこと能わず」に対応する形で「行き」が適切と判断)
1.A この時点では、近江富士から10キロほど北に来ています。
「東岸より池」→「東岸より行け」
了解しました。確定します。
**確定事項**
- 「頭山」→そのまま確定(三上山とは別の山、地理的にも近江富士から北へ約10km)
- 「東岸より池」→「東岸より行け」
全文にルビを振ります。
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1点、確認させてください。
**Q1.** 「島山の岩窟があり」の「島山」ですが、直前の文脈は「島の北岸」「岩や石ころが散らかっている場所」であり、初出の地名として唐突です。
- A. 「小山」の誤字と考え「小山の岩窟」に修正
- B. 「島山」で確定(島全体を指す地名として活かす)
- C. その他のご指定
A/B/Cでお答えください。
なお、以下の誤字は自動修正しました。
- 「受け止めて」→「受け止めて」の前、「という意味である受け止めて」→「という意味であると受け止めて」(誤字:「ある」の後に「と」が脱字)
- 「覗きんだ若い女が」→「覗き込んだ若い女が」(誤字)
- 「岩窟の中を照らす明かりであるため」以下は問題なし
- 「「雷蔵」どのはおられぬか」の鉤括弧の入れ子表記はそのまま活かす
1.B(妙得龍王神社がある「頭山」は当時湖に浮かぶ島で、なだらかな陸地ではなく急斜面の山のような島ということを表現するため)
「こちらに『雷蔵』殿はおられぬか」”「」”を”『』”に変えるのを忘れてた
了解しました。確定します。
**確定事項**
- 「島山」→そのまま確定(頭山が急斜面の島であることを表す表現として)
- 「こちらに「雷蔵」どのはおられぬか」→「こちらに『雷蔵』殿はおられぬか」(鉤括弧の入れ子修正、および「どの」→「殿」)
全文にルビを振ります。
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