表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/30

検断不入

※1.|検断不入《けんだんにゅう/けんだんふにゅう》とは、日本中世(にほんちゅうせい)において、荘園(しょうえん)寺社(じしゃ)などが外部(がいぶ)警察(けいさつ)司法権力(しほうけんりょく)検断権(けんだんけん))の介入(かいにゅう)拒絶(きょぜつ)できた特権(とっけん)()します。これにより、所領(しょりょう)境内(けいだい)(はい)()むことを(きん)じられた権力者(けんりょくしゃ)は、独自(どくじ)犯罪者(はんざいしゃ)捜索(そうさく)逮捕(たいほ)(おこな)うことができませんでした。 (Wikipedia)

※2.宮司(ぐうじ)神社(じんじゃ)最高位職(さいこういしょく)で、当時(とうじ)宮司(ぐうじ)大体(だいたい)境内(けいだい)()んでいたらしい。

※3.出仕(しゅっし)最下級職(さいかきゅうしょく)で、臨時職員(りんじしょくいん)神職見習(しんしょくみなら)いのことらしい。

雷蔵(らいぞう)客間(きゃくま)朝餉(あさげ)をいただき、食後(しょくご)(ちゃ)をいただいた(あと)鎧具足(よろいぐそく)着付(きつ)けを手伝(てつだ)ってもらっている最中(さいちゅう)訪問者(ほうもんしゃ)()た。訪問者(ほうもんしゃ)勝部(かちべ)守備隊(しゅびたい)警邏隊(けいらたい)指揮(しき)している美濃国(みののくに)松原弥助(まつばらやすけ)名乗(なの)った。(かれ)慇懃無礼(いんぎんぶれい)態度(たいど)落人(おちうど)敷地内(しきちない)(かく)れていないか家探(いえさが)しさせてほしい(むね)()べてきたが、神職(しんしょく)当然(とうぜん)のように御上神社(みかみじんじゃ)(あた)えられている「検断不入権(けんだんふにゅうけん)」を主張(しゅちょう)して(ことわ)ると、弥助(やすけ)太刀(たち)(つか)()をかけ、鯉口(こいぐち)から太刀(たち)()(すこ)しだけ()せて(おど)しかけてきた。自分(じぶん)のことを(おど)すということは、この神社(じんじゃ)祭神(さいじん)(おど)すことと同義(どうぎ)であるとすごむ神職(しんしょく)だが、どういうわけか弥助(やすけ)()かない。弥助(やすけ)()()いで()た2(にん)()(びと)(あるじ)(なら)って、太刀(たち)()かないものの、(つか)()()いて(かたな)()仕草(しぐさ)をして(おど)すのだった。


(おもて)でのやり()りは障子越(しょうじご)しで雷蔵(らいぞう)()こえていたので、(かれ)一宿一飯(いっしゅくいっぱん)(おん)がある(もの)たちに迷惑(めいわく)をかけてしまったかと(おも)ったが、出仕(しゅっし)(おぼ)しき(わか)(おとこ)が「お武家様(ぶけさま)、お()になさらないでくださいませ。あの弥助(やすけ)とかいう(おとこ)昨日(きのう)からしつこくあのような(もう)()をしておりまして、宮司(ぐうじ)もほとほと(こま)()てているところでございます」とのことだった。「この(あたり)(なに)かあったのか?」とその若者(わかもの)雷蔵(らいぞう)()うと、(かれ)怪訝(けげん)表情(ひょうじょう)で「3(にち)ほど(まえ)(みやこ)(らん)がおきまして、その()のうちに(おさ)まったのですが、(いま)だに落人狩(おちうどがり)りが(つづ)いているのでございます」と(こた)えるのだった。「戦働(いくさばたら)きで手柄(てがら)()げようと()()けたら(いくさ)()わっていた(ゆえ)()ぶらで(くに)(かえ)るわけにもいかずに、せめて落人(おちうど)(くび)でも()ろうというのか」と雷蔵(らいぞう)(ひと)()ちると、その若者(わかもの)は「宮司(ぐうじ)もそのように(おお)せでありました」と肯定(こうてい)するのだった。見習(みなら)いの若者(わかもの)が「お武家様(ぶけさま)は、()(もの)(あきら)めるまでここにお(とど)まりくださいませ」と()ってきたが、「気遣(きづか)無用(むよう)」と一言(ひとこと)(ことわ)ると、雷蔵(らいぞう)玄関(げんかん)から()ていくのだった。


雷蔵(らいぞう)建物(たてもの)から()てくると、弥助(やすけ)部下(ぶか)たちは(おも)わず太刀(たち)()きそうになったが、(すん)でのところで(おも)いとどまった。「ほぅ、太刀(たち)()をかけておきながら、神仏(しんぶつ)(たた)りは(おそ)れるというのか?」と(かれ)らの行動(こうどう)矛盾(むじゅん)指摘(してき)した雷蔵(らいぞう)(つづ)けて「(それがし)()げも(かく)れもせぬ、だが、大人(おとな)しく(くび)をやるわけにもいかぬ。ここは聖域(せいいき)でござる、刃傷沙汰(にんじょうざた)での(けが)れはご法度(はっと)荒事(あらごと)をご所望(しょもう)とあらば(おもて)()よ」と()げると、弥助(やすけ)は「おう、おとなしく(なわ)()くというのであればその(ほう)(くび)()ねぬでもない」とどもりがちに(かえ)してきた。「虜囚(りょしゅう)(はずかし)めを()けるなど武士(ぶし)(はじ)、そのような(もう)()()けるのはその(ほう)のような野盗(やとう)()がりの俗人(ぞくじん)くらいの(もの)よ」と挑発(ちょうはつ)した。弥助(やすけ)(かお)()()にして怒気(どき)(はな)っていたが、さすがに境内(けいだい)刃傷沙汰(にんじょうざた)するほど理性(りせい)(うしな)ったわけでもなく、「少々(しょうしょう)大柄(おおがら)だからと()って調子(ちょうし)()っていられるのも(いま)のうちだけよ、(そと)には()手勢(てぜい)100余名(よめい)()(もう)けておる、()いて後悔(こうかい)しても(あと)(まつ)りと()れ!」と()()てると通用口(つうようぐち)(つう)ずる(みち)から()(かえ)していった。


宮司(ぐうじ)が「数日(すうじつ)ほどお(とど)まりになれば、あのようなモノどもと()わらずに()みましたものを」とボヤくが、「(それがし)もそれほどゆるりとするわけにもいかなんだ。これで()()にするようならそれまでのことよ」と(さと)ったようなことを()うと、宮司(ぐうじ)苦笑(にがわら)いしながら「お武家様(ぶけさま)には神々(かみがみ)のご加護(かご)がついてございます。ご武運(ぶうん)を」と()ってから敬礼(けいれい)すると、見送(みおく)りに()出仕(しゅっし)巫女(みこ)たちも(あるじ)(なら)って一礼(いちれい)するので、雷蔵(らいぞう)(かれ)らに一礼(いちれい)(かえ)すと(きびす)(かえ)し、通用門(つうようもん)()かうのであった。

以下1点について判断が分かれるため、選択肢を提示します。

**Q1.** 「弥助の付き添いで来た2人の付き人もある時に見習って」の「ある時に見習って」の部分

- A. 「主に倣って《あるじにならって》」に修正(弥助を真似て、という意味)

- B. 「彼に倣って《かれにならって》」に修正

- C. 原文のまま「ある時に見習って」を活かす

A/B/Cでお答えください。

なお、以下2点は明確な誤字のため自動修正しました。

- 「出仕と思しきの若い男」→「出仕と思しき若い男」(助詞「の」の衍字)

- 「彼の物が諦めるまで」→「彼の者が諦めるまで」(誤字:物→者)

    1.A

修正内容を確定しました。全文にルビを振ります。

---

~~~

以下の誤字・表記ゆれを自動修正しました。

**自動修正した箇所**

- 「野党上がり」→「野盗上がり」(誤字:政党の「野党」ではなく、盗賊の意の「野盗」)

- 「出資や巫女たち」→「出仕や巫女たち」(誤字:投資の「出資」ではなく、前出の「出仕」と同義)

- 「ある時に倣って」→「主に倣って」(前回確定した表記に統一)

---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ