一汁一泊《いちじゅういっぱく》
鳥居をくぐり、昼過ぎだというのに今なお暗い森の中の参道を通って楼門を抜けて拝殿の前に出ると、そこだけ日の光が当たって明るい。雷蔵は、とりあえず、ここに祭られている神に挨拶をしようと拝殿で参拝してから人の気配に気づき、左側を見ると神職の男が立っており、雷蔵と目が合った彼は雷蔵に向かって一礼した。神職の一礼に対して雷蔵も彼に向きなおって一礼を返すと、神職は「神使様の前触れによりお待ち申しておりました」と告げてきたので「ヤタ殿にお会いされたか」と雷蔵が問うと「いえ、お名前は存じませぬが、私めも八咫烏様を御見かけするのは生まれて初めてでございます。」と答えてから「お食事の用意が整ってございます。どうぞこちらへ」と言って拝殿の西にある神職の宿所らしき建物を指し示した。「たまには人の子らの物を食べると良かろう」という言葉が左上の木陰から聞こえてきたが、気のせいだと思うことにした雷蔵だった。
神職が見習いや巫女たちに指示を出して作らせた神饌は一汁一菜と強飯で、何かの出汁で作られたみそ汁と葉物のお浸しが添えられた干物の魚を焙ったものだった。人の手作りのものを久しぶりに食べたような気もするが、それだと琵琶姫の料理は人の物ではなかったと感じていたことになる、それについては考えても仕方がないと割り切り、懐かしく感じる食事をいただいた雷蔵だった。食事が済むと、膳が下げられ茶を出された。そして、神職が神妙な面持ちで雷蔵に問うてきた。「八咫烏様からは如何様なお告げを賜ったのか、お聞きしてもよろしゅうございましょうか」「伏見の狐を討伐するよう仰せつかった」と雷蔵が答えると、神職は驚愕の表情を見せた後、表情を曇らせた。「それはまた」と述べてしばし絶句してから「難儀なことを仰せつかりましたな」と、そう神妙な面持ちで神職は同情するように述べるのだった。
|つい最近、明徳の乱があったばかりであり、京都だけでなく、その周辺地域も不穏な空気で満たされている中、乱の主戦場だった地域に比較的近い伏見で騒動を起こそうなどと言う、かなり無茶な使命を与えられたことに、その苦労は察するに余りある。とはいえ、神職はこの話が神々の思惑であると納得できる点があった。乱の後で、まだ1月初めの真冬時だというのに大雨が降るという変事が起こったからだ。「お武家様は大変お疲れの様子。今宵は湯あみなどをしてからお休みになってくださいませ」と言うと、神職はひれ伏して一礼してから客間を出たのだった。
数点、誤字・時代考証上の確認が必要な箇所がありました。以下、選択肢の形式でご確認ください。
**Q1.** 見出し「一汁一泊」について
- A. 「一汁一菜」(簡素な食事の意)の誤字として修正
- B. 「一汁一泊」のまま活かす(食事と宿泊を掛けた造語として)
- C. その他(ご指定ください)
**Q2.** 「私めも足が八咫烏様を御見かけするのは生まれて初めてでございます」の「足が」の部分
- A. 「足が」を削除し「私めも八咫烏様を御見かけするのは生まれて初めてでございます」に修正
- B. 「私めもまた」の誤字として「私めもまた八咫烏様を~」に修正
- C. その他(ご指定ください)
**Q3.** 「指示した」の表記
- A. 「指し示した」に修正(送り仮名を補い、ルビ無しの通常表記に)
- B. 「指示した」のまま活かし、ルビは「しじ」に修正
- C. その他(ご指定ください)
**Q4.** 「敬礼した」「敬礼を返す」の表現(室町時代設定における時代考証)
- A. 「一礼した」「一礼を返す」に変更(当時の礼儀作法として自然)
- B. 「会釈した」「会釈を返す」に変更
- C. 「敬礼」のまま活かす(現代的表現だが許容する)
1.B,2.A,3.A,4.A
以下、確定いただいた内容で修正・ルビ振りを行いました。
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修正すべき誤字・表記ゆれは見当たりませんでした。全文にルビを振ります。
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ここは表記の統一について1点、確認させてください。
**Q1.** 「大変な使命を賜ったことを察するにはあまりある」の一文について
- A. 「その苦労は察するにあまりある」の意で、前半「大変な使命を賜ったことに、」との重複を解消し「かなり無茶な使命を与えられたことに、神職は同情の色を隠せなかった」のような形に整える(大幅な書き換え)
- B. 文の構造はそのまま活かし、「大変な使命を賜ったことを察するにはあまりある」→「その苦労は察するに余りある」に修正(最小限の訂正)
- C. 原文のまま特に手を加えず、ルビのみ振る
A/B/Cでお答えください。
1、B
修正内容を確定しました。
**確定した修正**
「大変な使命を賜ったことを察するにはあまりある」→「その苦労は察するに余りある」
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