琵琶姫の正体
雷蔵と目があってしまった琵琶姫はわざとらしい恥じらいの仕草をしてみせると、目を泳がせて雷蔵と目線を合わせないようにしながら「流石は妾の雷蔵じゃ、見事な戦いぶりに惚れ惚れとしてしもうた」と何かをごまかそうとするかのように嘯いた。実際のところ、雷蔵は白狐たちに意識を集中していたために琵琶姫が藪の影から見守っていたことに気づかなかったが、雷神と白狐たちは琵琶姫がこっそりと様子を窺うどころか、どこから持ち出したのか両手に扇子1面ずつ持って雷蔵を応援していたのだ。「お見事」だの「惜しや」だの、今風に言うならば男性アイドルの追っかけよろしく、大はしゃぎだったのである。気づかぬは当人ばかりなり、というところで、雷蔵が気づいていないのを良いことに彼女が一人で盛り上がっていたため、先程まで怒り心頭だった雷神も急激に冷めていくのであった。
右手に持っていた扇子をポイと投げ捨てた琵琶姫は、左手に持っていた扇子で口元を隠すとおずおずと雷蔵のもとに進み出、上目遣いで「妾は邪魔をしたであろうか?」と問うてくるが、女性がこういうことを言うときは大体「そんなことはない」と言ってもらいたいときなのでそのように答えるのが無難である、だが、そんなことに無頓着な雷蔵は「アレらはとても危うござる・・・」と言いかけてその先を言い淀む。彼は内心こう思った、『琵琶殿もヤタ殿と同じような有り様のものであるならば、某よりも強いのではないか?』と。すると、まるで雷蔵の心の中の声が聞こえたかのように雷神が発言しかけた「龍神さ」「ん゛ん゛ーっ!」。雷神の言葉を遮るように琵琶姫がわざとらしく咳払いを差し挟むと、雷神は一瞬ビクッとしながらも「琵琶さ」「ん゛ん゛ーっ!」・・・。ここまで来てようやく何かを察した雷神は「び・・・琵琶姫殿はなにかお考えがあってお越しなのであろうや?」とやけに丁寧に彼女に話しかけた。傍から見れば茶番のようなことに満足した琵琶姫は、ようやく雷神に対して険のある眼差しを向けるのをやめた。
白狐たちはなぜ龍神が蹴鞠のような体に女人のような衣装と髪型をしているのか解せなかったが、本人は抑えているつもりの神威と霊圧をひしひしと感じていたので、迂闊に手を出すべきではないと判断していた。只人にしてはやけに強い人間の武者だけならまだしも、そこに風神雷神の加勢は、雷蔵が霧の結界に侵入してきたときの骸兵との戦いを察知していたために対策済みだった、だが、龍神は想定外であり、明らかに役者が上である。白狐たちは念話で会議をした。議題は霧の結界の中に逃げ込んで持久戦をするか、撤退して主君である稲荷大権現に報告するかだった。ところが、その中で雷蔵に一撃をかすめられた白狐だけは「武者の首だけは取るべし」と唱え続けていた。只人ごときに自慢の白毛を焦がされたのだ、せっかく稲荷に妖狐から白狐に昇格してもらったのに、これでは彼の面目が立たないということから、2柱の神々の気をそらしている間に山名の落人の首だけでも捕ろうと強く主張したのだった。そんな中、雷神が「儂の役目は終わったようじゃ」と言うと雷蔵の大袖をポンポンと軽く小突いてから姿を消して神界に帰っていった。
かの白狐はこれを千載一遇の好機と唱えたが、他の白狐たちは雷神でさえ欺けなかった幻術を雷神よりも上位神である龍神が見破れぬ訳はなかろう、ということで、その作戦会議は紛糾した。業を煮やした雷蔵に毛を焦がされた白狐は、琵琶姫の方に向き直って敵である自分たちに背を向けていた雷蔵の首を刎ねようと風法術を使って神速で駆け寄って行くのだった。雷蔵の背後から迫ってくる白狐に気づいた琵琶姫の背中からはその背中と同じくらいの大きさの龍の首が逆さまの状態で出てきたが、首の長さ7尺ほどまで出てくるとぐるりと首をもたげ、神速で駆け寄ってくる白狐と、その後ろに固まって様子見をしている白狐たちに向かってその巨大な顎をぱくりと開いた。かくして、雷蔵の首を取ろうとした白狐は彼の首まで残り半間というところでそれを成し遂げることができなくなった。それは、大きく開かれた龍の顎の間から吹き出した土石流によって押しつぶされ、粉砕され、引きちぎられながら野洲川のはるか下流の方まで流されたからだった。もちろん、他の8匹の白狐たちもその土石流に巻き込まれてすり潰された。彼らの肉体が粉砕されると同時に黒い靄のような霊気が土石流の流れの中から立ち上がりながら伏見の方に向かって漂っていくのだった。
本文を確認しました。ルビ振りの前に、1点確認させてください。
## 校正確認事項
**「扇子1面ずつ」の助数詞**
→ 扇子の助数詞は一般的に「本」または「面」のどちらも使われますが、当作品内での統一を確認させてください。
- A. 「扇子1面ずつ」のまま採用する(雅な言い回しとして)
- B. 「扇子1本ずつ」に修正する(一般的な助数詞として)
なお、「今風に言うならば男性アイドルの追っかけよろしく」の部分は、地の文における意図的な現代的比喩表現(先の「現代人の感想ならば」と同様の手法)と判断し、時代考証の対象外としてそのまま採用いたします。
ご指示いただき次第、ルビ振り済みの本文を出力いたします。
A.扇子を開いた状態なので「面」で表記しました。
ご説明ありがとうございます。承知しました。「扇子1面」のまま採用いたします。
---
**ルビ振り済み本文**
---
ご確認をお願いいたします。他に修正箇所がございましたらお知らせください。
〜〜〜
本文を確認しました。今回は誤字や表記ゆれ、時代考証上の問題は見当たりませんでしたので、そのままルビ振りを行いました。
---
**ルビ振り済み本文**
---
なお、1点確認させてください。
「危のうござる」の部分ですが、「危し(あやうし)」のウ音便形として「危う」とルビを振りましたが、この読みで問題ないでしょうか。地域や語感によっては「あやう」と読ませる書き方もございますので、念のためご確認をお願いいたします。
- A. 「危う」のままとする
- B. 「危う」に修正する
危のう《あぶのう》というのは現代でも間違っているかな?時代考証的に引っかかる?
「危のう」(あぶのう)自体は、現代語としては誤りではありません。「危ない」の連用形「危なく」がウ音便化したもので、「危のうございます」という言い方は今でも聞かれる、やや古風ながら正しい丁寧表現です。
ただし、時代考証の観点では引っかかります。「危ない(あぶない)」という語形は、中世(室町期)にはまだ一般的でなく、当時の標準的な形は「危し(あやうし)」「危ふし(あやふし)」でした。「あぶない」が口語として広く定着するのは近世(江戸期)以降と見られます。
したがって、室町前期の武士の台詞としては、
- **「危うござる」**(「危し」のウ音便形)
の方が時代背景に即した表現ということになります。先にお示しした「危う」のルビは、まさにこの古語形に基づいたものでした。
ご確認の上、このまま「危うござる」で確定してよろしいでしょうか。それとも「危う」(音便を伴わない形)等、別の形をご希望でしょうか。
OK
「危うござる」で確定いたしました。
先ほどお送りしたルビ振り済み本文はこのままで問題ございません。他に確認・修正したい箇所や、次のシーンの本文がございましたら、お知らせください。
〜〜〜
本文を確認しました。ルビ振りの前に、誤字と思われる箇所が数点ございますので、ご確認をお願いいたします。
## 校正確認事項
**①「撤退いて主君である稲荷大権現に報告するか」**
→ 「撤退して」の誤字と思われます。
- A. 「撤退して」に修正する
- B. 「撤退いて」のまま残す
**②「妖孤から白狐に昇格してもらった」**
→ 「妖狐」の誤字(孤→狐)と思われます。
- A. 「妖狐」に修正する
- B. 「妖孤」のまま残す(意図的な当て字として)
**③「明らかに荷が勝っている」**
→ 「荷が勝つ」という表現は一般的に「役不足」「力量不足」の意味で使われますが、通常は「荷が重い」または「役者が上」等の言い回しが自然です。文脈上(龍神が想定外に強い、という意味)はこのままでも意味は通ります。
- A. 「明らかに荷が勝っている」のまま残す(誤りではなく慣用表現として)
- B. 「明らかに役者が上である」等に修正する
上記についてご指示いただければ、ルビ振り済みの本文を出力いたします。
ubuntuのMOZC環境だとMS-IMEだと変換できるものが変換できず、ラップトップの小さな画面と、何故かキー入力がランダムに入力を受け付けなくなったりチャタリングしたりで変な誤変換や誤字脱字が多いかもしれない。
1.A,2.A,3.B「上は《うえ》より《うわ》の方が時代考証的に良い?
ご説明ありがとうございます。IME環境による入力の癖、承知いたしました。今後もそのような誤変換・誤字脱字は校正確認の対象としてチェックいたします。
## ご質問について
「役者が上」の読みですが、これは時代考証というよりも、単純に日本語の読み方の問題になります。
「上」を単独の名詞として使う場合の読みは「**うえ**」が正しく、「うわ」という読みは「上手」「上着」のように、**他の語と結びついた複合語**でのみ使われる読み方です。「役者が上」のように単独で使う場合は「うえ」となります。
なお、この言い回しは本来「役者が一枚上手」(相手より一枚上の力量・策略を持っている、の意)という形が最も一般的です。もしよろしければ、以下のいずれかをお選びください。
- A. 「役者が上」のまま短縮形で使う
- B. 「役者が一枚上手」という完全な形に修正する
A
ご確認ありがとうございます。以下の内容で確定し、処理いたしました。
**確定した修正内容**
1. 「撤退いて」→「撤退して」
2. 「妖孤」→「妖狐」
3. 「明らかに荷が勝っている」→「明らかに役者が上である」
---
**ルビ振り済み本文**
---
ご確認をお願いいたします。他に修正箇所がございましたらお知らせください。
〜〜〜
本文を確認しました。ルビ振りの前に、確認事項が2点ございます。
## 校正確認事項
**①「雷蔵の首を撮ろうとした白狐」**
→ 文脈上(首を刎ねようとした、の意)、「取ろう」の誤変換と思われます。
- A. 「取ろうとした」に修正する
- B. 「撮ろうとした」のまま残す
**②「野須川のはるか下流の方まで流された」**
→ 以前のご相談内容(片山神社から伏見稲荷への道、琵琶湖南岸のご研究等)と関連する河川かと思われますが、「野須川」という川名について確認させてください。
- A. 架空の川名として「野須川」のまま使用する
- B. 実在する河川名(瀬田川など)への変更を検討する
- C. 誤字(例:「野洲川」など、実在する滋賀県の河川名)である
ご指示いただければ、ルビ振り済みの本文を出力いたします。
1.A,2.C
ご指示ありがとうございます。以下の内容で確定し、処理いたしました。
**確定した修正内容**
1. 「雷蔵の首を撮ろうとした」→「雷蔵の首を取ろうとした」
2. 「野須川」→「野洲川」(実在する滋賀県の河川名に修正)
---
**ルビ振り済み本文**
---
ご確認をお願いいたします。他に修正箇所がございましたらお知らせください。




