彼女の名は?
やっと、人に合えたけど・・・
どうにかこうにか彼女を一先ず、焚火をしていたところまで連れてくることが出来た。
焚火の近くに座らせて、何がとは言わないが、乾かせるように様にして何か知っていることが無いか聞こうとした。
「ねぇ、君はどこら辺に住んでいたんだい?」
「・・・・・・」
「親とか、一緒じゃないのかい?」
「・・・・・っ!?」
彼女を見るとまた泣き出してしまったので、大慌てで焚火の傍に置いておいた鍋からコーンスープをコップに注ぎ、コップを持たせて、少し離れた処に座る。
「ご、ごめん。辛いことを聞いてしまったみたいだね。ほら、これでも飲んで、落ち着いて・・・」
しばらくして、彼女は、コップから立ち上るスープの匂いにつられたのか、少しづつ飲み始めるが、久しぶりの味のある飲み物のためか、勢いよく飲もうとしていた。
「慌てないで、ゆっくり飲むんだよ。まだ熱いし、胃がびっくりしちゃうからね。」
私の声に反応したのか、ゆっくりと飲むようになったので、しばらく様子を見る事にした。
飲んでいた彼女が、コップを両手に持つようにしながら、視線は、鍋の方を見ている。
「お腹が痛いとか、吐き気がするようなことない?」
彼女は、ゆっくりと首を振る。
私は、鍋を持ち、ゆっくり彼女に近づき、手からコップを受け取る。
コップに注ぎ、彼女に手渡す。
「まだ、ゆっくり飲むんだよ。急いで飲んだら、おかわりないからね。」
飲もうとしていた彼女は、気持ちゆっくりと飲みながら、こちらをちらちらと見てくる。
私は、何も言わず、自分用に珈琲を入れて、ゆっくり冷ましながら飲む。
「それじゃぁ、改めて、君は、どこら辺に住んでいたんだい?どうやって、この辺に来たんだい?」
「・・・・・っ、わ、私は・・・・」
「ゆっくりでいいからね。」
彼女から聞き出せた話を纏めると、彼女は、隣の県に住んでいたみたいだが、魔物から逃げ回っているうちにこの辺まで来たようだった。
話を聞いているうちに、彼女の体が、ゆっくりと傾き始めて倒れそうになったので、抱きかかえてみると、スヤスヤと寝息を立てて、眠りに入ってしまった。
頬も大分やつれているし、髪の毛もぼさぼさで、服装も泥や葉っぱの汁やらで汚れているし、大変失礼だが匂いも・・・・安心して寝れる場所も無かったろうし・・・
今後どうしようか・・・保護するのはいいけど、中学生ぐらいの女の子と生活なんてしたこと無いし・・・人に合えた嬉しさよりも食事や保護した後の事を全然考えていなかったよ・・・
しょうがない、今は自宅に連れて行って休ませるか・・・・・布団で寝かせて、お風呂に入って、ご飯を食べていけば、体の方も心の方も安定するかも・・・・
焚火を消して、使った食器類を収納に入れて、まだ眠っている女の子を抱き上げて、家に向かって歩き出す。
やっぱ軽いな~以前よりもスタータスが伸びたおかげで、人ひとり抱き上げても重さが苦にならない。
栄養面的にも異変後ご飯なんて食べられなかっただろうし・・・
はぁ、木の葉っぱについた露やそこら辺の雑草を無理やりかじって空腹紛らわせていたなんて・・・
自分は、自宅は残っていたし(周りは壊滅していたけど)、道具類も食料品もある程度残っていたから大丈夫だったけど、この森林に飲まれたところに住んでいた人たちは、相当苦労しそうだね。
他人事の様に思ってしまうけど、自分も気を付けないと・・・
畑や水場の確保をしっかりしていかないと・・・・彼女にも手伝って貰わないとね・・・
私も野菜育てたりしたこと無いから手探りでやっていくしかないけど、人が増えたら増えたで、食事や寝る場所の確保もして、食材や調味料なんかも安定して増やしていかないと全滅しかねないからね
そんなことを考えながら、帰り道は、両手が塞がっていたので、魔物を回避して遠回りしたり、魔法の練習にゴブリンや角ウサギを狩ってみたりしながら進み、3~4時間かけて家についた。
取り合えず、脱衣所にしている処に彼女を寝かせて、板の場だけどちょっと我慢してね。テントからマットと寝袋、タオル類を取りに行く。
マットの上に寝かして、寝袋を開いて布団状態にして、タオルで枕がわりにしてと・・・お風呂の準備もしておくか。
やっと魔法でお湯張りも少しは出来る様になったし(薪風呂は大変だったからね・・・時間かかるし、煙いし、水運び大変だし)
ちらっと脱衣所を見てみるが、結構な時間たったけど、まだ寝てるか・・・・
脱衣所のところも暗いから明かりを持ってこないと・・・・これも魔法で出来ないかね?・・・・小説や漫画なんかだと魔法の『ライト』で明かり作れていたけど・・・・・
冒険心で唱えてみると小さな明かりが出て、すぐに消えてしまった・・・・
おぉぉ、出来るじゃん私!もう一度試して見たけど、長く光らない・・・・試行錯誤しながら『ライト』を試していると、脱衣所の方から物音が聞こえてきた。
『ライト』を付けながら脱衣所に戻ると、寝袋でガードしながら怯える彼女が壁際まで下がっていった・・・・
彼女と距離を取りながら、あの後の事を説明していった。
やっと誤解が解けた。結構時間がかかった。
「お風呂に入ってきなよ。さっぱりするから・・・・」
「・・・・」
彼女は、「お風呂」という私の声に反応するが、私を赤くなったり、青ざめたりしながら見ていた・・・
「外で、ご飯作ってるから、ゆっくり入りな。」
私は、そう声を掛けて外に出ていく。
さて、ご飯はどうしようかね。まだ、胃腸がびっくりするだろうから、汁物でいくしかないよね。
大根をすりおろして、大根汁にして、お粥でもつくるか・・・・残り少ない米を使って、お粥づくりに必死になっていると、脱衣所の方から声が聞こえた気がした。
振り返ってみると、入り口から顔を出した彼女がこちらを見ていた。
「・・・・・・」
近寄ってみると、お風呂で温まった以上に顔を赤くさせて
「・・・・・・着替えが欲しい・・・・・・」
それだけ言うと、又、脱衣所の戸が閉まった。
「?」
一瞬なんのことかと思ったが、彼女は、着ていた服も一緒に洗ったみたいで・・・・・
家の方に戻り、Tシャツとズボンを持っていく。
「私の服しかないけど、入り口に置いておくから」
そう、声をかけると、入り口から手が伸びてきて、服を掴むとまた入り口が閉まった。
状況は、聞けたけど・・・
まだ、名前は聞けてない・・・




