サイドB ある少女の記憶
主人公以外の視点から描いた始まりの日から出会いまで
その日、私は、母親と小さな事で、口喧嘩になってしまい、親友の家に家出をした。
スマホだけを持って、家から衝動的に飛び出し、さまよい歩いたあと、どうしようかと悩み、親友に電話した。
「母親と喧嘩しちゃって・・・どうしよう・・・」
「だったら一晩ぐらいならうちに泊まりなよ」
学校で一番の親友とも呼べる友達が言ったので、彼女の家に行く。
親友とその母親は、暖かく家に招きいれてくて、私は、親友の部屋で、愚痴を零して、そのあと、取り留めとない話をしながら、過ごしていた。
友人の母親から「今日は、うちに泊まるって連絡したから、お風呂に入ってもう寝なさい」と言われてしまった。
その後、二人で、お風呂にはいったり、おしゃべりしていて、寝に着いたのは、深夜だった。明日は、日曜なので、泊まらせてもらうことにした。
親友とは、何度も泊まりにいったり、来たりしていたので、私の着替えも置いてあった。
次の日の朝、親友の母親に優しく起こされ、朝食を食べ、親友とゲームで遊んだり、勉強したりして夜になった。さすがに頭も冷え、さあ帰ろうと思い、親友宅を出て、家に向かうがやっぱり気まずくなり、街をぶらぶらと彷徨う。コンビニで何か買おうと思い入るが、財布を持っていないことに気づいて、何も買えずに出て来た。
それから、また、ぶらぶらと街を彷徨い、スマホを見ては、閉じてを繰り返し、歩き続け公園にたどり着いた。公園に水飲み場があったので、そこで喉を潤し、ベンチに座り、どうやって家に帰ろうかと悩んでいた・・・・すっかり夜も更けて、酔っぱらいのサラリーマンや楽しそうにはしゃいでいる大学生みたいな青年たちが通り過ぎていったが、私に気づきもせずに家路に帰って行った。
偶に酔っぱらいのおじさんが、声を掛けてきたが、怪しい雰囲気だったので、逃げ回って、又違う公園にたどり着いた。スマホの時計を見ると夜の10時過ぎ。そろそろ母親も寝ている時間だろうと思い、帰ろうと思ったが、自分がどこまで彷徨ったのか分からなくなり、慌ててスマホの地図アプリを開く。家まで1時間ぐらいで帰れるところまで、歩いてしまった。とぼとぼと幹線道路脇の道を歩いていたが、酔っぱらいにホテルに連れ込まれそうになったりしたので、又、逃げ回り家の近くに着いた頃には、0時になろうとしていた。
家が見えて来た時、足元が揺れる感じがして、立ち止まると、揺れが激しくなり、周りの家の塀や瓦が落ちる音が聞こえてくる。周りの家の電気も付き始め、人が家から飛び出してくるところもあった。
早く家に帰りたいと思いながらも、通りに出て来た人や通行人が邪魔になり、家に中々たどり着けない。
やっと家の近くにたどり着いた時、足元から木が生えてきた。後ずさっていると、道のあちこちや住宅の敷地や、家から木が急に生えてきた。生えてくる木を避けながら自宅の門にたどり着くが、家のあちこちから木や枝が突き破ってきて、中に入れそうもない・・・・玄関まであと少し・・・玄関が開き、寝間着姿の母親が、出ようとしているところに足元から木が生えてきて、母親を巻き込んで、すぐに姿が見えなくなってしまった・・・・
呆然としていると、木はぐんぐん伸びていき20mを超える大木があちこちに出来ている。
家は、崩壊していて、瓦礫も巻き込んで、木は大木になっている。ご近所さんの家もすでに大木に飲まれ原型を留めていない・・・・地震で飛び出してきた人も下から生えてくる木に飲まれ、悲鳴を上げながら消えていった・・・・
プロパンガスに引火した火も木に飲まれ、すぐに消火されている。あちこちで爆発音もして、一瞬明るくなるが、すぐに消えていった・・・・
何が起きたのか理解できない・・・・目の前で、母親が・・・・その事実に、気づくと、涙が止まらない。号泣し、その場にしゃがみ込み泣いているしかできない自分がいる。
腕を引かれ、強引に立ち上がらせてきたのは、家庭教師をしてくれいる近所の大学生のお兄さんだった。
お兄さんは、険しい顔をしながら私の腕をつかみ、走り出す。私も引っ張られるままに走り出し、大通りに出る。そこもあちこちから悲鳴と轟音が響き渡り、木が大木に成長している。
足元から生えてくる木を避けながら、手を引かれ、避難場所に指定されている私の中学校に向けて、走り出す。中学校の校庭には、何とか逃げてきた人が、数十人いたが、校庭の周りも校舎も木が生え始め、大木に成長していた。まだ木の生えていない広場になった場所に人々が集まっていた。
どれぐらい時間が経ったのか分からないが、少しづつ辺りが静かになっていた・・・・
時たま、大木を抜けて、逃げてきた人が、集まって来ていたが、それも段々と治まり、大人たちが集まって何かを話している。
お兄さんは、私の手を握り、傍に居てくれたが、お兄さんもあちこち見回しながら、人を探しているようだ。
大人たちが集まっている向こうの方から何かの叫び声が聞こえ、人が逃げ出している・・・大きな影が、大人たちを弾き飛ばし、女の人だけを集め始め、衣服を破いていく・・・・私たちぐらいの子も捕まったり、もっと小さい女の子も捕まっていく・・・・男の人は、弾き飛ばされたり、踏みつけられたりして、抵抗が出来ずにいた。大きな影の向こうから、女の人の悲鳴が聞こえ、服を破く音が断続的に聞こえる。
私達から少し離れていたが、大きな影がこちらにも気づき、近づいてくるのが見え、お兄さんは、私の手を引っ張り、大木の方に走り出す。避難所になっていた学校から抜け出し、近くの公園だった場所にたどり着く。そこも公園だった面影はなく、ちっとした空き地があるぐらいだったが、水飲み場が壊れ水が噴き出していた。水を少し飲んで、乾いた喉を潤し休んでいると、小型の緑色をした人影がお兄さんを襲ってきた。お兄さんは、頭を殴られ倒れたが、ふらつきながらも起き上がり、足で殴りつけてきた人影を蹴り飛ばしながら私に逃げろと言っていた。
私は、震える足で走り出し、無我夢中で逃げ回った。
どれぐらい逃げたのか?何日?大木の陰や草木に付いた水を口に含み、雑草をかじって水分と飢えをごまかしながら、逃げ回った。夜は、木に登って少し休み、うとうとしては、起きてを繰り替えし、頭もぼーっとしてきた。
足がもう動かないぐらい疲れ果てて歩いているときに、緑色の影が6匹後ろから迫ってきた。
私は、最後の力を振り絞って、悲鳴を上げながら逃げ回っていたが、木の根に躓いて転んでしまった。
後ろを振り返ると、私と緑の人影の間に男の人が立っていた・・・・
今後もちょくちょくサイドBからの視点も挟もうかとお試しです。




