見つかるかな?
何か見つかるかな?
駅前のロータリーの場所は、木も無く広場になっていた。
今まで、広場の処は、何かしらの食材があったので、探してみると、食べられない草に交じって、蒲公英と薬草が見つかった。
たしか、蒲公英の根っこを天日干ししたら、珈琲みたいな飲み物作れるような・・・・
今まで見向きもしてなかったけど、珈琲が飲みたいので、少し採取しておこうかな。
商店街の方は、やっぱり木が生えていて、見通しが悪い。100m行かないぐらいのところに公園があったはずと記憶を辿りながら進んでみると、公園の場所は、木があまり生えておらず、広場になっていた。
遊具の類は、元から少なかったようなので、黒い木もないが、涼しい風が吹き抜けていたので、ちょっと休憩にすることにした。
木陰に入り、レジャーシート代わりの毛皮を敷いて、シングルバーナーを用意して、お湯を沸かす。小枝も拾って、焚火も作り、鍋にお湯を沸かして、非常食用に取っておいたコーンポタージュの元を溶かし入れ温めていく・・・・
シングルバーナーで温めたお湯を注いで、これまた残していたインスタントコーヒーを入れて、一口飲む。
インスタントコーヒーも残りわずかなので、これからは、うまくいけば蒲公英珈琲がメインの飲み物になりそう・・・・お茶の木とかないかな?
駅に来るまでの戦闘で、大分お腹も減っていたので、狼もちょっと解体して、食べようか・・・
一匹を『収納』から取り出して、近くの木に吊るし、血抜きを始める。
それと、角ウサギ(解体済み)も取り出して、串に出来る枝を用意して、ちょっと遠火で焙っていく。
ウサギ肉の焼ける匂いが辺りに漂い、そろそろ食べごろかなと思い、塩を振り、一味唐辛子も用意する。
一味は、まだ唐辛子しか見つからなかったので、数個天日干しにして、磨り潰したものを使っている。
焼けたウサギ肉にちょっと一味を振りかけて、食べる。やっぱり焼きたてのお肉と、塩、唐辛子の味が合わさって美味しい。肉のみだけだと食べられなくはないけど、味気ないし、塩を掛けても美味しいけど、香辛料があるともっと美味しい。早く胡椒の実が食べられる様に加工したいけど・・・
やったことが無いので、試行錯誤中。
塩胡椒があると、獣臭さのある狼肉も美味しく食べられるはず。ウサギ肉やオーク肉は、塩だけでも食べれるけど、胡椒や調味料があればなって思ってしまう。
唐辛子も見つけられたので、栽培がうまくいけば、一味だけじゃなくて、ラー油も出来そう。油は、獣脂を使うことになりそうだけど、オークの脂肪でも使って油つくれないかな。今度試してみようかな。
ウサギ肉を食べながら、調味料をどう作ろうかと思案していると、遠くから、ゴブリンの奇声が近づいてくる。
鍋を焚火からずらして、蓋をしておく。狼は、まだ血抜きが終わっていないので、そのままにして、ゴブリンの声が聞こえた方に向かっていく。
木の陰から様子を見てみると、ゴブリンが6匹ほど何かを追って走っているのが見えた。追われている何かは、足が木の根につまずいたのか、履いていたものが宙を舞い、よろけ蹲る。
『何か』をよく見ると人間のようだった・・・・一瞬、小学校でゴブリンに殴られていた少女の光景が頭によぎり、衝動的に、人とゴブリンの間に割り込む。
先頭のゴブリンがこちらに気づく前に、脳天に木刀を振り下ろし、息の根を止める。他のゴブリンも戦闘態勢を取ろうとするが、それよりも早く、木刀で、頭、首などを狙って、打倒していく・・・・
ほんの数分で、ゴブリン6体を打倒し、息の根を止めたことを確認し、蹲った人の元へ近寄る。
助け起こそうと手を差し伸べるが、その人は、恐怖に凍り付いた顔をしながら後ずさる。
「おい、大丈夫か?」
「ひっ!!!殺さないで・・・・・」
後ずさる人を良く見ると、ぼろぼろになった黒いパーカーの上下を着た少女だった。大分痩せこけて、目の下にも隈が出来て、頬もこけていたが、目は、恐怖に染まり、怯えていた・・・・
安心させるために近寄らずにもう一度声をかける。
「大丈夫か?けがは無いか?」
手を差し伸べるが、また、後ずさってしまった。
どうしたらいいのか分からないので、その少女を少し放置して、ゴブリンの処理に向かう。
心臓付近にナイフを突き立て、魔石を取り出す。
後ろで、また「ひっ!」というか細いが、息をのむ声が聞こえたが無視して、魔石を回収して、死体を『収納』に収める。
作業が終わって、どうしようかと思い振り返るが、その少女は、まだ木を背にして怯えた様子で、座り込んでいる。
そういえばと思い、先程、靴のようなものが飛んでいたのを思い出し、辺りを見合わすと、数メートル先に片方の黒い靴が見えた。靴を拾い、少女の近くまで行くが、怯えてしまい固まっているので、靴を少女の近くに放り投げてしゃがみこむ。
「靴拾ったよ」
出来るだけ優しい口調で行ってみたものの、少女は、靴に目を遣るが、動こうとせずにいた・・・・
どうしよう・・・・これぐらいの少女と話すことなんてなかったし、会話の糸口が見つからん。
人を発見できたのはいいが、どうしよう・・・・・
自分もいきなり人がみつかったので、動揺し、頭がグルグルと思考がループし、言葉が見つからない。
少女の目を見ながらずり足で2歩分ぐらい近づいたが、
「こ、来ないで・・・・・」
怯えて後ずさる少女は何かに気づいたのか、か細い声を出す。
「?」
声が聞こえたので、静止していると風に乗り、微かな匂いがした。
よく見てみると、少女の足元付近に小さな水たまりが動いた後に沿う様に出来ていた。
その何かに気づいて、慌てて『収納』からタオルとバスタオルを取り出し、少女に投げ渡す。そして、後ろを向いて声をかける。
「それ使いな。」
受け取った少女の方からもぞもぞと衣擦れの音が聞こえた。
少し離れた方がいいのかと思い立ち上がり、距離を取る。
しばらく、ごそごそと音がしていたが、止まった。
「あ、あ、ありがとうございました・・・・」
そう声が聞こえ、振り向いてみる。少女は、何とか立ち上がり、腰にバスタオルを巻いた状態で立っていた。
「他に人はいる?」
少女は、顔を横に振り、うつむいてしまった。
さて、これからどうしよう・・・・・
見つかったはいいけど・・・どうしよう・・・おじさん。




